「βアミロイド仮説」について

「公認心理師の基礎と実践」シリーズの10巻「神経・生理心理学」,17巻「福祉心理学」で言及されているアルツハイマー型認知症に関連する「βアミロイド仮説」には,疑義があるようです。(例えば,「サイエンス」誌の記事https://www.science.org/content/article/potential-fabrication-research-images-threatens-key-theory-alzheimers-disease

同シリーズ22巻「精神疾患とその治療」では,門司晃先生が以下のように記しています。

「アルツハイマー病の発症・進行を防止する『根本的治療薬(disease modifying drugs)』の開発が,特に前述のβアミロイド仮説に基づいて,Aβやタウをターゲットに精力的に研究されてきたが,現実的に効果のある薬剤は見出されてないのが現状である。これらのことから,βアミロイド仮説そのものを疑う研究者も出てきたが,Aβの沈着がアルツハイマー病顕在発症の約15~20年前から生じ始め,症状出現時にはAβの沈着がプラトーに達することが明らかにされた。したがって,根本的治療薬の治験対象者を精神神経症状顕在化後としたのが,薬剤治験失敗の原因ではなかったかとの議論もなされている」
門司晃「神経認知障害群〈認知症とその周辺〉」(加藤隆弘・神庭重信編『精神疾患とその治療』遠見書房,156頁)

刊行後に疑義がまとまったことなので,次の版で変更を進めていくことになろうと思いますが,参考になさってください。(編集部)

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