精神看護のナラティヴとその思想―臨床での語りをどう受け止め、実践と研究にどうつなげるのか

精神看護のナラティヴとその思想
――臨床での語りをどう受け止め、実践と研究にどうつなげるのか

(帝京大学医療技術学部・看護学科教授)松澤 和正 著

定価2,200円(+税) 四六判 200頁 並製
ISBN978-4-86616-078-8 C3047
2018年12月発行

聞こえない声はどこに届くのか

臨床実践と研究のためにナラティヴの意味と方法をめぐる論考

「……私たちは,臨床という気まぐれな暴風雨のさなかに巻き込まれているかのように思われた。良くも悪しくも,大自然の天候しだいというような,ある種の無力感に日々襲われ続けていた。これは確かな苦しみだった。
その頃だった。ナラティヴ=語りという言葉や,病いとは語りであり経験であるという考え方に出会ったのは。そして,その言葉や考え方の意味するところを少しずつ知るにつれて,いま一度臨床という場に踏み留まろうという,いくばくかの勇気を得たように感じられたのだった……」(「はじめに」より)

「良くも悪しくも,大自然の天候しだいというような,ある種の無力感に日々襲われ続けていた」という精神看護の世界。それでも,さまざまな感情に押しつぶされそうになりながらも看護師は正面から患者と向き合おうとする。

本書は,そんな精神看護の世界を歩み続けてきた著者の,臨床へのエピソード,看護への思いと哲学,その未来への道標をまとめた1冊である。精神看護の世界で多くの看護実践論やナラティヴ論を広げてきた著者の最新の著書。思想実践の軌跡。


目 次
第1章 「聞こえない声」はどこに届くのか?──精神科看護における「語り」について
第2章 語りはなぜ可能なのか
第3章 言葉に抗して声とともに──「臨床の詩学」再考
第4章 ケアはいかにしてナラティヴに出会うのか──その困難さと容易さから見えるもの
第5章 精神科看護のための物語──臨床民族誌的思考と記憶
第6章 なぜナラティヴなのか──『想像ラジオ』の読解から
第7章 研究的臨床実践とナラティヴ・アプローチ
第8章 看護批判としてのナラティヴ
第9章 看護にとってナラティヴとは何か──あるいはナラティヴによる小看護論


著者略歴
松澤和正(まつざわ・かずまさ)
1957年埼玉県生まれ。
慶應義塾大学大学院工学研究科(修士課程)修了。埼玉県庁、法律事務所を経て、精神科病院勤務。准看護師・看護師資格取得。千葉大学大学院文学研究科(修士課程)修了、同大学院(博士課程)単位取得退学。
2004年~2009年国際医療福祉大学保健医療学部・看護学科助教授・教授、2009~2015年千葉県立保健医療大学健康科学部・看護学科教授、2015年より、帝京大学医療技術学部・看護学科教授。

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