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134SFA

読んでわかる やって身につく
解決志向リハーサルブック
――面接と対人援助の技術・基礎から上級まで

龍島秀広・阿部幸弘・相場幸子・解決のための面接研究会 著

定価2,200円(+税) 214頁 四六判 並製
ISBN978-4-86616-034-4 C3011
2017年8月8日発行

 

解決志向アプローチの練習をしよう!

世界で一番簡単で,なおかつ,うまく問題が解消するという心理支援法「解決志向アプローチ」。心理臨床や医療分野はもとより,教育やビジネスでの応用も進んでいますが,やはり習得にはちょっとしたコツが必要。「やってみる」のが大事なのですが,なかなか練習は難しい……。
本書は,北海道を中心に解決志向アプローチの「伝道活動」を行い,多くの支援者を育ててきた著者らによって書かれた,解決志向アプローチの「超」入門です。わかりやすい解説はもちろんのこと,「やってみる」ワークも盛り沢山で,1人でも2人でもグループでもリハーサルできちゃう素敵な本になりました。初学者からベテランまで,面接のコツがつかめ,グッとうまくなること間違いなし!

 


   はじめに

解決志向/構築アプローチ(以下,「ソリューション・フォーカスト・アプローチ」「SFA」「ソリューション」などと記すことがあります)は,今や対人援助の現場ではかなり広く知られる技法となっています。私たちが勉強会の仲間と一緒に最初の本を出版してから約10年経ちました。その後もそれぞれの立場で勉強を続け,実践の中でこの技法を使い続けてきました。また,対人援助の現場にいる人々やそれを目指して勉強中の人たちにこの技法を伝える努力もしてきました。教えることは最良の学びであると言われる通り,それによっていろいろな気づきがありました。
私たち自身は時々「ソリューションを知る前はどうやってやっていたんだろう?」と訝るほどに,今やこの技法なしには現場の仕事が考えられません。しかし,ここに至るまではかなり長い道のりがありました。ソリューションは取っ付きやすいが奥が深い……はじめやすいけれど,習熟するには時間がかかるということを実感しています。初心者が陥りやすい間違いもたくさんあります。問題を聞いてはいけないと思い込んでいたり,昔の話をしたいクライエントに「過去を振り返るのはやめましょう」と言ってしまったり,のっけからミラクル・クエスチョンをして引かれてしまったり,質問攻めで相手を苦しめたり……私たちも初めの頃はよくそんな失敗をしました。試行錯誤の中で誰もがだんだん進歩してゆくのですが,なるべく失敗を減らし最短距離で進歩できるようなわかりやすい手引き,ていねいな解説書があればよい,そんな本を書きたいと考えるようになりました。
もう一つ痛感したのは,ソリューションの面接は本を読むだけでは決して上達しないということです。私たちの月例勉強会はほとんどロール・プレイをしていますし,毎年1度開催している入門講座も,それに続く実践講座もワークが大部分を占めています。この本もワークを主体にしたものにしたいというのが最初から3人(龍島,阿部,相場)の一致した意見でした。
そうして私たちが何よりもお伝えしたいのは,ソリューションで一番大切なことは,技法や質問の上手な使い方ではなく(もちろんそれらも大切なのですが),その根本にある考え方なのだということです。その考え方とは,つまりこの本に書いたこと全てになるのですが,かいつまんで言えば「問題に囚われずに解決を目指す」「クライエントが何を望んでいるかが一番重要である」「クライエントの持っているリソースに目をつけ,それを拡大する」「どんなに弱っているクライエントでも必ず自分自身の解決を見出す力があると信じる」などなど,です。これらの考え方が自然に身についてくるに従って,面接がスムースに流れ,クライエントの変化を実感できるようになってきます。心理的援助の技法にはいろいろな流派がありますし,新しい技法もいろいろ出ている中でソリューションだけが正しいとか,有効だとか主張するつもりは全くありません。ただ,どんな立場に立つにせよ,ソリューションの考え方と技法を学んで身につけておくことは必ず役に立つと確信しています。例えば,ロジャーズ流の面接,認知行動療法,ソリューション以外のブリーフセラピーなどの心理療法,カウンセリングの基礎としても有効でしょう。特にソリューションと縁の深い「ナラティヴ」や「オープンダイアローグ」が近年人気が高いようですが,それらの技法の習得法はあまり書かれていません。これらの技法を行うための基礎訓練としてこの本とこの中のワークが役に立つはずです。また心理療法に限らず,教育,福祉や様々な相談の現場でも,スポーツの指導,リハビリテーション,会社経営でも,およそ悩みごとや困難を抱えた人がいるところならば,ソリューションの技法は違和感なく使えます。

