臨床力アップのコツ――ブリーフセラピーの発想

臨床力アップのコツ――ブリーフセラピーの発想

日本ブリーフサイコセラピー学会 編

2,800円(+税) A5判 並製 208頁 C3011 ISBN978-4-86616-145-7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本書は,このタイトル通り,臨床能力をあげるための考え方,スキル,ヒントなどをブリーフセラピーらしい先取性とおおらかさで,ベテランの臨床家たちが描いたものです。また,黒沢幸子氏,東豊氏という日本を代表するセラピストによる紙上スーパービジョンも掲載しました。
多くの援助者が利用でき,短期間に終結し,高い効果があることを目的にしたブリーフセラピーは,対人支援の当たり前の技術として世界で広まっています。本書は,姉妹編『ブリーフセラピー入門』(小社刊)とともに,ブリーフセラピーを楽しく学べる1冊となりました。

*注意:本書は,日本ブリーフサイコセラピー学会会員の方へは学会より配布する予定です。購入せずお待ちください。


目 次
第1章 臨床力アップに向けて 津川秀夫
第1部 コツをつかむ
第2章 ブリーフセラピーがもたらす質問の知恵 遠山宜哉
第3章 方法としての「提案」 菅野泰蔵
第4章 ダイアローグ 白木孝二
第5章 大学院生はいかにしてセラピストに
なっていくのか 花屋道子
第6章 ボディ・マインド・リスニング 小関哲郎
第2部 私を育てる
第7章 わたし×システムズアプローチ 赤津玲子
第8章 育てる,育てられる,育つ 岡留美子
第9章 タテの学びからヨコの学びへ,そして今 八巻 秀
第3部 師から学ぶ
第10章 宮田敬一先生から教わったこと──包括的な訓練から導かれた「哲学」と「姿勢」 長谷川明弘
第11章 森俊夫先生から教わったこと──守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな 長沼葉月
第12章 高橋規子先生から教わったこと──「臨床家として生きる」ということ 安江高子
第13章 和田憲明先生から教わったこと──先生が選んだ街にて 加来洋⼀
第4部 事例検討:ブリーフセラピーのものの見方
第14章 黒沢流のスーパービジョンで学ぶ 黒沢幸子・近藤 進・木場律志
第15章 東流のスーパービジョンで学ぶ 東 豊・近藤 進・久持 修


はじめに

本書は,日本ブリーフサイコセラピー学会の編集により刊行されたものである。本書に先立ち,2020年には『ブリーフセラピー入門―柔軟で効果的なアプローチに向けて』が本学会編集で刊行されている。前書が入門・理論編であるとするならば,本書は応用・実践編として位置づけられる。
本書の紹介や読み方については第1章に譲りたい。ここでは,日本ブリーフサイコセラピー学会について紹介させていただきたい。日本ブリーフサイコセラピー学会は,1991年5月に発足された「日本ブリーフサイコセラピー研究会」を前身としており,1995年4月1日より学会に改称された。伝え聞くところによると,当時の学会は20代から30代の若手が中心メンバーだったという。そのような若手が学会の会長や理事であったりしたのだから,さぞかし他学会からは「風変わりな学会」だと見られていたに違いない。

しかも,学会の中では既存の理論などにとらわれずに,短期・効果的・効率的なアプローチを探求していくための自由闊達な議論が繰り広げられていたというのだから,まさに心理臨床の学会における「異端児」であったのではないだろうか。
奇しくも,1994年に刊行された『ブリーフセラピー入門』(本学会の当時の中心メンバーらによって執筆された。前出の本とは別の書籍である)の中で,成瀬悟策先生は次のようにその本のことを紹介している。

「どの所論を取ってみても今日のわが国に流布されている心理治療の理論および方法の原理とは相容れないものばかりです。それこそまさに異端の書という他はありません」

このように,「異端児」のような形で誕生した日本ブリーフサイコセラピー学会であるが,設立から30年の時が経た。そしてその間に,学会の中でさまざまな議論や研究が積み重ねられてきている。本書は,それらの集大成,いや,今後も発展し続けると言う意味ではあくまで「中間報告」と言うべきであろうか。
読者が本書を読んだときにどのような感想をもたれるのか,その声が耳に届く日を楽しみにしている。

日本ブリーフサイコセラピー学会 第9期会長 久持 修


出版ワーキングチーム
中島  央(なかしまひさし:有明メンタルクリニック)
遠山 宜哉(とおやまのぶや:岩手県立大学)
津川 秀夫(つがわひでお:吉備国際大学心理学部)
児島 達美(こじまたつみ:KPCL)
菊池安希子(きくちあきこ:武蔵野大学)
久持  修(ひさもちおさむ:やまき心理臨床オフィス)
松浦 真澄(まつうらますみ:東京理科大学教養教育研究院/医療法人社団こころとからだの元氣プラザ産業保健部)

著者一覧(50音順)
赤津 玲子(あかつれいこ:龍谷大学/京都ファミリールーム)
岡 留美子(おかるみこ:岡クリニック)
小関 哲郎(おぜきてつろう:宇佐病院/大分記念病院)
加来 洋⼀(かくよういち:長崎こども・女性・障害者支援センター)
木場 律志(きばただし:甲南女子大学)
黒沢 幸子(くろさわさちこ:目白大学/KIDSカウンセリングシステム)
近藤  進(こんどうすすむ:藤川メディケアクリニック)
白木 孝二(しらきこうじ:Nagoya Connect & Share)
菅野 泰蔵(すがのたいぞう:東京カウンセリングセンター)
津川 秀夫(つがわひでお:吉備国際大学心理学部)
遠山 宜哉(とおやまのぶや:岩手県立大学)
中島  央(なかしまひさし:有明メンタルクリニック)
長沼 葉月(ながぬまはづき:東京都立大学)
長谷川明弘(はせがわあきひろ:東洋英和女学院大学/吉祥寺・三鷹カウンセリングセンター)
花屋 道子(はなやみちこ:東北文教大学)
東   豊(ひがしゆたか:龍谷大学)
久持  修(ひさもちおさむ:八巻心理オフィス)
安江 ⾼子(やすえたかこ:関内カウンセリングオフィス)
八巻  秀(やまきしゅう:駒澤大学/SYプラクティス)

編集協力者
石丸 雅貴(アキクリニック) 木場 律志(甲南女子大学)
佐々木 誠(岩手大学) 田崎みどり(長崎純心大学)
田中  究(関内カウンセリングオフィス) 谷  英俊(川崎医科大学附属病院)
千葉 健司(こころとからだの元氣プラザ) 寺田 和永(広島文教大学)
長沼 葉月(東京都立大学) 法澤 直子(長崎純心大学地域連携センター)
松島  淳(佐賀大学) 安江 高子(関内カウンセリングオフィス)
横尾 晴香(東京都スクールカウンセラー) 米田 一実(山口県立こころの医療センター)


 

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