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『認知行動療法による対人援助スキルアップ・マニュアル』

竹田伸也著

定価2,200円(+税)、211頁、四六判、並製
C3011 ISBN978-4-904536-15-5

本 書は,医療,福祉,介護,教育などの対人援助職についている人たちが,よりよい支援を行うためのスキル――認知行動療法の考え方や技法をわかりやすく紹 介したものです。対人援助のテクニックとしても,セルフ・マネジメントとしても,あるいは円滑に仕事仲間とのコミュニケーションをはかるうえでも,本書は さまざまに活用できるでしょう。
認知行動療法は,世界で一番広く活用されている心理援助アプローチで,こころのケアだけでなく,日常のストレス対処などさまざまな場面で使われています。 相手の考え方(認知)と行動を手がかりに問題解決をする手法で,ちょっとした視点とやり方を変えるだけで,支援の視界が開けます。臨床心理の場面はもちろ んのこと,困難事例を抱える医療や介護,教育場面などでも本書を使っていただけるように,多くの事例を盛り込みました。対人援助の仕事が,ますます楽しく なる1冊です。

本書の詳しい内容


おもな目次

第1部 相手へのよりよい支援を行うスキル

第1章 相手を援助するときに役立つ考え方

第2章 相手の抱える問題の悪循環を紐解くスキル

第3章 相手への援助をうまく始めるためのスキル

第4章 相手の望ましい変化を支えるためのスキル

第2部 自分が健康に仕事を続けるスキル

第5章 ストレスを理解する

第6章 嫌な気分を軽くするスキル

第7章 角を立てずに言いたいことを言うスキル

第8章 疲れた心と体を癒すスキル


はじめに

「よりよい支援ができるように,援助者としての自分の腕をもっと磨きたい」
そうした方に,ぜひこの本を読んでいただきたいと思います。なぜなら,そのためのヒントがこの本のなかにたっぷりと詰まっているからです。
この本は,医療,福祉,介護,教育などの,対人援助にかかわる仕事についている人たちが,相手を援助する技術――スキル――を高めるためにつくられまし た。相手へのよりよい支援を行うためのスキルとして,認知行動療法の考え方や技法をわかりやすく紹介しています。認知行動療法とは,考えや行動を手がかり として問題解決を図る心理療法であり,さまざまな効果が確認されているアプローチであるため国内外で広く用いられています。
そもそも,なぜ対人援助に認知行動療法が役に立つのでしょうか。対人援助の現場では,支援がうまく進まずに足踏みしてしまうことがしばしばあります。その 多くは,次のような理由によると考えられます。まず,「相手の状態を理解し援助方針をたてるために,どのように情報を収集すればよいかわからない」という アセスメントの問題です。次に,「相手の抱える問題が複雑すぎて,どこから手をつけてよいかわからない」という目標設定の問題です。最後に,「相手の問題 を解決するために,なにをすればよいかわからない」という支援の進め方の問題です。
認知行動療法は,これらの問題に明快に答えてくれます。つまり,認知行動療法を身につけることで,相手の状態を理解し,問題解決を図るために何を目標とし,そのためにどのようなことを行えばよいかという,対人援助で重要なプロセスを具体的に実践することができるのです。
本書は,職種に関係なく対人援助の仕事に携わっている人に読んでもらい,日頃の支援に役立てていただきたいと考えています。働く領域によって,支援を受け る対象の呼び名が,「患者」,「利用者」,「クライエント」などと違ってきます。そこで,どのような領域で働いていても読み進めやすいように,本書では支 援を受ける対象のことを「相手」と表現しています。また,できるだけ難しい専門用語は使わないようにし,さっそく現場で実践できるように認知行動療法の進 め方をわかりやすく述べてみました。

