公認心理師の基礎と実践① 公認心理師の職責

公認心理師の基礎と実践① 公認心理師の職責

野島一彦・繁桝算男監修  (九州大学名誉教授・跡見学園女子大学教授)野島一彦編

2,000円(+税) A5判 並製 192頁 C3011 ISBN978-4-86616-051-1

心理学およびその周辺領域の知識を網羅
公認心理師カリキュラムに沿った全23巻の第1巻「公認心理師の職責」

このシリーズは2018年秋に国家資格試験が開始される「公認心理師」の養成用のテキストシリーズです。本書は,監修者の1人である野島先生(九大名誉教授)の編集による1冊。職責は,公認心理師の倫理からアイデンティにかかわるもので,日常の臨床業務から法的問題,自身の臨床センスの向上,生涯学習と幅の広いテーマです。医療保健,福祉,教育,産業,司法の領域別に歴史的な意義と公認心理師のありようをまとめました。

*【2023年3月】本書の第2版が刊行されました。詳細はこちらまで。


目次
1章 公認心理師の役割 ◆ (跡見学園女子大学)野島一彦
2章 公認心理師の法的義務・倫理 ◆ (帝京大学)元永拓郎
3章 クライエント/患者らの安全の確保のために ◆ (聖徳大学)山口豊一
4章 情報の適切な取り扱いについて ◆ (明治学院大学)金沢吉展
5章 保健医療分野における公認心理師の具体的な業務 ◆ (埼玉メディカルセンター)花村温子
6章 福祉分野における公認心理師の具体的な業務 ◆ (佐賀県立虹の松原学園)高橋幸市
7章 教育分野における公認心理師の具体的な業務 ◆ (九州大学)増田健太郎
8章 司法・犯罪分野における公認心理師の具体的な業務 ◆ (福島大学)生島 浩
9章 産業・労働分野における公認心理師の具体的な業務 ◆ (東京カウンセリングセンター)菅野泰蔵
10章 支援者としての自己課題発見・解決能力 ◆ (文教大学)小林孝雄
11章 生涯学習への準備 ◆ (九州大学)板東充彦
12章 多職種連携・地域連携 ◆ (青山学院大学)小俣和義
13章 公認心理師の今後の展開 ◆ (山形大学)宮崎 昭


はじめに
わが国の心理専門職の国家資格化は,半世紀あまりの紆余曲折を経て,2015(平成27)年9月の「公認心理師法」の制定・公布によりようやく実現した。そして2017(平成29)年9月に全面的に施行された。2018(平成30)年4月からは正規ルートでの大学等での公認心理師の養成が始まる。同年9月には経過措置による対象者の第1回目の国家試験が行われ,公認心理師第1号が誕生する。2018(平成30)年度から始まる心理専門職の国家資格である公認心理師の養成について,公認心理師カリキュラム等検討会の『報告書』(2017(平成29)年5月31 日)は,公認心理師の「大学(学部)における必要な科目」を25 科目としている。〈講義科目〉は,①心理学基礎科目(6科目)と②心理学発展科目(17科目=基礎心理学8科目,実践心理学5科目,心理学関連科目3科目)に大別されている。〈実習科目〉は,2科目(「心理演習」,「心理実習80 時間以上)」)である。
このようなカリキュラム構成のトップに設定されている科目が,本書に対応する「公認心理師の職責」である。この科目では公認心理師の基本的コンセプトが示されている。それだけにこの科目は,公認心理師を目指す人にとって,極めて重要な科目である。ここで示されていることをきっちりと学ぶことが,国民の心の健康の保持・増進に寄与できる公認心理師になるために必要である。この科目に「含まれる事項」としては,次の8つがあげられている。
1.公認心理師の役割
2.公認心理師の法的義務及び倫理
3.心理に関する支援を要する者等の安全の確保
4.情報の適切な取扱い
5.保健医療,福祉,教育その他の分野における公認心理師の具体的な業務
6.自己課題発見・解決能力
7.生涯学習への準備
8.多職種連携及び地域連携
本書では,これらすべての事項を,当該事項に詳しい著者が,具体的に分かりやすく解説している。「1.公認心理師の役割」は第1章,「2.公認心理師の法的義務及び倫理」は第2章,「3.心理に関する支援を要する者等の安全の確保」は第3章,「4.情報の適切な取扱い」は第4章で扱われている。「5.保健医療,福祉,教育その他の分野における公認心理師の具体的な業務」は,5分野ごとに1つの章で扱われている。保健医療分野は第5章,福祉分野は第6章,教育分野は第7章,司法・犯罪分野は第8章,産業・労働分野は第9章である。「6.自己課題発見・解決能力」は第10 章,「7.生涯学習への準備」は第11 章,「8.多職種連携及び地域連携」は第12 章で扱われている。そして,この科目に「含まれる事項」にはあげられていないが,第13 章で公認心理師の今後の展開について触れている。
公認心理師を目指す人が,大学でその出発点と言うべき「公認心理師の職責」と残りの24 科目をしっかりと学び,さらに大学院(10 科目),あるいは実務経験(定められた施設で2年以上)等で研鑽を積み,心の問題が複雑化・多様化しているわが国の今日的状況の中で,大いに活躍し,個人,集団,社会のために貢献していくことを切に願う。

野島一彦


編者略歴
野島 一彦(のじま・かずひこ)
1947 年,熊本県生まれ。
跡見学園女子大学教授,九州大学名誉教授,臨床心理士。
1975 年,九州大学大学院教育学研究科博士課程単位取得後退学,1998 年,博士(教育心理学)。1975 年より九州大学教育学部助手,久留米信愛女学院短期大学助教授,福岡大学人文学部教授,九州大学大学院人間環境学研究院教授を経て2012 年より現職。
主な著書:『エンカウンター・グループのファシリテーション』(ナカニシヤ出版,2000),『心理臨床のフロンティア』(監修,創元社,2012),『ロジャーズの中核三条件〈共感的理解〉』(監修,創元社,2015),『公認心理師入門─知識と技術』(編集,日本評論社,2017 年)ほか

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