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169-6司法・犯罪心理学

公認心理師の基礎と実践⑲
――司法・犯罪心理学

野島一彦・繁桝算男監修
(日本女子大学)岡本吉生 編

2,600円(+税) A5判 並製 208頁 C3011 ISBN978-4-86616-069-6

司法・犯罪分野における心理支援
公認心理師の必須の知識を学ぶ
司法・犯罪心理学の入門書

心理学の知見は,司法・犯罪分野で適切な法手続きを行ったり,法の意図する問題解決を図ったり,効果的な犯罪捜査や防犯,被害者への支援,非行少年や犯罪者の再犯防止や社会復帰などにも役立てることができる。
公認心理師として司法・犯罪分野で活動する際の基礎知識と心理支援の実際がわかる1冊。


目 次

第1部 犯罪・非行についての基礎知識
第1章 犯罪心理学の歴史 藤野京子

第2章 科学的な犯罪捜査と犯罪・非行の予防における心理学――警察活動の視点から 渡邉和美

第3章 犯罪・非行の心理アセスメント 寺村堅志

第4章 事実への接近のためのさまざまな心理面接とその技法 橋本和明

第5章 犯罪心理学に関する法律と制度 岩井宜子・渡邊一弘

第2部 犯罪心理学における心理支援
第6章 少年法制における非行少年への心理支援 坂野剛崇

第7章 司法機関における犯罪加害者への心理アセスメントの実際――情状鑑定を中心に 須藤 明

第8章 矯正施設における加害者臨床――刑事施設における心理支援 門本 泉

第9章 各種犯罪類型の特徴と心理支援――パーソナリティ要因を中心に 川島ゆか

第10章 犯罪被害者への心理支援 藤田悟郎

第11章 社会内処遇における心理支援――更生保護における家族支援を中心に 生島 浩

第3部 家事事件の基礎と心理支援
第12章 家事事件における法律と制度 棚村政行

第13章 離婚と子どもの心理 岡本吉生

第14章 離婚後の家族関係と子どもへの支援 小田切紀子


はじめに

法は,国家や社会の秩序の安定や維持を目指すための基本原理や規範を示すものと考えられるが,その営みには必ず人間が登場する。その法の原理を現実場面に適用するのが司法・犯罪の分野である。そのため司法・犯罪の分野では,当然のことながら,人間の心理や行動についての理解が必要となる。しかし,司法・犯罪(特に司法)と心理学は,本来密接な関係にあるものの,学問体系や専門性はきわめて異なっている。このことから,一般に,両者は相互に水と油のような縁遠い存在であると捉えられがちだが,実際には,人間社会において必ず発生する諸問題を適切に解決するためには,法的な解決だけでなく人間に関する関係諸科学,特に広い意味での心理学的な解決が不可欠である。その意味で,司法・犯罪と心理学は社会の秩序を維持するために相互に補完的な役割を担っており,公認心理師試験のブループリントで中項目の同一枠に位置付けられているように,いわゆる民事・刑事といった分野の別はない。
しかしながら,裁判官,弁護士あるいは検察官のいわゆる法曹三者が中心となる司法の世界では,主として私人間の争いを扱う民事と犯罪への対処を行う刑事とでは,基本的な考え方においても司法手続においても大きな差異があり,そのことによって,司法・犯罪分野で働く心理職の職務内容も自ずと異なってくる。そこで本書では,学生や心理学の専門家に比較的なじみがある犯罪や非行に関する事柄を第1部と第2部で取り上げ,民事の中でもとりわけ心理学的知識が必要となる離婚をめぐる事柄を第3部で取り上げる。
第1部では犯罪・非行に関する基礎知識を取り上げる。犯罪心理学の歴史をはじめとして,犯罪捜査や犯罪予防における心理学の活用,犯罪者や非行少年の心理アセスメントや面接,そして刑事司法制度がまとめられている。第2部では犯罪や非行分野における心理支援に焦点を当てている。家庭裁判所,少年院,保護観察所といった主要な機関での支援の実際,刑事裁判所での情状鑑定,施設内および社会内処遇としての心理支援のほか,犯罪類型ごとの犯罪者(や非行少年)の心理的特徴が整理されている。また,犯罪被害者への心理支援についても取り上げている。第3部では離婚問題を中心に,法的な課題や司法機関の役割,離婚や子どもの心理,夫婦の別居あるいは離婚後の子どもとの面会交流に関する問題などが整理されている。
最初に述べたように,司法・犯罪の分野はあらゆる人間生活と不可分であることから,本書ですべての心理的課題を網羅することはできないが,それでもこの分野で働く心理職が身につけておくべき基礎知識については相当にカバーされている。学生や心理学の専門家が本書を手に取り,この分野でいっそう活躍されることを願っている。

2019年2月
岡本吉生


編者略歴
岡本吉生(おかもと・よしお)
1956年生まれ。1979年京都府立大学文学部を卒業。1980年家裁調査官補,1983年から1997年まで家庭裁判所調査官。1993年Mental Research Institute留学。1997年筑波大学大学院教育研究科修士課程修了。家庭裁判所調査官研修所研究員,埼玉県立大学助教授を経て,現在,日本女子大学家政学部児童学科教授。
主な著書:『非行臨床の新潮流:リスクアセスメントと処遇の実際』(共著,金剛出版,2011),『刑事裁判における人間行動科学の寄与:情状鑑定と判決前調査』(共編,日本評論社,2018),『生涯発達の中のカウンセリングⅠ:子どもと親と高齢者を支えるカウンセリング』(分担執筆,サイエンス社,2015)ほか多数。


執筆者所属変更のお知らせ

寺村堅志:さいたま少年鑑別所 → 2019年4月より,常磐大学人間科学部心理学科
門本 泉:東京少年鑑別所 → 2019年4月より,さいたま少年鑑別所