N:ナラティヴとケア 第6号 ナラティヴの臨床社会学

N:ナラティヴとケア 第6号
特集:ナラティヴの臨床社会学

野口裕二(東京学芸大学)編

臨 床現場を主なフィールドとして活躍する11人の社会学者が,自分がこれまでおこなってきた仕事をあらためてナラティヴという視点から語りなおす。取り上 げられるテーマは,「病いの経験と語り」,「ピアサポート」,「摂食障害」,「知的障害」,「認知症」,「顔にあざのある女性」,「小児がん患者家族」, 「リフレクティング・プロセス」,「遺伝子疾患」,「発達障害」……。臨床社会学の現在の到達点。

年1回発行(毎年1月)
定価1,800円(+税)、120頁、B5判・並製
ISBN978-4-904536-84-1 C3047
ISSN 1884-6343

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目  次

第6号 目次(予定・敬称略)

特集:ナラティヴの臨床社会学(野口裕二 編)

特集にあたって──ナラティヴの臨床社会学:その視点と論点 ■ (東京学芸大学教育学部)野口裕二

「ナラティヴの臨床社会学」座談会
■ (東京学芸大学)野口裕二
(法政大学)鈴木智之
(富山大学)伊藤智樹
(日本大学)中村英代
(首都大学東京健康福祉学部)西村ユミ

病いの「経験」とその「語り」──遡及的で非対称的な共同的解釈実践としてのナラティヴ・アプローチ
■ (法政大学社会学部)鈴木智之

ピア・サポートとナラティヴ・アプローチ──方法論的観点から
■ (富山大学人文学部社会文化講座)伊藤智樹

誰も責めないスタンスに立ちつつ,問題の所在を探りあてる──摂食障害・薬物依存へのナラティヴ・アプローチ
■ (日本大学文理学部社会学科)中村英代

支援者があえて「ものがたる」ということ──知的・発達障害当事者への地域生活支援から
■ (法政大学社会学部社会学科)三井さよ

わたしは「語り」に出合えているか──本人による「認知症体験の語り」のゆくえ
■ (千葉大学文学部行動科学科社会学講座)出口泰靖

ライフストーリー研究における対話──それは誰と誰のあいだの対話なのか?
■ (同志社大学文化情報学部文化情報学科)西倉実季

認知症の人の「思い」と支援実践──語りと現実との関係から問い直す臨床社会学
■ (奈良女子大学生活環境科学系生活文化学領域)井口高志

ナラティヴ・アプローチにおける認識論の問題──小児がん患者家族の物語に関する研究から
■ (早稲田大学人間科学学術院)鷹田佳典

コンテクストに風を通す──リフレクティング・プロセスとオープン・ダイアローグ
■ (広島国際大学医療福祉学部)矢原隆行

物語を語り直す──遺伝子疾患としての多発性嚢胞腎
■ (東海大学総合教育センター)前田泰樹

言いっぱなし聞きっぱなし──自閉スペクトラム症当事者による当事者研究における物語り
■ (三重県立看護大学)浦野 茂
(Necco当事者研究会・東京大学先端科学技術研究センター)綾屋紗月
(同会)青野 楓
(同会)喜多ことこ
(同会)早乙女ミナリ
(同会)陽月トウコ
(同会)水谷みつる
(東京大学先端科学技術研究センター)熊谷晋一郎

原著論文 企業への就労支援制度の提案場面におけるアプローチ方法についての構造仮説継承型事例研究
■ (障害者職業総合センター)前原和明

ブックレヴュー/次号予告/編集後記

ほか


編集後記

社 会学の領域において,ナラティヴ・アプローチはこれまでどのように展開し,これからどこに向かおうとしているのか。この状況を見渡してみたいと思って企 画されたのが今回の特集である。この10年ほどの間に,社会学の領域でも,「ナラティヴ」,あるいは,「語り」「物語」という用語は頻繁に使われるように なり,多くの研究が生まれている。若手研究者たちが量的調査よりも質的調査に向かうことが多くなる中で,ナラティヴが注目されるのは当然の成り行きだった といえるが,ナラティヴをどう扱うかについては研究者によってかなりの違いがある。また,ナラティヴから得られた知見をどう生かすかという点にも違いがあ る。本特集では,そうした研究の多様性や広がりを示すと同時に,社会学独特の視点やこだわりのようなものも示すことができたのではないかと思う。この広が りとこだわりはこれから何を生み出すだろうか。ナラティヴの臨床社会学の今後の展開を楽しみにしたい。 (野口裕二)

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