海外で国際協力をしたい人のための活動ハンドブック――事前準備から,現地の暮らし,仕事,危機管理,帰国まで

 

海外で国際協力をしたい人のための活動ハンドブック――事前準備から,現地の暮らし,仕事,危機管理,帰国まで

(順天堂大学医療看護学部・大学院医療看護学研究科)岡本美代子 編著

本体1,800円(+税) ISBN978-4-86616-130-3 C0036 A5判並製 160頁
2021年10月発行 ※電子書籍版あります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海外で国際協力活動をしたい! この本は,そんな志を抱いている人に向けて,海外活動経験者から役立つアドバイスを集めたものです。
「国際協力って何?」「まずどんな準備をしたらいいの?」「危険に対処するには」「プロジェクト運営のノウハウ」「本部事務所との連携」「プロジェクトの仕舞い方」など,渡航前から帰国までの基礎知識と実践スキルが満載。
現代はグローバル化が進み海外での活動が進めやすくなったとはいえ,貧困や格差,治安の悪さ,感染症,文化習慣の違いによるカルチャーショック,現地スタッフとの協働など,途上国での活動には様々な困難が待ち受けています。経験者が体当たりで培ってきたノウハウをしっかりと学んで,国際協力の舞台に飛び立とう!


推薦の辞
これまで国際協力本は数多くあったが、他と違う本書の特徴は著者の”親心”が丁寧に指南してくれる点にある。読み進めるうちにまるで現場にいる感覚を覚え、基礎知識から実践技までを伝授してくれる類まれな本である。
順天堂大学国際教養学部グローバルヘルスサービス領域教授 湯浅資之


目次

第1章 海外で活動したい!
1節 自分も海外で活動できるのかな?〈ストーリー1〉
2節 国際協力の現場で活動するための基礎知識
3節 国際協力活動をする立ち位置
4節 国際協力活動をする組織
5節 国際協力活動をする目的

第2章 途上国に行くまでに準備すること
1節 準備は入念に〈ストーリー2〉
2節 途上国で暮らすための基礎知識
3節 途上国でのリスク管理と危機管理
4節 本部(国内)と現地事務所(海外)の役割
5節 組織と運営
6節 現地で使える基本スキルとツール

第3章 途上国への赴任
1節 右も左もわからない土地で何からやればいいの?〈ストーリー3〉
2節 現地での生活基盤を整える
3節 現地事務所を立ち上げる
4節 現地事務所の運営のリアル
5節 日本からの派遣人材への支援

第4章 プロジェクトの実施
1節 活動開始するまでに何をすればいい?〈ストーリー4〉
2節 プロジェクト企画
3節 プロジェクト運営の実際
4節 報告 効果的な情報共有

第5章 後方支援―本部が現地事務所をどう支えるか
1節 現地事務所のピンチを救えるか?〈ストーリー5〉
2節 本部と現地事務所の連携
3節 組織の成果・軌跡

第6章 プロジェクトの仕舞い方
1節 プロジェクトは永遠ならず〈ストーリー6〉
2節 ハンドオーバー計画は事業開始時に
3節 事務所の仕舞い方

第7章 SDGs・ESG時代の企業と途上国への国際支援・協力
1節 企業のSDGsとESGを見据えた社会貢献
2節 企業の途上国でのCSRのコツ

第8章 大学の途上国への国際支援・協力
1節 グローバルな視点での教育
2節 途上国へのスタディ・ツアー
3節 途上国の研究者支援

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編著者紹介
岡本美代子(おかもと みよこ)
順天堂大学医療看護学部・大学院医療看護学研究科・准教授。
徳島県出身。順天堂医療短期大学卒業後,千葉大学看護学部に編入学。卒業後,順天堂大学医学部附属順天堂醫院入職。途上国支援を目指して専門的知識を得るために渡米,Tulane University, School of Public Health and Tropical MedicineにてMaster of Public Health(MPH:公衆衛生学修士)を修得。ベトナム保健省,カンボジア保健省とのコントラクト事業にて地方保健行政システムの構築に携わった後,名古屋大学大学院 医学系研究科博士課程へ進学。在席中に,ピープルズ・ホープ・ジャパンの運営委員,テクニカルアドバイザー等を行う(2021年9月より理事)。医学博士を修得し,2015年より現職。現在の専門は,国内外の人々の健康をテーマとする公衆衛生およびグローバルヘルス。


