ライフデザイン・カウンセリングの入門から実践へ ――社会構成主義時代のキャリア・カウンセリング

ライフデザイン・カウンセリングの入門から実践へ

――社会構成主義時代のキャリア・カウンセリング

日本キャリア開発研究センター 監修
水野修次郎/平木典子/小澤康司/国重浩一 編
水野修次郎/平木典子/小澤康司/国重浩一/ケビン・グラービン/長谷川能扶子/浅野衣子著

2,800円(+税) A5判 並製 190頁 C3011 ISBN978-4-86616-107-5

 

グローバル化やデジタル化が進み,働き方が変わるなか,現代の人々にはキャリアだけでなく,人生をデザインすること(ライフデザイン)が求められています。
本書では,世界的な関心を集めるサビカス理論の基盤となる社会構成主義をキーワードに解説,そして確かな実践へと導く「ライフデザイン・カウンセリング」の実際を解説付きで掲載しました。
産業心理臨床家,キャリアコンサルタント,産業カウンセラーなど,キャリア支援に関わるすべての人にとって,心強い味方となる一冊です。


主な目次
第1章 現代社会に求められるキャリア・カウンセリング
  小澤康司
第2章 キャリア・カウンセリングの歴史
  平木典子
第3章 ナラティヴ・アプローチ
  国重浩一
第4章 対談:社会構成主義時代のキャリア・カウンセリング
  水野修次郎,国重浩一,平木典子,小澤康司
第5章 日本でのライフデザイン・カウンセリングの進め方
  水野修次郎
第6章 ライフデザイン・カウンセリングとキャリア構成インタビュー(CCI)
  水野修次郎
第7章 ライフデザイン・カウンセリングの実際1
 長谷川能扶子,ケビン・グラービン,水野修次郎
第8章 ライフデザイン・カウンセリングの実際2
 浅野衣子,ケビン・グラービン,水野修次郎,山之内悦子(通訳)
第9章 アジアでのライフデザイン・カウンセリングの実践
 ケビン・グラービン(翻訳:水野修次郎)

 

著者紹介

監修:日本キャリア開発研究センター

編著者略歴
水野修次郎(みずの・しゅうじろう):
麗澤大学教授,立正大学特任教授を経て,ライフデザインカウンセリング研究所所長。Ed. D.
1級キャリアコンサルティング技能士,臨床心理士,(一社)ピアメディエーション学会会長,日本キャリア開発研究センター(JICD)顧問。
キャリアコンサルティング,心理カウンセリング,スクールカウンセリングの実践家。

平木典子(ひらき・のりこ):
IPI統合的心理療法研究所顧問,日本キャリア開発研究センター(JICD)代表・理事,日本アサーション協会会長,(一社)日本産業カウンセリング学会スーパーバイザー資格認定委員会委員長。
臨床心理士,家族心理士,日本産業カウンセリング学会スーパーバイザー,キャリア開発カウンセラー。

小澤康司(おざわ・やすじ):
立正大学教授,日本キャリア開発研究センター(JICD)理事,NPO法人日本キャリア・カウンセリング研究会会長,(一社)日本産業カウンセリング学会元会長,現SV養成部会長。
(一社)ピアメディエーション学会理事,キャリア開発カウンセラー(JICD認定),キャリアコンサルタント,臨床心理士,公認心理師,中級産業カウンセラー。

国重浩一(くにしげ・こういち):
ニュージーランド,ワイカト大学カウンセリング大学院修了。鹿児島県スクールカウンセラー,東日本大震災時の宮城県緊急派遣カウンセラーなどを経て,2013年からニュージーランドに在住。
ナラティヴ実践協働研究センター所属,ダイバーシティ・カウンセリング・ニュージーランド所属,NPACC NZ Limited ディレクター。臨床心理士,ニュージーランド・カウンセラー協会員。

著者略歴
Kevin Glavin(ケビン・グラービン):コロラド州立大学ボルダー校の准教授を経て,現在ノバ南東大学フロリダ校のカウンセリング学部の准教授。Create Your Why(http://www.createyourwhy.com)の創立者。
日本産業カウンセリング学会から国際貢献賞(2016年)。サビカス博士から直接キャリア構成インタビュー(CCI)の指導を受けてケント州立大学で博士号,LPCDA(職業カウンセラー免許)保持者。NCDA(全米キャリア開発協会)の学会では,数々のCCIデモンストレーションを実施する。

浅野衣子(あさの・きぬこ):同志社女子大学卒業後,阪急百貨店で販売・仕入れ・人材育成に従事。
2001年にキャリア開発支援者として独立。現在,株式会社キャリア開発サポーターズ代表取締役。キャリア開発カウンセラー(日本キャリア開発研究センター認定),スーパーバイザー(日本産業カウンセリング学会認定),ナラティヴ実践協働研究センター スターティングメンバー。

長谷川能扶子(はせがわ・のぶこ):有限会社Cマインド代表取締役,1級キャリアコンサルティング技能士,産業カウンセラースーパーバイザー。
上智大学理工学部物理学科卒業後,IT業界へ。マネジメント業務を行う中で,「どうしたら人はもっとイキイキと自分らしく働けるのか?」の答えを求め,産業カウンセリングと出会う。
50代で本格的に心理学を学ぶ必要性を感じ,米国Walden大学Master of Science in Psychologyにチャレンジ,心理学修士を取得見込み。


はじめに


この本を手に取られた方は,サビカス博士の「ライフデザイン・カウンセリング」に関心を持ち,「ライフデザイン・カウンセリング」を実践しようとする方々と思います。欧米では,21世紀の不確実な社会の到来を見据えて,20世紀末頃からポストモダンの思想,特に社会構成主義を基盤とするキャリア構成理論が提唱され,その知見が積み重ねられてきました。しかし,日本は高度成長期をささえた独自の終身雇用の体制や社会構造が比較的安定してきたことから,キャリア開発支援サービスのニーズが少なく,キャリア開発支援の研究実践において,不確実な社会への備えは遅れているといえます。
日本キャリア開発研究センターは21世紀の不確実な社会に対応するキャリア開発支援アプローチとして,サビカス博士の『ライフデザイン・カウンセリング・マニュアル』(遠見書房)を水野修次郎博士と共に,サビカス博士からの3つの宿題に解答しながら日本への導入を図ってきました。また,サビカス博士と共に実践研究してこられたケビン・グラービン博士とポール・ハーティング博士を日本に招聘し,ワークショップを開催しました。そして,日本から16名のカウンセラーがCareer Construction Institute(Kent State University;オハイオ州)が主催するCCI(キャリア構成インタビュー)の研修に参加し,CCIの実際を学びました。ライフデザイン・カウンセリングを実践し理解が深まるにつれ,精緻に構成されたライフデザイン・カウンセリングを実践するには,その基盤となっている社会構成主義やナラティヴ・アプローチをきちんと理解することやマニュアルには書かれていない面接でのやりとりの実際などを解説する本が必要であるとの結論に至りました。
また,日本での実践を考えると,欧米と異なる日本独自の産業構造,文化やディスコースの違いを理解し,第4次産業革命や働き方改革が進行するこれからの社会において,社会構成主義を基盤とするキャリア・カウンセリングの重要性を提起することも必要と考え本書を企画しました。
本書が,社会で働く人たちをエンパワーメントするための良き指南書として役立つことを願っています。
著者を代表して
2020年3月  小澤康司

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