『非行臨床における家族支援』

『非行臨床における家族支援』

(福島大学大学院人間発達文化研究科・教授)生島 浩 著

定価2,800円(+税) A5判並製 176頁 ISBN978-4-86616-012-2 C3011

成長と出会いが少年を変える。それまで時間を稼ぐ――きちんとガタガタできる場をつくり,常識的な助言を行いながら本人と家族を支える,「使い勝手の良い」臨床手法が満載の援助論

非行少年の立ち直りには,本人への影響が大きい家族への支援が不可欠である。家族をエンパワーメントするには,非行の原因探しをしたり家族の変容を求めたりするよりも,立ち直りのストーリーへ家族の参画を促してゆく,すなわり「家族を手立てとする」アプローチが有効となる。その具体的な方法として本書では,家族システム論に基づくシステムズ・アプローチの理論と実際を詳述している。
非行からの立ち直りには,子どもの発達を待ち,立ち直りの契機となる人物との出会いを保障する「時間稼ぎ」が欠かせない。そのために,本人や家族が息切れしないように危機介入を行いつつ,本人・家族が「そうはいっても致し方ない」という境地に至るよう支援してゆくのである。
本書は,著者の30年あまりの臨床実践から導かれた非行臨床における家族支援の要諦をまとめたものである。非行臨床に携わるすべての人に役立つ「使い勝手の良い」一冊。

「家族を手立て」とする立ち直り支援としてのシステムズ・アプローチの実際


主な目次
第1章 「非行臨床」とは何か
第2章 非行臨床論の基礎と展開
第3章 家族臨床の実践理論と方法:システムズ・アプローチ
第4章 非行臨床におけるシステムズ・アプローチ
第5章 事例研究:危機介入と子どもの発達を見守る家族支援に関する長期経過
第6章 事例研究(2):システミックなケース・マネジメントによる家族支援
第7章 家族を手立てとする立ち直り支援:まとめに代えて


著者略歴

生島 浩(しょうじま ひろし)
福島大学大学院人間発達文化研究科・教授。
1979年,一橋大学社会学部卒業。法務省に入省し,東京及び横浜保護観察所の保護観察官などを経て,1992年筑波大学院修士課程教育研究科カウンセリング専攻修了。1996年法務省法務総合研究所研究部室長研究官,2000年法務省浦和保護観察所観察第一課長,2001年福島大学教育学部教授。2016年博士(文学)東北大学。専攻は非行・犯罪臨床学,家族臨床学,臨床心理学。最近は触法障害者の地域生活支援に力を入れている。
主な著書に『非行少年への対応と援助』(単著,金剛出版),『悩みを抱えられない少年たち』(単著,日本評論社),『非行臨床の焦点』(単著,金剛出版),『学校臨床の現場から』(単著,SEEDS出版),『犯罪心理臨床』(共編著,金剛出版),『臨床家族社会学』(共著,放送大学教育振興会),『よくわかる更生保護』(共編著,ミネルヴァ書房)ほか多数。

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