執筆者・協力者情報一覧 
(50音順:所属は2021年6月現在)
執筆
石関 正浩:元PHJ職員,現・Mercy Relief, Head-International Programmes
――5章2節1-2, 4-5,3節
石山加奈子:PHJ職員
――2章3節1(共著);3章2節2(共著)
岡本美代子:PHJ運営委員(2021年9月より理事)/順天堂大学医療看護学部・准教授
――はじめに,1章1節,2節1-5,3節1,5節,2章1節,2節2, 3, 4,5節4,6節1-9,3章1節,4章1節,4節1,5章2節6,6章1節,8章3節,Column1, 3, 7, 11, 16-17, 20,あとがき
小田 晉吾:PHJ理事長
――初版によせて
木村 純子:キヤノン株式会社 CSR推進部部長
――Column18
中田 好美:元PHJ職員,現・JICAリベリアフィールドオフィス企画調査員
――1章3節2,4節,2章2節1, 5,3節8,4節,5節1-3,3章2節1, 2(共著),3-5節,4章2-3節,4節2-3,6章2-3節,Column2, 4, 6, 8-10, 12-14
中野 惟文:東北大学大学院文学研究科 人間科学専攻 文化人類学専攻分野 後期課程
――Column19
南部 道子:PHJ職員
――付録(共著)
張田 昊君:順天堂大学医療看護学部3年
――本文挿絵
藤野 康之:PHJ職員/新潟青陵大学看護学部看護学科・非常勤講師
――7章1-2節(共著)
三浦  敦:埼玉大学大学院人文社会科学研究科・教授
――8章2節
矢﨑 祐子:PHJ職員
――付録(共著)
山﨑 承一:PHJ職員
――5章2節3,7章1-2節(共著)
山田久美子:元PHJ職員,現・パレクセル・インターナショナル株式会社
――5章1節
横尾  勝:PHJ職員
――Column15
吉野 八重:PHJ運営委員(2021年9月より理事)/上智大学総合人間科学部看護学科・准教授
――1章2節6-7,2章3節2-7,8章1節,Column5

表紙写真提供 久保 年弘
協力 岩楯 真緒:順天堂大学医学部付属順天堂醫院看護師
   比嘉 美波:順天堂大学医療看護学部3年


はじめにより
近年のグローバル化は身近なところにも感じられ,“国際(global)”というキーワードに魅力を感じて多くの分野で国際協力に関心を持つ人が多くなってきたと思います。現実を知れば知るほど,現代の日本と途上国との格差に気づき驚かされるでしょう。その大きな格差には,もう誰もが無関心ではいられない時代となってきました。国連によって掲げられたSDGs(1章2節1参照)をもとに,全世界の一人ひとりが,また一つひとつの団体や企業が「何かできることを」と考えるようになってきたことは,確かに大きなムーブメントになって世界を変えていく原動力となっています。
さて,この同じ世界に住む一人である“あなた”は,その抱いた関心をどのような具体的な活動につなげていくのでしょうか? 毎日の生活でエコな工夫をしたり,募金を始めとする積極的な支援活動をしたり,見渡せば多様な活動があります。その中で,実際に「海外(主に途上国)で国際協力をしたい!」という直接的な支援活動を選ぶ人がいます。それを将来的な職業にと希望する人もいます。さらに,日本で培った経験やスキルを海外で活用しようと考えている人もいます。
本書は,そのように実際に「海外で国際協力をしたい!」と考えている(もしくは,すでに活動をしている)人に向けてのハンドブック(指南書)としています。使命感を持ち健康や体力に自信があり,エネルギーが溢れていることは,ある意味,途上国で活動する必須条件であり恵まれている資質と言えるでしょう。しかしながら,途上国は,決して安全・安心できる生活の場とは言えないことが多くあります。そして支援活動は,危険を冒して行う冒険ではありません。また,そこでの支援活動も複雑で容易ではありません。実際,その支援活動において,何が求められているのかは曖昧で,事前に準備できないものも多くあります。これまでは,とにかく“行ってみて,転び(失敗し)ながら学ぶ”という,体当たりでの活動が多かったと思います。それは,編著者が“行ってみて,転んだ(失敗した)経験をしながら学んだこと”とも重なります。
本書は,編著者のこれまでの経験をもとに,長年に渡る支援団体(付録参照)への外部アドバイザーを担う中で確信を得たことから構想を得ました。この“転ばぬ先の杖”の必要性の発想が原点となり,海外(おもに途上国を想定)で活動をしようと志を持つ人への“杖”となろうと試みたものです。編著者の良き理解者である多様な経験を豊富に持つ各々の執筆者からの“想い”と“知識”と“経験”が織り交ぜられた仕様になっています。もちろん,支援活動に正しい“解”(正解)などはなく,その場その場に応じた“解”を探り,決断する時にあなたに寄り添う本になれればと思います。

本書を手に取られた方々に,協力していただいた執筆者の皆さん,支援団体,そして編著者の真摯な“想い”が届きますように。そして,読者を含む世界中の一人ひとりの“想い”がつながることで,世界が平和で格差の無い時代がやってくることを願っています。
編著者


 

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