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『カルトからの脱会と回復のための手引き』(改訂版)
── 〈必ず光が見えてくる〉本人・家族・相談者が対話を続けるために

日本脱カルト協会(JSCPR) 編

定価1,900円(+税)、238頁、四六判、ソフトカバー
C0011 ISBN978-4-904536-82-7

本書は、宗教カルトや悪質なセミナー(商業カルト)からの脱会と離脱した後の回復、予防までを視野にいれた、日本脱カルト協会による手引きです。
現在、ミニ・カルトと呼ばれるカルト団体が多数乱立し、既存のカルト団体とあわせ、被害が広がっていると言われています。その被害者の多くは、社会経験の少ない若者が中心です。カルトに取り込まれ、人生の大事な時間をその活動に費やしてしまうことも少なくありません。
本書は、法律家、心理学者、宗教者、社会学者、カウンセラーなど多彩な視点からのカルト問題への取り組みと、家族と本人からの豊富な事例報告をもとにしたカルト問題とカルトへの対応の集大成であり、本書を読めば、さまざまカルト問題に対応することができるでしょう。
本人・家族・専門家だけでなく、カルト問題の多発する大学・教育関係者も必携の一冊です。

※ 本書は,2014年11月より,改訂版となっています。
巻末付録の情報を一新しました。プロの(相談窓口等)読者の皆さま等は,ぜひ改訂版をぜひ,ご購入ください。

日本脱カルト協会のHPは、こちらをごらんください。

本書の詳しい内容


おもな目次(予定)

第1部 カルト問題のそれぞれの視点
[第1章]「カルト現象」は増大しているか
[第2章]現代の社会問題としてのカルト
[第3章]マインド・コントロールとは何か
[第4章]カルト・メンバーのココロ
[第5章]カルト・メンバーのメンタルヘルス
[第6章]カルトの反社会性
[第7章]カルトの類型と実例
[第8章]事  例
第2部 脱カルトのための対応の手引き
[第1章]大切な人と心を通じ合わせるために
[第2章]コミュニケーションの回復から脱会へ向けて
[第3章]脱会のタイミング:「状況」と「時」の大切さ
[第4章]脱会者の証言1 ダミーサークルから始まった五年間
[第5章]脱会者の証言2 自分に嘘をつき続ける日々
[第6章]脱会者の証言3 無数のタブー
[第7章]脱会者の証言4 癒しと罵倒と金銭被害
[第8章]脱会者の証言5 正しい教えと絶対者の存在
[第9章]脱会者の証言6 母とともに入信・脱会
[第10 章]家族の対応の実例1 必ず光が見えてくる
[第11 章]家族の対応の実例2 交流が最大の支えでした
第3部 回復──脱会後の困難さ
[第1章]脱会から始まる闘い
[第2章]脱会後遺症の克服
第4部 社会に向けて──啓発と予防
[第1章]カルト予防の社会的責任
[第2章]キャンパスにおけるカルト問題とその対策
[第3章]学生相談とカルト問題
[付録]集団健康度測定目録ほか


[挨拶]

