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特集:看護実践におけるナラティヴ
紙野雪香(大阪府立大学)・野村直樹(名古屋市立大学)編

看護領域のなかに,ナラティヴはどう浸透しているのか。看護実践,カンファレンス,現場教育,学校教育,研究……そのさまざまな面で「ナラティヴ」はどう有効なのか。看護領域でのナラティヴ・アプローチの推進者の一人 紙野さんと,その理論的なバックアップをする野村さんによる共編。

年1回発行(毎年1月)
定価1,800円(+税)、100頁、B5判・並製
ISBN978-4-86616-002-3 C3047
ISSN 1884-6343


目  次

第7号 目次(予定・敬称略)

特集:看護実践におけるナラティヴ(紙野雪香・野村直樹 編)

§1 イントロダクション
ナラティヴ看護実践の試みと未来 ◆ (大阪府立大学大学院看護学研究科)紙野雪香
ダブルバインド~ナラティヴ~オープンダイアローグ──ベイトソンから「患者カルテ」まで ◆ (名古屋市立大学人間文化研究科)野村直樹・(日本赤十字豊田看護大学)坪之内千鶴

§2 実践の手ごたえ
看護実践の行き詰まりを開くナラティヴ・アプローチ ◆ (大阪大学医学部附属病院看護部)大野由美子
学生時代からナラティヴを学んで ◆ (看護師)山根智紗
卒後教育におけるナラティヴ──教育企画の立場から ◆ (公益社団法人静岡県看護協会)齋藤伸子
現任教育におけるナラティヴ──ナラティヴ公開シンポジウムを終えて ◆ (北松中央病院)前田さとみ
人と人との関係性から成り立つ看護と「語る-きく」意味 ◆ (医療法人蒼龍会井上病院)富田昌代

§3 進化──これからどうしていきたいのか
臨床看護におけるナラティヴ・アプローチの意義──「これがナラティヴ・アプローチだ!」 ◆ (愛知医科大学看護学部・大学院クリティカルケア看護学)松月みどり
「病の語り」,会話の産物と現実──看護実践と社会構成主義 ◆ (奈良学園大学保健医療学部看護学科)村雅世
看護実践者の語りと学習 ◆ (千里金蘭大学看護学部/クリエイティブ・ブリッジ・ナース)髙橋清子
看護職者の語りを聞く ◆ (兵庫医療大学看護学部看護学科)岸あゆみ
“私”は確かに存在することから始まる看護研究 ◆ (神戸大学大学院保健学研究科)福田敦子

§4 提   言
ナラティブ実践が医療現場に及ぼす影響 ◆ (高槻赤十字病院緩和ケア診療科)岸本寛史
ナラティヴ実践研究の成果と課題──看護ケアの場面において ◆ (神戸大学大学院人間発達環境学研究科)森岡正芳

ブックレヴュー/次号予告/編集後記

ほか


編集後記:

ナラティヴを意識した臨床記述に求められる要素とは何か。あるいは,ナラティヴという記録形式が要請するものは何か。その応答としてぼくは2011年の本誌2号に4つ条件を挙げてみた。1)「私」という一人称で書かれていること,「私」もまた記述の対象になっていること,2)「私」と「あなた」の関係性が主題となっていること,3)記録の終わりが関係の終わりでないこと,そして,4)「私」にも「あなた」にも「読者」にもわかる平易な言葉で書かれていること。1)は,ナラティヴの強み,すなわち他の記録形式では迫れない特徴をさし,2)は,描かれる事象の徹底した双方向性を言い,3)は,「倫理的証人」(A・クラインマン)として語りを聴いた者による人間的関与の側面であり,4)は,語りは「伝えること」が本旨であり,またそれは語り手同士が水平であることを意味する。今回の特集でも著者の何人かが上を引用くださった。
では,ナラティヴの記述がその全体として要請するものとは何か。それは他でもない次なる記述へと向かう要請だとぼくは思う。あるいは,現在の記述の更改(update)であろう。記述や記録は一応の完結を伴うが,一方で現在進行するナラティヴ(会話,対話,語り)は未完結,完結不可能にとどまる。記録の完結性はナラティヴの未完結性を呼び込み,ナラティヴの未完結性は次の記録という完結性を引き込む。臨床の記述は,ナラティヴという行為によって生成される時間の節目である。(野村直樹)

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