この本は,初めてソリューションに接する方が一人で読んでも理解できるように書いたつもりです。同時にある程度のソリューションの知識と実践経験をお持ちの方に,ああそうだったのか! という気付きをもたらすことも目指しました。そして,明日からの面接が少しでも楽になるなど,お仕事や生活の中で役に立つ本でありたいと願っています。
そのためには,読むだけでなく是非ワークをやってみてください。一人で紙と鉛筆を用意して質問に答える,グループで役割を決めてやってみる,感想を話し合う,といった方法で活用してください。研修や継続的な勉強会のテキストとして,また大学や専門学校の授業で系統的に,あるいはどれかのワークを使っていただければとてもうれしいです。
ここに挙げたワークはすべてが私たちのオリジナルという訳ではありません。インスーの研修,国内外の先生方の研修で教えて頂いたものも含まれていますが,私たちなりのやり方や解説を付け加えました。先輩たちに感謝し,お許しを頂きたいと思っています。

インスーとピーターさんの本は今も私たちのバイブルです。2015年急逝された森俊夫先生は面接の達人の極意を遺して下さいました。その他にもソリューションやブリーフセラピーについて優れた本がたくさん出版されています。先輩たちには及びもつかない凡人の私たちですが,実践と勉強会を通じてシコシコと積み上げた経験が,後に続く方たちに少しでもお役に立てば幸いです。

(著者一同)


目 次

第1章 どこへ行きたいのですか? (問題解決と解決構築)
第2章 何が伝わっているのでしょう? (コミュニケーション・関係づくり)
第3章 傾聴はしないの? (ソリューション的傾聴~知らない姿勢)
第4章 解決の材料は何? (リソース探し)
第5章 リソースを見つけたらどうするの? (コンプリメント)
第6章 例外って簡単に見つかるの? (例外探し)
第7章 どんな質問をすれば良いのですか? (オープン? クローズド? スケーリング?)
第8章 役に立つ質問はありますか? (ミラクルQとサポーズQ)
第9章 大切な人は誰ですか? (関係性の質問)
第10章 どこから手を付けますか? (ウェルフォームド・ゴール)
第11章 どの質問をどんな順序で? (面接の流れ)
第12章 面接をどうやって締めくくる? (フィードバック・メッセージの作り方)


著者紹介

龍島秀広
北海道教育大学教職大学院准教授。臨床心理士。北海道大学文学部実験心理卒。少年鑑別所・刑務所技官(心理職),コンピュータソフト会社を経て,北海道警察少年課(心理専門官),北海道警察科学捜査研究所(犯罪者プロファイリング担当),2010年から現職。

阿部幸弘
現在,公益財団法人北海道精神保健推進協会理事長,兼,同財団の独立型デイケア・こころのリカバリー総合支援センター所長。精神科医。北海道大学医学部卒。北海道立向陽ヶ丘病院,聖母会天使病院神経科,北海道立精神保健福祉センター相談部長を経て,H23年より現職。

相場幸子
臨床心理士。早稲田大学文学部心理専修卒。札幌家庭裁判所調査官,米国カリフォルニア大学バークレイ校人間発達研究所研究員,札幌市児童相談センター相談員等を経て北星学園大学文学部,社会福祉学部で教え,その間北海道クリスチャンセンター家庭福祉相談室ヴォランティア。2003年退職,名誉教授。1998年母子相談室「みみずく」開設。

コラム執筆者
相場幸子:非行少年,子育て相談,発達障害などの現場を経て大学で福祉や心理を教えてきた臨床心理士。定年後の今は,ソリューションの勉強会と自分で始めた相談室『みみずく』が生き甲斐?
龍島秀広:非行などの問題行動への対応に困り果て,解決志向に出会って20年,その考え方と方法で心理職を続けてこられました。今,その経験を少しでも必要としている方に伝えたい。
藤川麻由子:障がい児と健常児の劇団「のりりんず」団長を13年余ポツリポツリと続け,発達障害の息子達とより良い生き方を手探りしている札幌市乳幼児健診 臨床心理判定員。
八木明美:おっとりと癒し系口調と柔らか笑顔で相談業務している保健師。実は,三代続いたチャキチャキの江戸っ子!てやんでえ!
阿部幸弘:落着きなくあれこれ手を出し馬齢を重ね傾向(+)の不真面目な精神科医。今は精神科リハ施設長。社会的入院の解消,ひきこもり相談,高次脳機能障害リハ,ピアサポーター養成に興味。
八幡睦実:小樽市立望洋台中学校 養護教諭,解決志向アプローチの考え方や面接技法を基盤とした「サポートグループ・アプローチ」を学校課題に適応し実践展開中。
木村靖子:特別養護老人ホーム介護員,ホームヘルパーを経て,居宅介護支援事業所の介護支援専門員になる。ソリューションと出会い10年,お陰で仕事を続ける事が出来ています。
森本義貴:市役所職員,心理職能判定員,生活保護ケースワーカー,精神保健・医療福祉分野などに従事。平成13年に解決志向と出会い,主に哲学的視点からソリューションを問う日々。