日本脱カルト協会(JSCPR)の活動と意義

日本脱カルト協会代表理事 楠山泰道

私たちがカルト問題と向かい合うきっかけとなったのは、一九九五年の、あのいまわしい「地下鉄サリン事件」からです。坂 本弁護士一家殺害、松本サリン事件と続き、その真相が明らかになるにつれて、オウム真理教の、疑ってもみなかった「宗教の犯罪」の実態が明らかになりまし た。「宗教テロ」がこの日本で発生したのです。人々は恐怖におののきました。この事件の衝撃的な点は、麻原彰晃という教祖の「教え」を妄信した挙げ句、他 者の人権を平然と侵し、無差別殺人にまで到ったことでした。しかも、信者が「善」なる行為と誤謬したところに、その問題の根深さがありました。実行したの は、優秀な将来のある多くの若者たちでした。当時、日本では、統一協会からの被害者救済で、霊感商法対策弁護団やキリスト教牧師たちの取り組みはあったも のの、「カルト研究」や対策については方法論からして充分ではなく、研究も始まったばかりでした。
オウム真理教に子どもが入信してしまった家族の悲鳴に、どのように対処すればよいのか、暗中模索の状態にありました。「なぜ将来有望な若者たちが……」という思いのなか、手探り状態の取り組みがはじまりました。
地下鉄サリン事件は一九九五年三月に起こった事件です。三カ月後の六月十七日、「オウム真理教への対策を考える会」が発足しました。さらにそれから五カ月 後の十一月十一日、カルト問題全般を考えることを主眼とし、JSCPRの前身であるJDCC(日本脱カルト研究会・Japan De-Cult Council)が発足されました。日本で最初の「カルト問題」の研究組織です。
アメリカには、AFF(American Family Foundation)、CAN(Cult Awareness Network)、フランスでは、CCMA(Center for Coastal Monitoring and Assessment)、ADFI(The Association for the Defense of the Family and Individual)などのカルト問題の研究組織があります。心理学者や精神科医などが協力し、予防や啓蒙脱会後の支援などを行っています。九五年当 時、そのような組織は日本にはなかったのです。ここに暗中模索で発足されたJDCCは、教団と向かい合って、脱会支援を開始しました。研究のみならず、実 際の支援をする、世界でもまれな組織の誕生でした。ここには研究者のみならず、実際の救済支援に当たる宗教者、カウンセラー、また弁護士も参画してくれま した。
JDCCが刊行した『心の健康づくりハンドブック』は、オウム真理教事件で日本社会が騒然としている背景で、一九九六年に急遽発刊したものでした。その思 いは、こころのリハビリともいうべき活動を、一般の精神科医、保健師、学生相談室職員、教師、養護教員やさらにカルトの違法行為を捜査する方たちにも、ぜ ひ知っていただきたいというものでした。そして、オウム真理教から脱会した人たちが相談にくることを想定して、この冊子を準備しました。「カルト」とよば れる団体の特徴や、なぜマインド・コントロールされるのか、どのように「話し合い」のきっかけを持つかなどを記したものでした。
当初は、脱会支援や脱会後のケア、そして何よりも親の苦悩を共有することで精一杯でした。その後、回を重ねるにつれ、研究者により、破壊的カルトのマイン ド・コントロールの実態、グループとリーダーの手口の分析、そして、被害者と直接関わっている宗教者、カウンセラー、弁護士らの実際の支援と相まって、会 の活動は著しく進展していくことができました。その成果は、当協会『会報』、また、会員である各先生方が著書、論文等にまとめられてきました。さらには、 公開講座やシンポジウムでも発表してまいりました。
二〇〇五年には発足一〇周年を迎え、会の機能をより充実すべく、研究部会・カウンセラー部会・家族部会の三部会制とし、組織を改善いたしました。名称も、 JSCPR(日本脱カルト協会・The Japan Society for Cult Prevention and Recovery)と改めました。
これによって、部会ごとに、研究と活動をより活性化することができるようになりました。年二回の合宿では、部会ごとに、この成果を発表し、相互に意見交換を行っております。発足以来、まもなく十五年の節目を迎えます。
社会一般において、オウム事件が記憶から薄れ風化していく一方で、新たなる議論ある団体や数多くの「ミニカルト」問題の発生もあとを絶ちません。さらに近 年、宗教離れが進み、それに代わるスピリチュアリティを売り物に展開する「新カルト」ともいうべき団体が流行の兆しを見せています。破壊的カルトと真剣に 向かい合ってきた本会は、脱会者の社会復帰へのケアや家族、その関係者の苦悩への支援を続け、社会にこの問題の重要性を訴え、予防していく活動を、さらに 推進していかなければならないと考えます。
本書は、一九九六年『心の健康づくりハンドブック』発刊以来十四年を経た私どもの研究と経験を踏まえ、内容を大きく刷新し、さらに脱会と脱会後の支援に役立つよう新たに企画したものです。
この本を手にした皆様のご理解、温かいご支援・ご協力をお願いする次第です。


本書の特徴・使い方

平岡正幸

本 書は、まず家族がカルトに入ってしまって困惑しておられる方々の心の備えとして、またその支援に当たっておられるカウ ンセラーや精神保健の関係者のために、学校や団体でのカルト予防のために、そして現在カルトで活動している方にも読んでいただきたい、と考え、編纂されま した。対象を広く考えて作りましたので、それぞれの立場の方が座右において役立てられることを期待しています。

「第1部 カルト問題のそれぞれの視点」は、カルト問題を理解するために必要な基礎事項です。カルトの何が問題なのか、日本脱カルト協会の十四年間の蓄積をコンパクトにまとめたものです。後半では、その問題性を具体的な事例を挙げて示しました。
「第2部 脱カルトのための対応の手引き」は、特に家族がカルトに入ってしまって困惑しておられる方々のために、具体的なコミュニケーションの取り方につ いて述べています。カウンセラーやカルト問題の支援に当たる方にも役立てていただきたいと、これまでのカウンセリング活動から今後を見据えた視点で書いて おります。また、キリスト教系、仏教系、啓発系などカルト的団体に入信歴のある六名の方々の証言と、脱会を果たした二つの家族の経験を事例として掲載しま した。その生々しい体験談から、読者はカルトの問題性と入信時や活動時また脱会時の心の状態を学び取っていただきたいと思います。
「第3部 回復──脱会後の困難さ」は、脱会後後遺症とその克服を扱っています。心のケアの面からは、カルト問題の深刻さは実はここにあります。脱会後後遺症の実態とその対応、これまでの支援活動の中で必ずしも十分になされていなかった課題を取り上げました。
「第4部 社会に向けて」は、社会や学校で、どのようにカルトに対する予防対策、啓蒙を行っていったらよいのか、という課題を扱います。その社会的責任や対策の現状やこれからの展望を示しています。学校や社会団体の責任者に、ことに読んでいただきたいところです。
「第5部 資料」は、読者に役立ちそうな資料群をまとめました。カルト度チェックのための「JSCPR集団健康度測定目録」、もっと詳しく知りたい方への、日本脱カルト協会の推薦する参考書籍、相談したい方への、被害者救出の相談先を付録につけています。
また、それぞれの部の最終章に、Q&Aを入れています。このコーナーによって、皆さんが聞きたいような具体的な質問を扱っています。

