公認心理師の基礎と実践⑤――心理学統計法

公認心理師の基礎と実践⑤
――心理学統計法

野島一彦・繁桝算男監修
繁桝算男・(横浜市立大学)山田剛史 編

2,800円(+税) A5判 並製 324頁 C3011 ISBN978-4-86616-055-9

心理統計学を深く理解するために

心理統計学に関する理論を理解し,実際にデータ分析をする技法をマスターすることは,公認心理師に必要な知識であり,スキルです。本書は統計の考え方を丁寧に説明し,具体的なデータ分析の方法とその結果の解釈に親しむことを目的とした最良の教科書です。


目 次
第1章 データ・変数・尺度水準 (関西大学)脇田貴文
第2章 1つの変数の記述統計―データの記述 (横浜市立大学)山田剛史・(文京学院大学)村井潤一郎
第3章 2つの変数の記述統計―相関と回帰 (北海道大学)岩間徳兼
第4章 統計的推測の基礎 (岡山大学)山本倫生
第5章 クロス集計表の検定 (九州大学)安永和央
第6章 2群の平均値差の検定 (独立行政法人国際交流基金日本語試験センター)中村健太郎
第7章 複数の群の平均値差の検定―実験計画と分散分析 (帝京大学)橋本貴充
第8章 重回帰分析と階層線形モデル (東京大学高大接続研究開発センター)宇佐美慧
第9章 因子分析 (筑波大学)尾崎幸謙
第10章 共分散構造分析 (金沢学院大学)室橋弘人
第11章 そのほかの多変量解析 (専修大学)小杉考司
第12章 ノンパラメトリック検定 (ヴァージニア工科大学)宮崎康夫
第13章 テスト得点の分析―古典的テスト理論と項目反応理論 (筑波大学)登藤直弥
第14章 効果量と信頼区間,メタ分析 (東京大学)岡田謙介
第15章 ベイズ統計学 繁桝算男

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はじめに

本書は,公認心理師を養成するためのカリキュラムにおいて,「心理学統計法」の授業の教科書として使われることを目的の1つとして刊行される。
公認心理師がもつべき教養の1つが心理統計学であることはいうまでもないことのように思う。実際,公認心理師のカリキュラムの基礎科目として,「心理学統計法」があげられている。心理統計学に関する理論を理解することと,実際にデータ分析をする技法をマスターすることは,公認心理師として活躍するために必要な知識であり,スキルである。すなわち,公認心理師として,日々の実践における問題解決のためにどのようにデータを収集するかを計画し,得られたデータを分析する方法を知っていなければならない。また,それらのデータの収集計画の立案や分析の手順の背後にある,統計的な見方・考え方を理解しておくことも同じように重要なのである。この教科書では,統計の考え方を丁寧に説明し,かつ,具体的なデータ分析の方法とその結果の解釈に親しむことができることを目的としている。
本書の執筆陣として,心理統計学の領域において先端的に業績をあげている研究者に声をかけ,執筆を快諾していただくことができた。本書の執筆に関して,編者からは,数式を多く展開するのではなく,統計的な見方・考え方を説明し,また,実際のデータ分析を行えるように具体的であってほしいという,難しい注文を出した。統計学は数式を用いて説明されることが多いため,本書を手にされている読者は,統計学に対して物理学のような整合的な体系をもつように考えられているかもしれない。しかし,統計学は多くの異なる考え方を含んでいる。本書は,それぞれの章が異なる執筆者の手によるものであり,各執筆者の研究の方向性を反映しているため,全体として叙述のスタイルを完全に一貫させることは難しくもあったが,編者としては一貫性を高めるために努力し,原稿の手直しをお願いすることもあった。編者の注文に応じていただいた執筆者の方々には感謝したい。結果として,執筆者の独自性が残ったところもあるが,それは統計学の多様性を示しており,統計学が現代社会の種々の問題解決のための強力な武器になっていることの証左であると思っていただきたい。
繰り返しになるが,公認心理師として求められることは,統計学の理論を理解することと,実際のデータ分析ができることである。
最後になったが,用語の統一,記述の一貫性を確保するために,櫻井堂雄氏(ちとせプレス)に大変お世話になった。とくに本書は数式のチェックなど,統計関係ならではの難しさもあり,多大なご苦労をおかけしたことに感謝したい。

2019年1月吉日
繁桝算男・山田剛史


編者略歴
繁桝 算男(しげます・かずお)
1946年生まれ。
東京大学名誉教授,慶應義塾大学訪問教授。
1974年,アイオワ大学大学院修了(Ph. D.)。
主な著書:『後悔しない意思決定』(岩波書店,2007),『意思決定の認知統計学』(朝倉書店,1995),『ベイズ統計入門』(東京大学出版会,1985)ほか

山田 剛史(やまだ・つよし)
1970年生まれ。
横浜市立大学大学院都市社会文化研究科教授。
2001年,東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。
主な著書:『よくわかる心理統計』(共著,ミネルヴァ書房,2004年),『Rによる心理データ解析』(共著,ナカニシヤ出版,2015年),『SPSSによる心理統計』(共著,東京図書,2017年)ほか


※本書で示されたデータ分析の数値例を計算した統計ソフトウェア(RやSPSSなど)のスクリプトの一部や,本書で説明されいている内容の補足などをまとめたZIPファイルを以下よりダウンロードできます。

※データとスクリプトのファイルについて

(1)これらのファイルは,繁桝算男・山田剛史(編)(2019). 心理学統計法 遠見書房 に掲載されているデータ分析の数値例を,読者の皆さんがご自身で追分析できるように用意したものです。統計ソフトウェア(R,SPSS)のスクリプトの一部や,本書で説明された内容の補足を含んでいます。

(2) これらのファイルの著作権は,各章の執筆者にあります。

(3) これらのファイルは,ダウンロードして利用・加工して頂いて構いません。

(4) RやSPSSの利用方法については,関連する書籍やWebサイトを参照してください。編者が関わっている書籍を幾つか紹介します。

山田剛史・杉澤武俊・村井潤一郎(2008). Rによるやさしい統計学 オーム社
山田剛史(編著)(2015). Rによる心理学研究法入門 北大路書房
山田剛史・村井潤一郎・杉澤武俊(2015). Rによる心理データ解析 ナカニシヤ出版
山田剛史・鈴木雅之(2017). SPSSによる心理統計 東京図書

(5) これらのファイルに関する問い合わせは,遠見書房(tomi@tomishobo.com)までお願いします。

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