心理職が知っておきたいハラスメントの実践的法律問題──加害者にも被害者にもならないために
心理職が知っておきたいハラスメントの実践的法律問題──加害者にも被害者にもならないために
| 著 者 | 鳥飼康二 |
| 出版年月 | 2025年9月 |
| ISBN | 978-4-86616-230-0 |
| 図書コード | C3011 |
| 判型 | 四六判・並製 |
| ページ数 | 208 |
| 定価 | 2,400円(+税) |
内容紹介
現代において多様化するハラスメント。心理職には支援者としての知識と理解だけでなく,自らが当事者として関与する場面での適切な対応も求められます。
本書はパワハラ・セクハラはもちろん,カスハラやアカハラのようなケースまで,「支援者」「被害者」「加害者」の3つの視点から現場で実際に起こり得るハラスメント対応を解説。マニュアルだけではわからない法律問題を,弁護士である著者が豊富な裁判例から具体的に示します。臨床実践に確かな指針を与え,クライアントとあなた自身をも守る一冊です。
主な目次
はしがき
パワーハラスメント(以下,パワハラ)やセクシャルハラスメント(以下,セクハラ)について,厚生労働省の指針など公的マニュアルも普及しつつあり,典型的なハラスメントについては理解が広まってきました。
一方,現場で実際に起きる事象は,マニュアルに登場するような典型例(直球)ではなく,どう判断したら良いか戸惑う非典型例(変化球)です。そのため,「本を読んだりネットで調べたりしても正解が分からない……」と戸惑うこともあるでしょう。
たとえば,「職場の先輩から無視されています。上司に相談しても気のせいだろうって取り合ってくれません。これってパワハラですよね? これで私がうつ病になったら,会社の責任を問えますよね? 慰謝料も払ってもらえますよね?」と相談があったとき,どのような問題点が潜んでいるか整理して答えられるでしょうか。
主な問題点としては,次のような点が考えられます。
- まず,ハラスメントの事実をどうやって証明するか,という問題です。ここでつまずくと,そもそもハラスメントがあったかどうかという入口の議論で膠着してしまいます(⇒p.76で事実認定について解説)。
- ハラスメントというのは抽象概念であるため,具体的な事実関係をもとにして,それがハラスメントと言えるかどうかという「評価」の問題があります(⇒p.28でハラスメントの評価について解説)。
- 客観的な事実関係のほかに,当事者の主観が問題となることがあります。たとえば,多くの人にとっては不快に感じないことであっても,本人(被害者側)が不快に感じている場合,ハラスメントになるのか(⇒p.32で主観について解説),加害者側が「本人が嫌がっているとは思わなかった」「ハラスメントとは思わなかった」と弁明した場合,どのような意味を持つのか(⇒p.36で加害者側の弁明,p.36で故意過失について解説)。
- ハラスメントに該当すると判断した場合,使用者(会社側)はどのような措置を講じなければならないのか,措置を講じなかった場合,どのような責任問題が発生するのか(⇒p.17で措置義務について解説)。
- ハラスメントに該当しないと判断した場合,会社側はそれ以上何もしなくてよいのか(⇒p.21で安全配慮義務について解説)。
- 慰謝料を請求する場合,いくらが相場なのか(⇒p.38で慰謝料相場について解説)。
- 一口にハラスメントと言っても,その程度によって,加害者や会社側が問われる責任の内容が異なってくるのか(⇒p.112で各責任の違いについて解説)。
以上のように,ハラスメントの定義や類型など基礎知識を持っていても,実際の相談で活かそうとすると,検討しなければならない問題が数多く立ちはだかっているのです。そこで本書では,職場のハラスメントの問題について基本的な知識には触れたことがある方を対象に,「変化球」に対応するための考え方やヒントを提供することを目的としました。法律的な解説がメインですが,法律で出来ることには限界があるため,法律的な視点に加えて「社会からどう見られるか」「社会の一員として何が出来るか」という社会的責任についても言及しています。
また,本書の読者層は,ハラスメントについて,心理職・カウンセラーとして取り組んでいる方や,研修講師を務めている方を想定していますが,そのような皆さんは,すでに自分なりの方向性や判断基準を持ち合わせていると思います。そこで本書では,皆さんの方向性や判断基準をブラッシュアップするための情報も掲載しています。
応用的な内容を扱うため,難しい概念も登場しますが,事例や裁判例を用いてなるべく分かりやすく解説しています。本書が皆さんの現場での実践に役立つことを願います。
著者略歴
鳥飼康二(とりかいこうじ)
1975年生まれ。京都大学農学部卒業,同大学院農学研究科修了。日本たばこ産業中央研究所勤務を経て,一橋大学法科大学院修了後,2011年より弁護士登録(東京弁護士会,中野すずらん法律事務所)。2016年産業カウンセラー資格取得(一般社団法人日本産業カウンセラー協会)。
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