このように本書は、日本脱カルト協会の十四年間の取り組みと研究の成果をコンパクトにまとめたものです。事例を多く含 み、それぞれの読者層に役立つことを旨としました。カルト問題の全体像を知りたい方は第1部を、家族は第2部~第4部から読まれてもよいですし、予防対策 に関心のある方は第6部からと、関心のあるところから読んでいただけるとよいと思います。

「常備し」、「座右の書にし」、「役立つこと」、が本書の目指すところです。


あとがき

編集委員長 平岡正幸

私がはじめてカルト問題に関わったのは一九八五年でした。統一協会に娘さんが献身して行方がわからないという相談からでした。そして松本サリンの年、その 事件の少し前の一九九四年からオウム真理教問題にもかかわり(地下鉄サリン事件は一九九五年)、破壊的カルトの起こす惨劇、被害に遭われた方々の痛みと苦 しみ、また、いつかは帰って来ると信じている家族の悲しい思いを聞き、やるせない気持ちを持ちました。
あれからもう十四年が経過し、名称が変わったといい(オウム真理教は「アーレフ」と「ひかりの輪」に分裂)活動は今でも続けられています。しかし、若い世 代にとっては、見知らぬ遠い過去の出来事のようにしか思われません。若者たちが破壊的カルトへの警戒心を持つように啓発する必要を近年特に強く感じます。
オウム事件をきっかけに日本脱カルト協会(発足時は日本脱カルト研究会)が結成され、カルトから身を守る啓発、予防、調査研究、脱会支援のあり方が、研究者や実践家、元体験者や家族の間で討議され、相互に理解を深めてきました。
その成果を、一冊の本に集約したのが本書です。いくつかのことが見えてきました。

1:脱会支援のあり方は、家族がいかにしてコミュニケーションを構築できるか、に尽きる。
2:それゆえに、キリスト教系、仏教系、啓発系、最近のスピリチュアル系を含めて、対応のあり方は同じ。
3:脱会に至ることだけでなく、脱会後の本人を支える支援がさらに重要。

本書は、このことを柱にしながら、専門家による破壊的カルトそれぞれの視点、家族はどのようにコミュニケーションを築けばよいか、そして脱会後に始まる苦悩との闘い、また数多くの事例を含んでいます。
現代のカルト問題を捉え、今後十年後を視野に入れた一冊として、発刊したものです。
はじめにも書きましたように、幅広いジャンルの方々の座右の一冊として、役立つことを願っています。

最 後に、本書は二十数名、専門家、実践家、脱会者、そして家族の方々による著作です。それぞれ得意とするところで執筆し ていただきました。原稿の依頼から、出版まで約一年半を要しました。六人のJSCPR編集委員による編集作業、ならびに遠見書房の山内俊介氏の暖かい励ま しに支えられて出版できましたことを深く感謝いたします。

編集委員  鈴木正一、竹迫 之、戸田京子、貫名英舜、昼間洋治、平岡正幸


著者一覧

浅見定雄(東北学院大学名誉教授 神学博士)
櫻井義秀(北海道大学大学院教授 博士 文学)
西田公昭(静岡県立大学准教授、博士 社会心理学)
黒田文月(臨床心理士、博士 社会学)
平岡正幸(日本福音ルーテル教会牧師)
戸田京子(臨床心理士)
山口貴士(弁護士、リンク総合法律事務所)
鈴木正一(天理教宗教事情調査研究会事務局長)
豊田通信(日本基督教団牧師)
北條 悟(浄土真宗本願寺派教師)
小久保温(青森大学講師、博士 理学)
杉本 誠(日本基督教団牧師)
岩立盛郷(「青少年こころの相談室」相談員)
貫名英舜(日蓮宗教師、「青少年こころの相談室」相談員)
竹迫 之(日本基督教団牧師、宮城学院女子大学非常勤講師)
志村 真(日本基督教団牧師、中部学院大学短期大学部教員)
渡辺浪二(フェリス女学院大学教授、社会心理学)
平野 学(臨床心理士、慶応義塾大学学生相談室)