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『心理学で学ぶ!子育て支援者のための子育て相談ガイドブック』

神村富美子 著

定価1,900円(+税)、158頁、四六判、並製
C0011 ISBN978-4-904536-13-1

子育て支援は,親との関係作りから! 実例豊富! ベテラン心理士が教えるラクになる子育て相談!

保育園や,幼稚園,学童保育,小中学校の先生,各支援施設の援助職などの子育て支援者のみなさん,「子育て相談」で困っていませんか?
子育て支援を専門にする臨床心理士の書いた,今日から役立つガイドブックです。

クレームの多い親,とっつきにくい保護者,虐待が疑われるお子さん,複雑な事情のある家庭……さまざまな保護者の方とかかわることの多い子育て支援者のための一冊です。
話の聞き方,カウンセリングのしかた,アドバイスのしかた,「性格」や「こころの病」の解説などなど,具体的な事例を通して,子育て相談に役立つ,心理学の知恵と技術が学べます。難しい方々とのつきあい方も,今日からラクになるでしょう。
本書を書いたのは,子育て支援者の研修や,実際の子育て相談で活躍するベテラン臨床心理士です。
大学などのテキストにもおすすめします。

本書の詳しい内容


おもな目次

第1部 基礎知識を身につけよう

第1章 今の子育て事情とこれからの子育て支援

第2章 カウンセリングと相談の違い

第3章 表メッセージと本音

第2部 実践をしてみよう

第4章 相談の実践

第5章 他機関につなげたいとき

第6章 虐待が疑われるとき

第7章 こちらからアプローチしたいとき

第3部 パーソナリティ(性格)と精神疾患の知識を得る

第8章 自分の癖を知る

第9章 いろいろな保護者とその対応

第10章 パーソナリティ障害が疑われる保護者とその対応

第11章 精神疾患の保護者とその対応

第4部 仕上げ──子育て支援のプロになる

第12章 支援のステップ

第13章 情報集めと見立て

第14章 戦略を練る


はじめに

筆者は10数年前から地域にて親講座を依頼されて行うようになりました。まだ子育て支援という言葉が今ほど市民権を得ていない時代でした。しかし子育て中の親は子どもの生態や発達がわからず不安やとまどいを抱えていました。その当時親たちが望んでいたものは日常の育児不安を軽減してくれる具体的な知 識やスキル,そして同じ思いをして子育てをしている親どうしのおしゃべりの場でした。偉い先生に有名な理論を教えてもらうことよりも同じ立場の者どうし 日々の悩みや不安を話し合える場が大切だったようです。昔は地域のつながりが密接でしたから新米ママはできあがった井戸端会議グループに入ればよかったのですが,現代ではまず仲間を集うところからはじめなければなりません。
数年前にカナダ生まれの親教育プログラム「完璧な親なんていない!」に出会い,このプログラムは日々の育児の問題を具体的に解決し,なおかつ親のサポート グループ作りにも役立つと感じました。それからさまざまな地域で「完璧な親なんていない!」を実施し,たくさんの親と直に子育てについて,親であることに ついて,家族関係について話してきました。その経験から感じることは,子育てについて学ぶことなく実践することの大変さ,親を身近でサポートしてくれる善意の人がいないこと,親どうしの繋がりがなく作ろうとしてもなかなか親密になることが難しい現状などでした。
そうした問題を軽減すべく「完璧な親なんていない!」の普及に取り組んでいますが,限界があります。「完璧な親なんていない!」で親どうしのサポートグ ループは作れるのですが,彼女たちを支える地域の善意の人が必要です。そのためには地域の再生が必要です。たとえば東京都中野区では地域子ども家庭セン ターを作り,そこでは通常の子育て支援とともに地域再生,人と人とをつなぐ企画に取り組み始めました。しかしながら地域再生ができるまで「地域の善意の 人」の代わりとなってくれるサポーターが必要です。それはおそらく保育園,幼稚園,児童館,学校,子育て支援センターのような施設で職員が対応していくし かないでしょう。現に多くの行政ではこれらの施設を子育て相談の窓口としています。その結果これらの施設では子どもへの対応のほかに多種多様の子育て相談 に応じることになっています。
ではそれらの相談を受ける職員はどう感じているのでしょうか? サポーターになりえているのでしょうか?
筆者は長年,子どもに関わる人への研修や個別の事例相談を行ってきました。そのなかで子育て支援業務を行う職員から聞かれる声は「親が多種多様でわからな い」「対応の難しい親が増えた」「そもそも相談の受け方,助言の仕方がわからない」などがあります。子育て支援をしている方の多くは保育士,幼稚園教諭, 小学校教諭などで,専門は子どもであるため,親対応の仕方を体系的に学ぶチャンスにめぐまれなかった方がほとんどなのです。
筆者はある行政から子育て相談ができるように職員を研修してほしいという依頼をうけました。そこで1回3時間,全12回の研修を組み立て実施してまいりま した。本書はその研修をもとに執筆し,対面の実習で行っていた部分を日常生活で行えるよう「レッスン」を課題として加えたものです。
この本は子育て支援に関わる方が実践的で具体的な知識とスキルを得るために書いたものです。実際に研修を対面で受けているように平易で具体的な表現を心がけたつもりです。
また題材として取り上げた事例は日々出会うようなリアルなものを心がけましたが,架空のもので仮名となっています。
本書が日々の子育て支援に役立ち,日本の子育てをバックアップされている皆様のサポートとなることを願っております。


おわりに

さまざまな現場で,子育て支援に奮闘している方々がいらっしゃいます。その多くの方は,子どもを対象とした職業です。しかし,現在の子育て支援は, 親支援という考え方が浸透し,子どもを対象とした施設や集団では,保護者支援もしていかなければなりません。また,近年家庭の教育力の低下,極端化が問題 になり,保護者支援の重要性が増しています。しかしながら,もともと子どもを対象とした職種では,大人を支援する方法,相談業務のノウハウを学んだ経験の ある人は,少ないでしょう。それでいて現場では,そうした知識や技術が必要になってきています。

本書は,相談業務について,特に知識や経験がなくても実践に生かせる方法を身につけることを目標に書かれています。
そのため,なるべく平易な文章で,身近に思える事例を題材に書き進めたつもりです。本書が日々の相談業務に役立てられれば幸いです。

筆者は,長年子どもに関わる職業の人に保護者支援の知識とスキルを研修という形で伝えてきました。この本は,研修でお伝えしてきたものを,より多くの人にお伝えできる本という形にしたものです。生の研修でお伝えできるものを,なるべくこぼさずお伝えできるよう,筆者なりに工夫したつもりです。

援助を仕事とする人は,がんばりすぎて燃え尽きることも多いようです。人間には,誰でも限界があります。自分自身の,職場の限界を受け入れて,子育て支援を細く長くしていただければと願います。

最後に,筆者の今までの研修で得たものを本にしたいという思いを実現してくださった遠見書房の山内俊介さんと,応援してくださった三沢直子先生に感謝いたします。


著者略歴

神村富美子(かみむら・ふみこ)=臨床心理士。現在,鉄道弘済会「お母さんのカウンセリングルーム」にてカウンセリングを行うかたわら,行政や各種機関で 子どもに関わる職業の人むけの保護者対応の研修を行っている。またNPOコミュニティカウンセリングセンターの副理事として親教育プログラム「完璧な親な んていない!」の普及活動を行っている。