現場で活かせる対人支援のトリセツ──ホロニカル・アプローチで紐解く50のポイント

現場で活かせる対人支援のトリセツ──ホロニカル・アプローチで紐解く50のポイント
著者福島 裕人
出版年月2026年2月
ISBN
図書コード
978-4-86616-236-2
C0011
判型四六判並製
ページ数168
定価2,000円(+税)

内容紹介

この本は,対人援助職が「大切にしたいこと」を50のポイントに分け,対人支援のヒントとコツを詳しくまとめた1冊です。
心身や関係性を重視する統合的な心理療法「ホロニカル・アプローチ」をバックボーンとして実践から生まれた50のポイントは,対人支援の基本姿勢や倫理,傾聴・カウンセリングの基礎,支援の展開,支援者自身のマネジメントなど,支援のさまざまなタイミングで気をつけておきたいことが語られ,読むたびに気づきが得られることでしょう。
さまざまな臨床現場で働く心理職はもとより,医療や教育,福祉・介護の現場で働く人たちにとって,よりよい関わりへの指針になるでしょう。「こころ」に関わる多くの人に読んでもらいたい一冊です。

主な目次

はじめに
第1章 関わりの基本姿勢・倫理
ポイント1 主役は相談者──相談者をエンパワメントしよう
ポイント2 ともに考える──共同研究的協働関係
ポイント3 その人が一緒にいるつもりで考え、発言する
ポイント4 守秘義務とクライエントへの思いやり
ポイント5 幅広い視点から見立てる──多層多次元の見立て

第2章 傾聴・カウンセリングの基礎
ポイント6 専門用語・数値の独り歩きに要注意
ポイント7 非言語的コミュニケーション──傾聴の基本
ポイント8 ワーク=非言語的コミュニケーション──傾聴の基本
ポイント9 無条件の積極的関心(受容)──傾聴の基本
ポイント10 伝え返し(反射、リフレクション)──傾聴の基本
ポイント11 マスク越しの笑顔を大切に──傾聴の基本
ポイント12 共感的理解──傾聴の基本
ポイント13 映画が作れるような聴き方をしよう──傾聴の基本
ポイント14 自己一致(カウンセラーの純粋性)──傾聴の基本
ポイント15 聞き上手は話し上手──傾聴の基本
ポイント16 自分の価値観は脇において──傾聴の基本
ポイント17 共感的理解と想像力──傾聴の基本
ポイント18 「大変ですね」も良いけれど
ポイント19 「わかります」は本当ですか? 傾聴の基本
コラム1 統合的心理療法とは

第3章 ホロニカル・アプローチの基本
ポイント20 不一致も大切に──自己組織化に向かって
コラム2 従来の共感的理解を主とするカウンセリングの功罪
ポイント21 繰り返される悪循環パターンを見つける
ポイント22 外面と内面──認知・行動・感情・身体感覚・無意識
ポイント23 俯瞰するちから──観察主体

第4章 支援の展開
ポイント24 いろいろな価値観──ホロニカル主体
ポイント25 窓を探そう
ポイント26 アドバイスより提案を
ポイント27 相手が何を考えているか、それは本人にしかわからない
ポイント28 こころの鏡になる
ポイント29 見える化してみる
ポイント30 小さなことからコツコツと
ポイント31 安心・安全な場──柔軟な治療構造・相談構造
コラム3 AIカウンセリングの効用と限界
ポイント32 笑い・ユーモアも大切です
ポイント33 鏡映的応答と共鳴的応答
ポイント34 ABC三角形を意識しよう──まずはB点探し
ポイント35 聴きすぎないという配慮
ポイント36 左右交互がポイントです──バタフライハグ
ポイント37 こころもからだも
ポイント38 治すでもなく、成長でもなく──自己組織化
ポイント39 相談者に合わせて
ポイント40 労いを忘れずに─コンプリメントとセルフコンパッション

第5章 ホロニカル・アプローチ各論
ポイント41 無意識の意識化
ポイント42 場面再現法
ポイント43 対話法
ポイント44 夢の能動的創造法
ポイント45 差異の明確化はその場で

第6章 支援者自身のマネジメント
ポイント46 安易にリファーする前に─魔法の薬・方法は存在しない
ポイント47 クレーム? それともご意見ですか?
ポイント48 支援者自身の健康も大切です
ポイント49 遊べるちから──Enjoy Ability
ポイント50 切り替えること
コラム4 自己(わたし)ってなに?
コラム5 お互いに理解し合うなんて無理!?
おわりに

