こころの原点を見つめて──めぐりめぐる乳幼児の記憶と精神療法
(クリニック小倉)小倉清・(西南学院大学)小林隆児著(1,900円+税)ISBN978-4-904536-99-5◆治療の鍵は,乳幼児期の記憶。その記憶は,人間の一生に深い影響を与える。本書は,児童精神科医として稀代の存在である小倉と,発達障碍の臨床実践・臨床研究において第一人者である小林による論文・対談を収録した1冊である。「乳幼児期のことを思い出して、ああだったこうだったと言って興奮したり涙を流したりすること自体が治療だと思う」とする小倉と,臨床実践や調査・研究から母子の関係性と病理を解明してきた小林による治療論。子どもから成人まで多くの事例をもとに,こころが形作られる原点をめぐる治癒を探る。
ナラティブ・メディスン入門
小森康永著(2,500円+税)ISBN978-4-904536-90-2◆病に苦しむ人達にとって,それがどんな体験かを自分自身が知ること,その苦境を人に知ってもらうことが切実な問題となる。ナラティブ・メディスンは,医療従事者が患者の病いの物語を聴き取り,理解し,誠実に寄り添うための能力を育てることを提唱する。
本書は,シャロンの『ナラティブ・メディスン』をひもとき,精密読解,パラレルチャート,アウトサイダー・ウィットネスなどの方法論を具体例を交えて分か りやすく解説するとともに,WCウィリアムズやRコールズ,HMチョチノフらの実践から文学的手段の活用法を探った。また,日本における著者らのナラティ ブ・メディスンの刺激的な試みも紹介している。
より人間的,倫理的,効果的なケアを実現するためのナラティブ・メディスン入門書。