一人で学べる 認知療法・マインドフルネス・潜在的価値抽出法ワークブック──生きづらさから豊かさをつむぎだす作法

一人で学べる
認知療法・マインドフルネス・潜在的価値抽出法ワークブック
──生きづらさから豊かさをつむぎだす作法

(鳥取大学医学部教授・公認心理師・臨床心理士)竹田伸也著

本体1,200円(+税) ISBN978-4-86616-127-3 C0011 B5判並製 112頁

 

 

 

 

 

ため息ばかりで,やる気もでない。楽しいことなんか一つもない。豊かな人生を送りたいけれど,自分には無理。
そう思ってはいませんか。

専門的な心の臨床からちょっとした問題解決まで,さまざまな場面で使われる認知行動療法。その技法をもとに,生きづらさから豊かさをつむぎだす。この本は,そのための作法を,楽しく,わかりやすく一人で学べるワークブックです。
これまで紹介されている幅広い技法に,まったく新しいアプローチも交えた世界がこの中に広がっています。
日々の暮らしを新たにデザインする一歩を,一緒に踏み出しましょう。

関連書→『認知療法・マインドフルネス・潜在的価値抽出法ワークブック』セラピスト・マニュアル


主な目次

1.生きづらさの章
《1》最初の一歩
《2》認知的紐づけ編―─マイナス思考の正体とは――
《3》体験の回避編――何が生きづらさを引き寄せるのか――

2.心の柔軟性の章
《4》次の一歩
《5》認知療法編――考え方の幅を広げる力の高め方――
《6》マインドフルネス編――今を存分に味わう力の育み方――

3.価値にかなった暮らしの章
《7》さらなる一歩
《8》価値にそった行動編――豊かさに向かわせるもの――
《9》潜在的価値抽出法編――マイナス思考の奥に秘められた価値を見出す――


著者紹介

竹田伸也(たけだ・しんや)
 鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学専攻教授。博士(医学),公認心理師,臨床心理士,認知行動療法スーパーバイザー。香川県丸亀市生まれ。鳥取大学大学院医学系研究科医学専攻博士課程修了。

 鳥取生協病院臨床心理士,広島国際大学心理科学部講師,鳥取大学大学院医学系研究科講師,准教授を経て現職。日本老年精神医学会評議員,日本認知症予防学会代議員等を務める。
 「生きづらさを抱えた人が,生まれてきてよかったと思える社会の実現」を臨床研究者としてもっとも大切にしたい価値に掲げ,研究や臨床,教育,執筆,講演等を行っている。
 主な著書に,『認知行動療法による対人援助スキルアップ・マニュアル』(遠見書房,2010),『マイナス思考と上手につきあう認知療法トレーニング・ブック─心の柔軟体操でつらい気持ちと折り合う力をつける』(遠見書房,2012),『対人援助職に効くストレスマネジメント―ちょっとしたコツでココロを軽くする10のヒント』(中央法規,2014),『心理学者に聞くみんなが笑顔になる認知症の話─正しい知識から予防・対応まで』(遠見書房,2016),『対人援助の作法―誰かの力になりたいあなたに必要なコミュニケーションスキル』(中央法規,2018),『クラスで使える! アサーション授業プログラム―自分にも相手にもやさしくなれるコミュニケーション力を高めよう』(遠見書房,2018)など多数。

 


はじまりの章


こんにちは。
僕の本を初めて手に取っていただきましたか? だとしたら,初めまして。竹田伸也といいます。どうぞよろしくお願いします。もし,以前に僕の本に触れていただいたことがある方でしたら,再びお会いできて嬉しいです。いずれにせよ,この本を手に取ってくださり,ありがとうございます。
たくさんある本のなかからこの本を取ったのには,あなたにしかわからない事情がきっとありますよね。でも,その事情がどのようなものであれ,根っこには「豊かな人生を送りたい」という気持ちがあるのだろうと思います。実は,僕もそう思う一人なのです。
豊かな人生を送るために,きっと力になってくれること。これが,僕がこれからあなたにお話ししたいことになります。この本のなかでは,人それぞれ異なる人生の豊かさをつむぎだすために,心理療法の一つである認知行動療法の考え方を援用します。認知行動療法がなにかを知らなくても,この本でお伝えしていることは,あなたに十分に理解していただけると思います。ちなみに,認知行動療法という言葉は,このあとほとんど出てきません。なので,それが何なのかを簡単にお伝えします。
認知とは,物事のとらえ方のことです。マイナス思考やプラス思考と言ったりするときの「思考」と同じ意味です。認知行動療法では,僕たちが生きづらくなるのは,認知と行動にその理由が隠れているかもしれないと考えます。そして,その生きづらさを解決するためにも,認知と行動に手がかりがあると考える。それが認知行動療法です。物事のとらえ方やふるまい方をどうにかすることで,僕たちの抱える問題を解決するアプローチとでも思っていただいたら結構です。

ところで,あなたは豊かな人生を送るには,そのための何か現実的な条件が必要だと思いますか? 裕福でなければダメ。健康な体でなければダメ。残された時間がたっぷりなければダメ。自分のことを理解してくれる人がいなければダメ。ほかには,どうでしょう。あなたがもし豊かな人生を送ることに高いハードルを感じているとすれば,それは何が必要だと考えているからでしょうか。
豊かな人生を送るために,そうした現実的な条件が必要なのであれば,僕がこの本で何を伝えようが,「そもそも,自分は豊かな人生を送る条件を備えていないので無理」という結論になってしまいます。
僕は,そんな一部の人にだけ開かれた話をしたくて,あなたに向き合っているわけではありません。裕福であろうがなかろうが,病気や障がいを得ていたとしても,残された時間がわずかだったとしても,そのほかあなたが「これだから無理」と思う条件が重なっていたとしても,豊かな人生に向かうことはできる。これからお伝えする豊かな人生を送るための話は,すべての人に開かれた話です。そんな話を,これからしてみたいと思っています。
本書では,「気づきのワーク」と「メンタルストレッチ」という2種理の体験が用意されています。気づきのワークは,生きづらさから豊かさをつむぎだすために,あなたに気づいていただきたいことが収まったワークです。メンタルストレッチは,生きづらさから豊かさをつむぎだすために,あなたに身につけてもらいたい心の柔軟性を育むエクササイズです。どちらも,簡単にできることですので,どうか存分に楽しんでください。
さて,さっきから僕はあなたに話し言葉でお伝えしているのに気づいているかもしれません。この本で,僕は自分の口から言葉をつむぎ出し,心を込めてあなたにお話しするつもりで,お伝えしたいことを表しています。ですので,あなたにも,この本を通して伝えようとする僕の話を存分に聴いていただきたいと思います。
それでは,話を先へ進めましょう。

 


 

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