子どものこころの世界──あなたのための児童精神科医の臨床ノート
子どものこころの世界
――あなたのための児童精神科医の臨床ノート
小倉 清 著
定価1,800円(+税) 216頁 四六判 並製
ISBN978-4-86616-091-7 C0011
2019年8月10日発行
小倉清先生による児童精神医学の本質を伝える1冊
この本は,児童精神科医が一般や初学者に向け,子どもの心の問題
この本は,そんな著者によって書かれた『こころの世界「私」はだ
小倉先生の本→『治療者としてのあり方をめぐって』(土居健郎先生との共著)
『こころの原点を見つめて』(小林隆児先生との共著)
『子どものこころを見つめて』(村田豊久先生・小林隆児先生との共著)
『「甘え」とアタッチメント』(小林隆児先生・遠藤利彦先生共編)
はじめに
この本は、三十五年も前に「語り」として彩古書房から「こころのせかい」という題で出版されたものでした。昭和でいいますと五十九年という年でした。例の学園紛争もそろそろ終焉にせまっていた頃でしたが、いろいろな局面で、日本という国は紛争の真っ只中だった頃でした。人々はいろいろな意味で混乱していたといえるような時代でした。
私はその頃、子どもの精神科臨床で多忙な日々を送っていたので、書く作業にはとりかかれませんでした。彩古書房の長谷川洋子さんは、精神科関係の本の出版に力を入れておられ、私のこの本を含めて十冊位のモノグラフを出版されたのでしたが、その後、事情があって、その出版社は終了しました。そしてこの本はもう過去のものとなったのでした。
ところが、その後、日本という国は前進した面もありながら、むしろ混乱が深くなったもあって、その結果のひとつとして精神科、特に子どもをめぐる問題が深刻になってきて、人々がそれらに注目するようになってきたように思えます。
そして、この本はどういうことか、新しい出版社(遠見書房)の山内俊介さんの眼にとまり、あちこちに訂正や追加をほどこして「子どものこころの世界」と題も改めて、一般の方々にも理解可能な述べ方を守ることにしたのです。
この本が、読まれる方々にとってなんらかのお役に立つことが出来ればと願う次第です。
二〇一九年五月(令和元年)
小倉 清
目 次
不安のコントロール/怒りのコントロール/変化への対応/人に与
正常と異常/正常のなかの異常/異常は行動にあらわれる第三章 症状の成り立ち
ストレスフルな現代社会/防衛機制/症状の発生第四章 症状の意味
第五章 心の成長
〇歳児/一歳児/二、三歳児/保育園から幼稚園児へ/小学一、二
欲望の充足/征服欲/能動性への移行/現実逃避/コミュニケーシ
価値観の多様化/価値の基準/家庭の崩壊/社会文化的な諸要素/
社会文化的な背景/偏差値/学歴偏重/教育の見なおし
第九章 子どもの成長
歴史にみる子ども/子どもの成長と自然破壊/都市生活と子どもの
大人への不信感から暴君と化したA君/親から離れたいというB君
病気とは何か/治療のあり方
著者紹介
小倉 清(おぐら・きよし)
1932年和歌山生まれ。1958年、慶応義塾大学医学部卒。1959
主な著書
『小倉清著作集1~3、別巻1』(岩崎学術出版社)、『子どもの
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