離婚・別居後の共同養育実践マニュアルー別れたふたりで子育てをするためのケーススタディ30

(一般社団法人りむすび代表)しばはし聡子 著
定価1,700円(+税),176頁,四六判並製
ISBN978-4-86616-191-4 C0011

2024年5月刊行

本書は,離婚した元夫婦がふたりで子育てに関わる方法やコツを伝える本です。著者は,自身も離婚後に子どもの共同養育を模索してきた経験を持ち,同じ悩みを持つ方を手助けしようと一般社団法人りむすびを立ち上げ,多くの元夫婦の共同養育をサポートしてきました。
わだかまりを抱えた元夫婦やカップルがどうやって共同養育をしていけばよいのか。本書では,さまざまな状況別の共同養育のケースを紹介しながら,争わない関係づくりや親子交流のやり方,共同養育の取り決めの具体例や実践するときのノウハウを伝授します。
子どもがいて離婚をする(かもしれない)人にぜひ読んでほしい一冊です。

別居前の話し合いから離婚後の子育てまで,具体的なノウハウを伝授します!


目 次
第1章 子どもがいて離婚を悩んでいる人が知っておくべき3つのこと
第2章 共同養育ってなに?
第3章 三方よし! 離婚後、両親が子育てに関わると子どもも親もいいことだらけ
第4章 子どもも親も幸せな未来のために、争わずに離婚の話し合いをするコツ
第5章 もめずに実践したい! 共同養育の取り決め&相手との関わり方のコツ
第6章 フェーズ別具体的な共同養育のケース紹介
第7章 こんなときどうする? シチュエーション別Q&A
第8章 離婚家庭で育った子ども当事者へのインタビュー


著者略歴
しばはし聡子(しばはし・さとこ)
一般社団法人りむすび代表,共同養育コンサルタント
1974年生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。
一児の母で子連れ離婚経験者。離婚当時,夫と関わりたくがないがゆえに子どもと父親を会わせることに後ろ向きに。その間子どもの気持ちが不安定になった後悔を機に,離婚後両親で子育てをする「共同養育」を普及するため,脱サラし2017年一般社団法人りむすびを設立。前職では電力業界にて広報や秘書を務める。
現在,共同養育実践に向けたカウンセリング,親子交流支援,離婚協議ADR,普及に向けた講演活動や執筆活動を行う。また,別居や離婚を経験した父母が集うオンラインサロン「りむすびコミュニティ」を運営。現在,全国から100名にのぼる会員が集い共同養育に向けた相互理解をはかる。メディア出演実績多数。
主な著書:「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て─知っておきたい共同養育のコツ」(笑がお書房,2020)


はじめに
はじめまして。一般社団法人りむすび代表しばはし聡子です。このたびは、この本をお手に取ってくださりありがとうございます。
みなさんの夫婦生活は今どのようなフェーズでしょうか。夫婦関係に悩みがある方、離婚が頭をよぎっている方もいれば、離婚に向けて行動を起こしている方もいるかもしれませんね。
そんななか、子どもがいる場合には、離婚したいけれど子どもに悪影響があるのではないか、と躊躇されている葛藤もあるかと思います。もちろん、子どもにとっては離婚しないことに越したことはありません。子どもは両親がいつまでも仲良く過ごしてくれることを切に願っています。ただ、どうしてもやむを得ない場合には離婚をするのもひとつの選択です。
離婚するほどの夫婦ですから、関係性がよいはずはありませんが、ひとつ覚えておいてもらいたいことは「離婚しても親子関係も親同士の関係も続く」ということ。離婚をするとひとり親で育てると思われがちですが、子どもにとっては両親であることは変わりないですものね。
では、離婚するほどの夫婦がどうやって両親として子育てに関わっていけばいいのか、について、具体的に知りたい方も多いのではないでしょうか。
遅ればせながら、簡単に自己紹介をさせていただきます。私自身も離婚経験者です。当時息子が小学校4年生の頃、弁護士を雇って調停離婚をしました。夫への嫌悪感や拒絶感から関わりたくないという思いが強くあり、別居後息子と夫が交流することに後ろ向きな母親でした。
父親のことが大好きだった息子は私の顔色を伺いながら、父親に会いたいと一言も発することなく、交流した際も家に帰ってから父親の話を一切しないという、まさに私に忖度した生活を送らせてしまっていました。
息子の気持ちが不安定になってしまったことなどがきっかけで、元夫ときちんと正対しようと気づいたのが離婚してから1年後。自分から元夫へ「息子ともっと会ってほしい」と連絡をして以来、あっという間に元夫婦のわだかまりが解消し、現在では息子の成長をともに見守り、時に相談をしあえる親同士の関係を再構築することができました。
なにより変わったのは息子です。以来、息子は積極的に父親の話を私の前で堂々とするようになり、タブーがなくなったことで母子の関係も良好に。私が前向きになったことでオール・ウィンの関係が今も継続しています。
自身の経験から「離婚しても親子関係、そして親同士の関係は続く」ということを痛感し、当たり前のことなのに当たり前になっていないこの社会に疑問を持つとともに、息子のような子を増やさないために、そして離婚後親同士の関係を築くことに困難を抱える方のサポートをしたいという思いから、2017年に会社員を退職し、一般社団法人りむすびを設立しました。
りむすびの活動を始めた頃は、「子どもに会えない父親、子どもを会わせたくない母親」からのご相談が多かったのですが、ここ2年くらいでしょうか。「離婚したいけど離婚後も父親に子どもに関わってもらいたい。子どものダメージを最小限にしたい」という母親からのご相談が増えてきました。そして、どの母親も声を揃えて言うのが「話し合いがうまくできない。離婚した後、元夫婦で子育てをしていきたいけれど具体的なイメージが湧かない」ということ。
離婚を後押ししたくはないけれど、離婚を選択することを決断しているのであれば、①話し合い方、②離婚後の子育ての仕方についてのアドバイスは、まさにりむすびの得意とする専門分野なので、具体的なケースも含めてお伝えすることで離婚に悩んでいる方、そしてその先にいる子どもたちを救えるのではないかという思いから、この本を執筆するに至りました。
離婚したいと思うと、目の前のことで頭がいっぱいになって、いかに有利に離婚するかということばかり考えてしまいがちですが、数年後の先を見据えて逆算思考で今何をすべきかを知っていただける機会になれば光栄です。

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