はじめに

本書は、さまざまな領域において対人支援に関わっておられる方や、対人支援を学んでいる方を主な読者に想定しています。医療保健、教育、福祉・介護などの現場で、心理職(公認心理師、臨床心理士等)はもとより、他の専門職の方々、それらの実践について学んでいる学生や大学院生のみなさん、その他ボランティア等で実践をされている方などに対人支援に関わる際の基本姿勢や、技術について〝大切にしたいこと〟を50のポイントとして紹介しています。
私自身はこれまで医療や教育、産業といった領域で公認心理師、臨床心理士としてさまざまな方の相談(カウンセリングや心理療法、サイコセラピーなどといいます)に応じてきました。現在は大学・大学院で将来公認心理師や臨床心理士を志望する学生、院生の養成にも携わっています。
対人支援の場では、さまざまな専門職の方々が活躍していますが、どの職種も専門的な知識を持っている方々です。しかし、対人支援は基本として人と人との関わりです。近年AIの進化が目覚ましく、今後は部分的に業務の一端をAIが担うということもあろうかと思いますが、対人支援が人と人との生身の関わりである以上、やはり関わりを持つ支援者自身の人間性が何より武器であることに違いはないでしょう。クライエント(利用者、児童生徒やその保護者など支援対象者全てを含め)に、「この支援者(担当者)に自分の問題をサポートして欲しい」「この人なら信頼できる」と思ってもらうためには、高度な知識や専門性だけでなく、その支援者自身の人がらが問われます。逆にクライエントから、「あの支援者(担当者)は感じが悪い」「全然私の気持ちを理解してくれない」「上から目線でイヤ」などと思われてしまうと、いくら支援者の側が専門的な知識と熱意をもって関わろうとしても上手く関係を築くことはできないでしょう。本書ではこのような対人支援の場における基本的な心構えについてもページを割いて紹介しています。
ところで、一般的に心理支援(カウンセリングや心理療法のこと)においてはさまざまな理論や技法が存在します。私は統合的心理療法といわれるものを中心に学んできており、その中でもホロニカル・アプローチという理論に基づく実践に取り組んでいます。統合的な心理療法については本書コラムでも紹介していますが、ここでひとこと私の考えを述べるならば、対人支援におけるあらゆる理論や技法と親和性が高いということだと思います。これを私は〝ケーキのスポンジ〟といい、大学院での授業などで紹介しています。院生一人ひとりが将来臨床家になる過程で、ケーキのスポンジさえまずはこしらえる事ができれば、その後どのようにデコレーションしていくか(どのような理論や技法に依って立つか)は、各人が決めていけばよいと思っています。本書の読者は、心理職に限らずさまざまな領域において対人支援に関わっておられる方々(または学んでいる方)を対象としていますが、おそらくみなさんそれぞれの普段の専門性に加えて考えていただくことが可能だと思います。そのため対人支援のポイントを紹介する中で、このホロニカル・アプローチの視点も取り入れながら紹介していきます。
なお本書では対人支援の基本姿勢(倫理など)や傾聴、カウンセリングの基礎、ホロニカル・アプローチの基本と各論、支援者自身のストレスマネジメント……という順に章立てしてあります。そのため、基本的には順に読み進めていただければと思いますが、適宜必要なポイント(もしくは章)から読んでいただいても構いません。
本書が対人支援の現場に従事するみなさんとそれらを学ぶ方にとって、そして願わくば当事者の方にとっても、少しでもお役に立てれば幸いです。

著者略歴
福島裕人(ふくしま・ひろと)
同朋大学准教授、臨床心理士・公認心理師
1999年3月琉球大学保健学研究科修了後,犬山病院心理療法士,藤城クリニック臨床心理士を経て2010年4月より東海学院大学助教,その後講師。2014年4月より鈴鹿医療科学大学保健衛生学部医療福祉学科臨床心理専攻にて助教,その後准教授(2020年3月まで)。2020年4月から名古屋短期大学准教授を経て2023年4月より現職。博士(心理学)。
専門領域は対人援助職者のストレス(バーンアウト症候群など),ストレス予防や心理支援の場で生じる笑い,トラウマケア(EMDRを用いた臨床)などについて,ホロニカル・アプローチの視点もふまえて研究,実践を行っています。



 

 

 


 


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