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心理療法家が語る物語 香月泰男 黒の創造
――シベリアを描き続けた画家 制作活動と作品の深層

(京都学園大学人文学部心理学科教授)山 愛美著

2,600円(+税) 四六判並製 240頁  C0011 ISBN978-4-86616-008-5

ある一人の人間が自分自身の「痛み」から目を逸らすことなく,それを持ちながら生き抜く時,そこに全ての人の「生」に通じる何かを見出すことができるのではないか。(本書第1部より)

戦争・抑留体験を忘れ去ることなく生涯描き続けたシベリア帰りの画家香月泰男。その作品世界に真摯に向き合った心理療法家が見出したものとは――
未来に語り継いでゆきたい魂の記録。

画家・香月泰男(1911-1974)は,満州での軍隊生活ののち,シベリアで抑留生活を送った。帰国後,その過酷な経験を『シベリヤ・シリーズ』57点の作品として遺した。
本書は,心理療法家であり深層心理学の研究者でもある著者が,香月の生涯と作品世界に向き合い,その個人的な体験を丁寧に追うことを通じて,「我々の物語」を探ってゆく試みである。
香月は生と死,喪失,孤独,哀しみの体験を深化させることで生き抜いた。彼の作品世界に深く心を開くとき,我々もまた自らの「生」と「死」を見つめることになるだろう。

戦争を知らない世代と
『シベリヤ・シリーズ』を遺した画家 香月泰男の魂の交感―― 立花 隆(ジャーナリスト)


主な目次

第1部 なぜ香月泰男の『シベリヤ・シリーズ』なのか

第2部 香月泰男とその生涯
第1章 香月と世界―誕生、太陽、木、色、死、そして結婚
第2章 『シベリヤ・シリーズ』に描かれた四年半
第3章 制作再開から死まで

第3部 表現と創造
第1章「こちら」から「異界(向こう)」へ、そして再び「こちら」へ
第2章「異界」が開くまで
第3章 沈黙の中で
第4章 表現と創造
第5章 シベリアを閉じる
第6章 コスモロジーの確立


著者略歴

山 愛美(やま・めぐみ)
京都学園大学人文学部心理学科教授。博士(教育学)。
京都大学教育学部卒業,京都大学大学院教育学研究科修士課程修了,京都大学大学院教育学研究科博士後期課程学修認定退学。
成安造形大学造形学部教授を経て2002年から現職。
主な著書
『行動と深層の心理学』(共著,1999,学術図書出版社),『言葉の深みへ―心理臨床の言葉についての一考察』(2003,誠信書房),『Jungian and Dialogical Self Perspective』(共著,2011,Palgrave Macmillan),『臨床風景構成法:臨床と研究のための見方・入り方』(共編著,2013,誠信書房)など,翻訳に『おとぎ話にみる家族の深層』(共訳,1989,創元社),『悪とメルヘン ―私たちを成長させる〈悪〉とは?』(共訳,2002,新曜社),『「女性」の目覚め―内なる言葉との対話』(共訳,2003,新曜社),『心の解剖学―錬金術的セラピー原論』(共訳,2004,新曜社),『関係するこころ―外傷,癒し,成長の交わるところ』(共訳,2014,誠信書房)などがある。