ディスコースとしての心理療法―可能性を開く治療的会話
ホワイトとエプストンの発表した「問題の外在化」、これとまったく同じ時期に同じ家族療法の文脈から、「問題の外在化」というキーワードを創出した心理臨床家が、本書の著者児島達美である。以来、心理療法のポストモダン化は進展したものの、世界経済の動向や社会の保守化傾向などのなかで、心理療法のあり方は問われ続けている。本書は、そんな世界にある心理療法の本質的な意味を―著者独特の軽妙な深淵さのなかで―改めて問う力作である。また、盟友であった故和田憲明氏との3ケースにおよぶ紙上スーパーヴィジョン、故森俊夫氏とのトークセッションも掲載。効果のある心理療法にするための具体策が盛り込まれた1冊。
ナラティブ・メディスン入門
病に苦しむ人達にとって,それがどんな体験かを自分自身が知ること,その苦境を人に知ってもらうことが切実な問題となる。ナラティブ・メディスンは,医療従事者が患者の病いの物語を聴き取り,理解し,誠実に寄り添うための能力を育てることを提唱する。
本書は,シャロンの『ナラティブ・メディスン』をひもとき,精密読解,パラレルチャート,アウトサイダー・ウィットネスなどの方法論を具体例を交えて分か りやすく解説するとともに,WCウィリアムズやRコールズ,HMチョチノフらの実践から文学的手段の活用法を探った。また,日本における著者らのナラティ ブ・メディスンの刺激的な試みも紹介している。
より人間的,倫理的,効果的なケアを実現するためのナラティブ・メディスン入門書。