子どものこころを理解する 学校支援のための多視点マップ:始め方・使い方
(愛知大学文学部人文社会学科心理学コース)木之下隆夫編(2,800円+税)ISBN978-4-904536-62-9◆SCと教師が子どものこころを共通理解するための地図
子どものいじめや不登校の問題,多忙な教師のこころの健康問題など,学校をめぐる問題が深刻化している。そうした中でスクールカウンセラー制度が導 入されて18年,蓄積された経験を次のステップにつなげる時期が来ていると言えよう。教師と専門家(SC)の連携をさらに深めるべく,子どものこころを理 解するための地図として,「こころの多視点マップ」を作成した。マップは子どもの関係性,悩む力の発達度,現象形態(症状)の3つの軸からなり,子どもの 状態が一目で分かるようにデザインされている。この実践的な新しい理論モデルを大いに活用してほしい。
具体的な活用例も豊富に掲載した,学校支援に役立つ1冊。
学校でフル活用する認知行動療法
新潟大学人文社会・教育科学系(教育学部)教授神村栄一著(1,600円+税)ISBN978-4-904536-79-7◆今すぐ何とかしなくちゃいけない! 学校はそんな場面がたくさんあります。こんなときこそ,認知行動療法! ……ですが,学校で活用するには,学校のやり方に工夫された認知行動療法が必要なわけです。
日々の相談活動に認知行動療法のコツを取り入れれば,子どもたちとその環境によい変化がもたらされる(ハズ)。
認知行動療法のスペシャリストにして,学校臨床の達人 神村栄一先生によるこの本を読めば,解決志向な理論と技術の体系である認知行動療法のエッセンスが,読み進めていくうちに自然と身につく!
思春期・青年期の精神分析的アプローチ――出会いと心理臨床
乾吉佑著(3,400円+税)ISBN978-4-904536-06-3◆本書は,著者が臨床経験の多くを費やしてきた思春期から青年期にかけての若者と,その保護者などを交えた心理療法の実際をまとめた論集です。著者乾先生の技法的な中核は,精神分析的心理療法ですが,それだけではなく,短期療法や家族療法,親子並行面接法などもケースによっては用いており,クライエントの状況やニーズに合わせた幅広い心理療法が行っています。本書には,それらを用いて治療された,強迫性障害,自閉症,境界性パーソナリティ障害といった疾患ベースのケーススタディ論文,あるいは学生相談や病院臨床,個人開業といった多彩な臨床現場ベースの論文が所収され,事例と技法について具体的な解説がなされています。
子どもの心と学校臨床 第6号 特集:大震災・子どもたちへの中長期的支援
長谷川啓三・若島孔文編(1,400円+税)ISBN978-4-904536-37-7◆3月11日の大震災直後から,編者らは臨床心理の専門家として被災地の支援に入って,今日まで奮闘してきています。そんな中で,震災時においても存在する例外や良循環を拾い出しておく意味があるのでは,という特集のお誘いがありました。編者らがかつて,学校内のいじめ自死防止のために始めた「教育ソリューション・バンク」の震災時版を考えようという訳です。千年に一度の大災害ですが,その中においても「例外」つまり問題を部分的にでも解決している事例が存在するはずです。それがシステム一般のもつ性質ですか ら。「問題」は山積みされていますが,「解決」に焦点をあてることで,震災での日常も見えてくる。各人の日常は決して問題ばかりではありません。すでに高名な先生方に並んで,毎日のように被災地に通っている,若い研究者にもお願いをしました。
子どもの心と学校臨床 第5号 特集:学校アセスメントから予防・啓発へ
村山正治・鵜養啓子編(1,400円+税)ISBN978-4-904536-26-1◆3月11日の東日本大震災の支援でもコミュニティの大切さが叫ばれていますが,部外者にとればコミュニティというのは掌握しがたいものです。同一地域に住んでいても関係性はよくわからない。心根の部分は変わらずとも,人との距離感は地域によって差があり,経験の浅いSCや学校関係者にとってはコミュニティは怪物のように映るかもしれません。そこで,コミュニティの根幹をなす学校のアセスメントと予防・啓発という軸足の異なる2つのテーマをつなげてみたのが今回の特集です。この2つのテーマを 結ぶのは,まさにコミュニティという視点。多くの特集論文にこの視点の大切さがあげられ,コミュニティの見方,入り方も掲げられています。特集論文ではあ りませんが,増田先生の「観点」も地域支援の話題がとりあげられ,より深い内容になりました