本 書は,2部構成になっています。第1部では,相手へのよりよい支援を行うスキルについて,認知行動療法の考え方をもとに解説します。第1章では, これからお伝えしたい認知行動療法を支える理論について解説します。ここでの理論を身につけると,相手のことをこれまで以上に理解できるようになり,援助 を行う際の視界がさらに広がります。第2章では,相手の抱える問題の悪循環を紐解くスキルを解説します。問題のカラクリを,行動や考えを手がかりに解き明 かすことで,問題解決のために何を行えばよいかが浮かびやすくなります。第3章では,相手への援助をうまく始めるスキルを解説します。相手も援助者も,す ぐにでも始めてみたくなる目標のたて方から,大きな問題を飛び越えやすいように小さくするコツまで,わかりやすく紹介します。第4章では,相手の問題を解 決し,目標を達成するための支援の仕方について解説します。相手がよりよく生きられるような望ましい変化を起こすために,認知行動療法のスキルをたっぷり と紹介しますので,楽しみにしていてください。第1部では,認知行動療法によるスキルが理解しやすいように,スキルの使い方についての具体例を随所にちり ばめています。ですが,せっかく本書をお読みいただくみなさんには,ぜひこれらのスキルを身につけていただきたいと思います。そこで,あちこちで「スキル アップ課題」を設け,みなさんが自分のことを通して,認知行動療法によるスキルがやさしく身につくようにしています。「スキルアップ課題」が登場したら, ぜひチャレンジしてみてください。
対人援助の仕事は,働きがいのある素敵な仕事ですが,一方で強いストレスを抱えてしまうこともあります。限界を超えたストレスに健康を崩され,休職や離職 に追い込まれる対人援助者もあとを絶ちません。そこで,第2部では,主語を「相手」から「自分」に変え,みなさんが健康に仕事を続けるためのスキルについ て紹介します。認知行動療法の強みは,これを身につけることでセルフケアが可能になることです。つまり,自分で自分の問題を解決したり状態を改善したりす ることが,認知行動療法によってできるのです。第5章では,対人援助者の抱えやすいストレスの正体について解説し,ストレスとうまくつきあうためにどのよ うな工夫を心がければよいか紹介します。第6章では,嫌な気分を軽くするスキルを解説します。ネガティブに考えすぎてしまうことが嫌な気分をもたらします が,そうした考えを柔軟に変え,いろんな角度から物事を捉えるにはどうすればよいかを紹介します。第7章では,角を立てずに言いたいことを言うスキルにつ いて解説します。このスキルを身につけることで,自分の意見をおしすぎたり,反対に言いたいことがうまく言えなかったりするストレスから解放されます。第 8章では,疲れた心と体を癒すスキルについて解説します。たまった疲れを取り,ストレスへの抵抗力を高めてくれるリラクセイションのうち,自分で簡単にで きるものを紹介します。
そのほかに,それぞれの章に関連したコラムを章末に設けています。目休めとして気軽に読み流してください。

さて,前置きはこれくらいにして,さっそく本題に入りましょう。


おわりに

こ の本は,対人援助に関するあらゆる職種の人々に向けて,これから対人援助の仕事に就こうと考えている学生に向けて,作られました。目の前に,この 本を読んでくださるみなさんがいるつもりで書きすすめました。ところどころ,お話し調の文体になっているのはそのためです。対人援助を行う同志に向かって いると思うと,ついつい親近感を抱いたり熱くなったりすることもありました。馴れ馴れしくご不快な表現があったとしたら,どうかお許しください。
この本が生まれたきっかけについて,少しだけ述べさせてください。
これまで,対人援助者向けの研修会をお引き受けするたびに,「相手へのよりよい支援を行うスキルを,もっと身につけたい」という感想をたくさんいただきま した。その一方で,理想に燃えて対人援助の仕事に就いたはずなのに,多くのストレスによってまさに燃え尽きようとしている仲間の話を聴く機会もたくさんあ りました。このような経験から,「相手へのよりよい支援を行い,自分も健康に仕事を続ける」という対人援助者のニーズに少しでも触れるような本を作ろうと 考えました。
書きたいことが決まったら,次は出版社です。私の頭に真っ先に浮かんだのが,遠見書房の山内俊介さんです。山内さんには,以前ある本を分担執筆した折に大 変お世話になりました。彼は,当時勤めていらした大手出版社を離れ,社名が示すように大きな志を抱いて遠見書房を立ち上げたところでした。
「山内さんなら引き受けてくださる!」という根拠のない確信を胸に,この本の企画を提案した私に,彼は快く「やりましょう!」と応えてくださいました。一介の臨床家にすぎない私に,このような機会を与えていただいた山内さんの大きさにとても感謝しています。
執筆が始まってからは,折に触れて山内さんには多くのご助言をいただきました。また,私を支えてくれた家族の存在もありました。この本に収録されたスキル を生み出した先人はもちろん,かつて臨床を指導していただいた恩師の井上雅彦教授をはじめとする先生方,私のつたない支援を受けてくださった人々,よりよ い援助を目指してともに支えあった仲間のおかげで,この本を完成させることができました。
この場を借りて,みなさまとの良縁を賜れた幸運に感謝し,心よりお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
この本が,多くの同志に少しでも役立つことを願って。

2010年3月  竹田伸也


著者略歴

竹田伸也(たけだ・しんや)
香川県丸亀市生まれ。鳥取大学大学院医学系研究科医学専攻博士課程修了。
現在,鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学専攻講師。博士(医学)。臨床心理士。専門行動療法士。精神保健福祉士。

主な著書
『誰でもできる脳いきいき教室のすすめ方―地域で楽しめる認知症予防活動』(編著,萌文社,2010年)
『認知症予防への扉』(共著,コープ出版,2007年)
『高齢者のこころのケア』(分担執筆,金剛出版,2006年)など。


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掲載されている表は,202頁~206頁にある付録1~5と,55頁にある図2-2を拡大したものです。
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