DVDでわかる 家族面接のコツ(2)家族合同面接編
東 豊 著 (解説・児島達美)
定価6,600円(+税)、180頁、A5版、並製(DVDつき・箱入り)
C3047 ISBN978-4-904536-52-0
「名人芸とは言われぬよう,じっくりとお見せします」
話の中身に過度にとらわれる癖をやめれば,変化を実現できる技術が身につく!
初回と2回めの面接を収録したDVDと,書籍にはケースの逐語,東豊と盟友 児島達美による詳細な解説等を収録。
天才セラピスト東豊による家族面接DVDシリーズの第2弾。
姉妹編→『DVDでわかる 家族面接のコツ(1)夫婦面接編』もよろしくお願いします。
映像見本↓(画像をクリックしてください;youtubeで見たい方はhttp://www.youtube.com/watch?v=dcZ7_81Yd8A)
まえがき─システムズアプローチをシンプルに理解する─
逐語編 浅田家のケース〔1回目〕
逐語編 浅田家のケース〔2回目〕
解説編 虫退治・成功へのプロセス〔1回目を解き明かす〕
解説編 虫退治・成功へのプロセス〔2回目を解き明かす〕
付録:浅田家役4人のコメント
あとがき─ここだけの話にしてほしいこと─
まえがき─システムズアプローチをシンプルに理解する─
キーワードは「相互作用」
心理療法におけるシステムズアプローチとは,セラピストが,自分とクライエント(個人であれ家族であれ)のコミュニケーションの相互作用を強く意識して関わり,その取り扱いによってクライエントの益を生み出そうとする一連の方法論である。
中核的前提として,持ち込まれた「問題」はシステムの一部分であり,システムが変われば「問題」は消失すると考える。
システムのひとつは個人システムである。心身医学でいう心身交互作用は特に重要である。心と体は相互に影響し合って全体を形成している,man as a whole,man as a systemとしての人間理解である。心が変われば体が変わる(もちろんその逆もある)。
システムのもうひとつは家族システムである。これは家族構成員間の相互作用のパターンである。family as a whole,family as a systemとしての家族理解である。個人システムはその中にあって家族システムと相互に影響し合っている。家族システムが変われば個人システムが変わる(もちろんその逆もある)。
他に,学校や職場など,個人や家族に大きな影響を与える環境システムがあるが,セラピーにおけるセラピスト・クライエント間の相互作用も当然そのひとつである。これを特に治療システムと呼ぶ。
システムズアプローチでは,セラピストは「治療システムのありよう」を道具にして,クライエントの個人システムあるいは家族システムに(ときには環境システムに)変化を起こそうとする。結果,「問題」を「非問題」にする。
また,たとえば子どもの「問題」で母親だけが相談に来ている場合,母親が変化すれば一度も治療に来ない子どもの「問題」が消失することがあり,これも家族 療法と言って良いのだが,より多くの家族構成員が治療に来てくれるなら,変化はいっそう容易となる。セラピストが家族合同面接を施行できる能力を持つこと は重要である。
一番簡単な家族面接
システムを変えるために必要な心構えは次の通りである。
まずは,そのシステムに同調すること。これをジョイニングという。相手に受け入れてもらうことと言っても良いし,相手と同じ土俵に乗ることと表現しても良 い。相手の価値観や力関係など,現在あるものにとけ込もうとする意識と,それらにそって会話を組み立てる能力である。これができるということは,少なくと も「システムの見立て」の力があるということでもある。
次に,システムの変化にトライする心意気をもつこと。しかしそのためには「何をどう変えようとするのか」,しっかりと意識しなければならない(クライエントと共有するゴールとは別である)。
漠然と会話していてはいけない。変化した後のイメージを明確に持って,そしてそれが必ず現実化するとの想いを強く持って関わることが大事である。
たとえば,これについて私が推奨するおそらく最もシンプルなゴールは,「問題」や「問題の人(Identified Patient)」と近い人を今より比較的遠くに,遠い人を今より比較的近くに,といった配置転換(役割交替)である。現実的には,IPが子どもである場 合,前者が母親であり後者で父親であることが多いようである。もちろん,このような計画は,言うは易し行うは難しであろうが,面接場面で家族から語られる さまざまな「話の中身」に過度にとらわれるセラピスト側の癖をやめることができたなら,やがて必ずそれを実現するための技術は身に付いてくるものである。
さて,本シリーズも2冊目となった。今回も,入念に作り込まれた家族(今回は4人家族である)をクライエントにして,初回面接と第2回面接がノー カットで収録された。また,そのDVDを観ながら行った児島達美先生とのディスカッションもほぼそのまま収録されている。ここ20数年間,毎度のことでは あるが,今回もまた児島先生とのディスカッションは実に刺激的であった。
読者には,まず解説を読まずにDVDを鑑賞し,感じとったものをじっくり内省していただいた上で,解説を読み,もう一度DVDを見直してほしい。おそらく,第1巻よりもさらに得るものは大なるはずである。
東 豊
東 豊(ひがし・ゆたか)
龍谷大学文学部臨床心理学科教授(2012年4月~)
臨床心理士,医学博士(鳥取大学)
1956年滋賀県生まれ。
関西学院大学文学部心理学科卒。
九州大学医学部心療内科,鳥取大学医学部精神神経科,神戸松蔭女子学院大学人間科学部心理学科などを経て現職。
専門はシステムズアプローチ・家族療法。
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