自分描画法の基礎と臨床
小山充道著 (4,600円+税)ISBN978-4-86616-020-7◆落書きをヒントに発想され,幼児から高齢者まで3,000人を超える人々に描いてもらった自画像のフィールド研究から生まれた「自分描画法」。この臨床活用から基礎調査までの全貌をまとめたのが,本書『自分描画法の基礎と臨床』です。
自分描画法は,クライエントの心の質的分析に役立つ心理査定道具という面だけではなく,心理面接をスムーズにしたり,クライエントの自分への振り返りを比較的短時間に,かつ大きな抵抗もなく深められるという特性をもちます。
心理療法そのものとフィットしたアセスメント法である本法を詳解したこの本は,読者の日常の臨床に大きな影響を与えることでしょう。
ディスコースとしての心理療法―可能性を開く治療的会話
児島達美著&和田憲明・田崎みどり・永尾嘉康・伊藤勢津子・森 俊夫(3,000円+税)ISBN978-4-86616-021-4◆ホワイトとエプストンの発表した「問題の外在化」、これとまったく同じ時期に同じ家族療法の文脈から、「問題の外在化」というキーワードを創出した心理臨床家が、本書の著者児島達美である。以来、心理療法のポストモダン化は進展したものの、世界経済の動向や社会の保守化傾向などのなかで、心理療法のあり方は問われ続けている。本書は、そんな世界にある心理療法の本質的な意味を―著者独特の軽妙な深淵さのなかで―改めて問う力作である。また、盟友であった故和田憲明氏との3ケースにおよぶ紙上スーパーヴィジョン、故森俊夫氏とのトークセッションも掲載。効果のある心理療法にするための具体策が盛り込まれた1冊。
私のキャリア・ストーリー[書き込み式ワークブック10冊セット]:ライフ・キャリアを成功に導く自伝ワークブック
マーク・L・サビカス著日本キャリア開発研究センター監修水野修次郎監訳・著加藤聡恵訳(2,800円+税)ISBN978-4-86616-022-1◆「ライフデザイン・カウンセリング」を実際の面接場面で活用するために,サビカスらの手で作られたのが,「私のキャリア・ストーリー―ライフ・キャリアを成功に導く自伝ワークブック」です。これは,16頁からなる面接時の記録用紙(冊子)であり,面接が無事終了したときには,クライエントの新しい伝記ともなるものです。また,面接だけでなく,個人で行うことや,グループや授業や研修などでも利用することも可能です。人生の意味や目的を探し,強化するときに,ガイドブックとして使ってみるのはいかがでしょうか。
混合研究法への誘い―質的・量的研究を統合する新しい実践研究アプローチ
日本混合研究法学会監修(青山学院大学国際政治経済学部国際コミュニケーション学科教授)抱井尚子編(京都大学医学部附属病院臨床研究総合センター特定研究員)成田慶一編(2,400 円+税)ISBN978-4-86616-016-0◆混合研究法の哲学的・歴史的背景から,定義,デザイン,研究実践における具体的なノウハウまでがこの一冊でよく分かる。質的研究と量的研究の単なる併用からシナジーを生み出す統合を目指す,知識の本質を問う新しい科学的アプローチ「混合研究法」への招待。
本書は,斯界をリードする研究者が参集して開催された国際混合研究法学会アジア地域会議/第1回日本混合研究法学会年次大会(大会テーマ『混合研究法への誘い―学の境界を越えて』)の基調講演・特別講演,パネル・ディスカッション,そしてワークショップの内容を収載した。
『非行臨床における家族支援』
(福島大学大学院人間発達文化研究科・教授)生島浩著(2,800円+税)ISBN978-4-86616-012-2◆非行少年の立ち直りには,本人への影響が大きい家族への支援が不可欠である。家族をエンパワーメントするには,非行の原因探しをしたり家族の変容を求めたりするよりも,立ち直りのストーリーへ家族の参画を促してゆく,すなわり「家族を手立てとする」アプローチが有効となる。その具体的な方法として本書では,家族システム論に基づくシステムズ・アプローチの理論と実際を詳述している。
非行からの立ち直りには,子どもの発達を待ち,立ち直りの契機となる人物との出会いを保障する「時間稼ぎ」が欠かせない。そのために,本人や家族が息切れしないように危機介入を行いつつ,本人・家族が「そうはいっても致し方ない」という境地に至るよう支援してゆくのである。
本書は,著者の30年あまりの臨床実践から導かれた非行臨床における家族支援の要諦をまとめたものである。非行臨床に携わるすべての人に役立つ「使い勝手の良い」一冊。
条件反射制御法ワークブック――やめられない行動を断ち切るための治療プログラム【物質使用障害編】
(医療法人社団ほっとステーション大通公園メンタルクリニック院長) 長谷川直実著(独立行政法人国立病院機構下総精神医療センター薬物依存治療部長兼臨床研究部長)平井愼二著(1,200円+税)ISBN978-4-86616-013-9◆覚醒剤や危険ドラッグ,アルコールなどをやめられなくなる物質使用障害は,物質摂取に向かう条件反射が成立しているため,意思の力だけでは抜けられなくなっています。そこで,欲求の起こらない新しい条件反射を身につけ,物質摂取へ向かう条件反射を徹底的に弱めることで嗜癖を断ち切る治療法が条件反射制御法です。
本書は,デイケアや病棟,外来,刑務所,少年院,保護観察所,回復支援施設などで,物質乱用のメカニズム,症状,問題,離脱のための取り組みなどを学びながら,同時に条件反射制御法のステージを進めていくためのテキストです。
コミュニティ・アプローチの実践――連携と協働とアドラー心理学
箕口雅博編(3,800円+税)ISBN978-4-86616-009-2◆本書は,地道に研鑚を積んできたコミュニティ臨床の事例を数多く集めた実践の本であり,そこから生まれたアドラー心理学との統合モデル「アドレリアン・コミュニティ・アプローチ」の提唱や,ベテラン臨床家らの臨床論などを盛り込んだ意欲的な論考集でもある。クライエントや家族,関係者,多職種が入り混じる実際の臨床現場。こうした臨床の実際のなかで心理職の基本的スキルとして必要とされているのが,コミュニティ・アプローチである。
コミュニティのなかでどう動き,どう協働を図り,どう効果ある実践を行うのか。個から小集団へ,そしてコミュニティへと展開をするためにはどこに視点を持てばいいのか。本書は,コミュニティ・アプローチの実際をすべて描いたもので,多くの読者の臨床現場で役立つ一冊である。