カウンセラー、元不登校の高校生たちと、フリースクールをつくる。──学校に居づらい子どもたちが元気に賑わう集団づくり

カウンセラー、元不登校の高校生たちと、フリースクールをつくる。
──学校に居づらい子どもたちが元気に賑わう集団づくり

(松江未来学園)野中浩一 著

1,700円(+税) 四六判 並製 150頁 ISBN978-4-86616-175-4 C0011

 

 

元不登校の子どもたちが元気に巣立つフリースクールを立ち上げた!

島根に28歳でIターン移住した著者は,ひょんなことからフリースクールを立ち上げることになった。大学院で心理学を学びなおし,ときに失敗や悩みながら,実践する悪戦苦闘の日々。学校に「いる」ことが難しかった高校生たちが,やがて学校に通いはじめ,集団の中で笑いあい,人と積極的に関わるようになっていきます。元不登校の高校生たちから学び,ともに作り上げてきた15年間の試行錯誤の過程が,著者のさまざまなエピソードとともに詰まっています。
フリースクールに関心がある方,起業したい人だけではなく,思春期の子どもたちや不登校生徒と関わる支援者に届いてほしい一冊です。


目  次

はじめに
第Ⅰ部 フリースクール流「不登校」回復論
第1章 フリースクールをつくろう
第2章 不登校ってなんだ
第3章 松江未来学園という場所
第4章 松江未来学園の拠りどころ
第5章 世界のオルタナティブスクール
第6章 日本の教育と選択

第Ⅱ部 子どもも家族も学校も「変化する」対人援助論
第7章 支援の構造①「おばあちゃんとラポール」
第8章 支援の構造②「理解と見立てと西郷さん」
第9章 支援の構造③「ふるさととグループ」
第10章 支援の構造④「ゆっくりでいいよ」の功罪
第11章 支援の構造⑤ ファミコン世代が考える、わが子の「スマホ依存予防」作戦
第12章 幕を閉じる

あとがき
松江未来学園「理念と100のこだわり」


著者略歴

野中浩一(のなか・こういち)松江未来学園園長,公認心理師
1978年生まれ。立命館大学大学院修士課程修了。東亜大学大学院博士課程単位取得満期退学。大学で心理学、専門学校では精神保健福祉学、大学院(修士課程)で人間科学を修め、大学院(博士課程)では臨床心理学を専攻。心理学および対人援助学の観点に基づく教育の実践と研究を行う。
主に集団(グループ)での関係づくり、10~20名程度の小集団教育、家族関係相談が専門。フリースクール運営のほか、スクールカウンセラー、講演・研修講師、執筆家として活動。


はじめに

この本は、ちょっと変な対人援助論です。

学校やクラスに「いる」ことが難しい子がいます。
勉強を「する」、集団行動を「する」ということ以前に、
そこに「いる」こと自体に困難を抱えているケースがあります。

不登校になった子に加えて、潜在的にいづらく感じている子も含めれば、
クラスの2割くらいの子が「いる」ことの困難を抱えていると感じています。

この本は、当時28歳の私がなりゆきでフリースクールの運営をすることになり、
「いる」ことの難しい子どもたちと一緒に学んできたこと、
そして15年間の対話や遊びや失敗やすれ違いから得たことについて書いたものです。

学校に通えないと思われていた子が学校に通い、
集団が苦手だと言われていた子が集団の中で笑いあい、
人前で意見を言わないと思われていた子が集団の中で自分の意見を語り、
勉強に向かえないと思われていた子が毎日勉強に向かい、
支援が必要だと思われていた子が、人を思いやり声掛けや手助けをする。

そこに至るまでの試行錯誤の過程を、私自身の人生と交差させながら書いています。

この本は、こうした2割くらいの、クラスに「いる」ことが難しい子を気にかけている大人に向けています。
その大人は担任の先生かもしれないし、養護の先生かもしれないし、カウンセラーかもしれないし、あたたかい目で子どもの今を心配している誰かです。

そうした身近な子どもの今を見守っている大人、簡単な解決などない中で「どうしたらいいんだろう」と日々模索している方々のささやかな支えの一部分になることを願って書いたものです(もし読んでみて分かりにくさを感じた方は、まずは間に挟まっているフリースクールコラムだけを読んでみてください。このコラムは、私が運営するフリースクールで保護者さん向けに配布した文章です。そのため比較的読みやすく書かれています)。

「思春期の子どもの援助論」および「そのための環境づくり」が話題の中心ですが、その周辺のこと、スマホ依存や勉強への動機づけ、子育てや家族関係や田舎暮らしや経営や教育制度論など、多岐に渡る話題が混ざっています。

この雑食性が本書の変なところですが、その理由は読後感とあとがきに委ねたいと思います。よければ最後までお付き合いいただけると幸いです。

 

 

 

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