緊急支援のためのBASIC Phアプローチ ――レジリエンスを引き出す6つの対処チャンネル
ムーリ・ラハド,ミリ・シャシャム,オフラ・アヤロン編、佐野信也・立花正一監訳、新井陽子・角田智哉・濱田智子・水馬裕子・丸田眞由子・岡田太陽・柳井由美訳(3,600円+税)ISBN978-4-86616-030-6◆イスラエルで市民のストレスケアと予防に取り組んできた中で生まれた援助モデル「BASICPh(ベーシックピーエイチ)」。本書はその理論と方法,紛争地や被災地における実践を詳解しています。
人は危機に直面した時,様々な対処(コーピング)方法を用いており,それは,Belief(価値・信念),Affect(感情・情動),Social(社会的),Imagination(想像),Cognition(認知),Ph ysiology(身体)の6つのチャンネルに分類できます。BASICPhモデルとは,そのチャンネルに合わせた支援を行うことで,危機にある人々のレジリエンスを引き出す援助アプローチです。
子どもの心と学校臨床第16号 ──特集 スクールカウンセラーの個人面接:学校コミュニティの中での実践と課題
福田憲明編(1,400円+税)ISBN978-4-86616-029-0◆本誌は,教師・養護教諭・スクールカウンセラーなどの学校関係者,研究者を読者層とした,日本で唯一の学校臨床の実践と理論をめぐる専門誌です(年2回発行;毎年2,8月)。今回の特集は,福田憲明先生(明星大教授で,スクールカウンセラーとして20年以上のキャリアを持つ)による,「特集 スクールカウンセラーの個人面接──学校コミュニティの中での実践と課題」。集団を意識しつつ,いかに個人面接をするのか。このバランスが大変に難しいと言われています。他に連載多数あり。
森俊夫ブリーフセラピー文庫②効果的な心理面接のために──サイコセラピーをめぐる対話集
森俊夫ほか著(2,600円+税)ISBN978-4-86616-017-7◆万年 東大医学部助教にして元役者,ブリーフセラピー系心理士にして,東京・吉祥寺に日本全国から人が集まるKIDSカウンセリングシステムを立ち上げた森俊夫は,2015年3月に57歳で永眠した。本書は,森の死の直前に行われた名臨床家たちとの対談集。「効果的に,早く治す」ことを志し,新しい心理療法の世界を切り開いてきた仲間たち──吉川悟,山田秀世,遠山宜哉,西川公平,田中ひな子,児島達美らが登場し,黒沢幸子もまじえて,セラピストの成長や心理療法,対人援助に関する叡智について存分に語る。
自分描画法の基礎と臨床
小山充道著 (4,600円+税)ISBN978-4-86616-020-7◆落書きをヒントに発想され,幼児から高齢者まで3,000人を超える人々に描いてもらった自画像のフィールド研究から生まれた「自分描画法」。この臨床活用から基礎調査までの全貌をまとめたのが,本書『自分描画法の基礎と臨床』です。
自分描画法は,クライエントの心の質的分析に役立つ心理査定道具という面だけではなく,心理面接をスムーズにしたり,クライエントの自分への振り返りを比較的短時間に,かつ大きな抵抗もなく深められるという特性をもちます。
心理療法そのものとフィットしたアセスメント法である本法を詳解したこの本は,読者の日常の臨床に大きな影響を与えることでしょう。
ディスコースとしての心理療法―可能性を開く治療的会話
児島達美著&和田憲明・田崎みどり・永尾嘉康・伊藤勢津子・森 俊夫(3,000円+税)ISBN978-4-86616-021-4◆ホワイトとエプストンの発表した「問題の外在化」、これとまったく同じ時期に同じ家族療法の文脈から、「問題の外在化」というキーワードを創出した心理臨床家が、本書の著者児島達美である。以来、心理療法のポストモダン化は進展したものの、世界経済の動向や社会の保守化傾向などのなかで、心理療法のあり方は問われ続けている。本書は、そんな世界にある心理療法の本質的な意味を―著者独特の軽妙な深淵さのなかで―改めて問う力作である。また、盟友であった故和田憲明氏との3ケースにおよぶ紙上スーパーヴィジョン、故森俊夫氏とのトークセッションも掲載。効果のある心理療法にするための具体策が盛り込まれた1冊。
私のキャリア・ストーリー[書き込み式ワークブック10冊セット]:ライフ・キャリアを成功に導く自伝ワークブック
マーク・L・サビカス著日本キャリア開発研究センター監修水野修次郎監訳・著加藤聡恵訳(2,800円+税)ISBN978-4-86616-022-1◆「ライフデザイン・カウンセリング」を実際の面接場面で活用するために,サビカスらの手で作られたのが,「私のキャリア・ストーリー―ライフ・キャリアを成功に導く自伝ワークブック」です。これは,16頁からなる面接時の記録用紙(冊子)であり,面接が無事終了したときには,クライエントの新しい伝記ともなるものです。また,面接だけでなく,個人で行うことや,グループや授業や研修などでも利用することも可能です。人生の意味や目的を探し,強化するときに,ガイドブックとして使ってみるのはいかがでしょうか。
混合研究法への誘い―質的・量的研究を統合する新しい実践研究アプローチ
日本混合研究法学会監修(青山学院大学国際政治経済学部国際コミュニケーション学科教授)抱井尚子編(京都大学医学部附属病院臨床研究総合センター特定研究員)成田慶一編(2,400 円+税)ISBN978-4-86616-016-0◆混合研究法の哲学的・歴史的背景から,定義,デザイン,研究実践における具体的なノウハウまでがこの一冊でよく分かる。質的研究と量的研究の単なる併用からシナジーを生み出す統合を目指す,知識の本質を問う新しい科学的アプローチ「混合研究法」への招待。
本書は,斯界をリードする研究者が参集して開催された国際混合研究法学会アジア地域会議/第1回日本混合研究法学会年次大会(大会テーマ『混合研究法への誘い―学の境界を越えて』)の基調講演・特別講演,パネル・ディスカッション,そしてワークショップの内容を収載した。
『非行臨床における家族支援』
(福島大学大学院人間発達文化研究科・教授)生島浩著(2,800円+税)ISBN978-4-86616-012-2◆非行少年の立ち直りには,本人への影響が大きい家族への支援が不可欠である。家族をエンパワーメントするには,非行の原因探しをしたり家族の変容を求めたりするよりも,立ち直りのストーリーへ家族の参画を促してゆく,すなわり「家族を手立てとする」アプローチが有効となる。その具体的な方法として本書では,家族システム論に基づくシステムズ・アプローチの理論と実際を詳述している。
非行からの立ち直りには,子どもの発達を待ち,立ち直りの契機となる人物との出会いを保障する「時間稼ぎ」が欠かせない。そのために,本人や家族が息切れしないように危機介入を行いつつ,本人・家族が「そうはいっても致し方ない」という境地に至るよう支援してゆくのである。
本書は,著者の30年あまりの臨床実践から導かれた非行臨床における家族支援の要諦をまとめたものである。非行臨床に携わるすべての人に役立つ「使い勝手の良い」一冊。