公認心理師の基礎と実践② 心理学概論

公認心理師の基礎と実践② 心理学概論

野島一彦・繁桝算男監修  (東京大学名誉教授・慶應義塾大学訪問教授)繁桝算男編

2,400円(+税) A5判 並製 196頁 C3011 ISBN978-4-86616-052-8

心理学およびその周辺領域の知識を網羅
公認心理師カリキュラムに沿った全23巻シリーズの第2巻「心理学概論」

本書は公認心理師養成のテキストシリーズです。公認心理師の養成は,大学+大学院で6年が最短でかかりますが,その大学時代の座学における全てのカリキュラムを網羅するものです。この巻は,東大名誉教授でもあり,心理学者として名高い繁枡先生による基礎系心理学のテキスト。基礎心理学は公認心理師の必須知識ですが,臨床において必要となるであろう基礎心理学を優先的に押さえ,コンパクトにまとめた。基礎心理学と臨床心理学を結ぶ一冊。


目次
1章 心理学の歴史と成り立ち ◆ (立命館大学)サトウタツヤ
2章 心の生物学的基盤 ◆ (中央大学)高瀬堅吉
3章 感覚・知覚 ◆ (東京大学)村上郁也
4章 学習 ◆ (専修大学)澤 幸祐
5章 記憶 ◆ (追手門学院大学)川口 潤
6章 言語・思考 ◆ (大阪公立大学)山 祐嗣
7章 動機づけ・感情 ◆ (宇都宮大学)中村 真
8章 心の発達 ◆ (お茶の水女子大学)上原 泉
9章 知能 ◆ (帝京大学)敷島千鶴
10章 パーソナリティ ◆ (早稲田大学)小塩真司
11章 社会と個人 ◆ (東京大学)村本由紀子
12章 心の健康と不適応 ◆ (東京大学)石垣琢麿


はじめに
本書は,公認心理師になろうとする人がもつべき必須の心理学の知識をわかりやすく説明することを目指している。公認心理師は,日本でははじめての心理学の国家資格である。公認心理師法では,公認心理師を,概略次のように説明している。
「公認心理師」とは,公認心理師登録簿への登録を受け,公認心理師の名称を用いて,保健医療,福祉,教育その他の分野において,心理学に関する専門的知識及び技術をもって,次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。①心理に関する支援を要する者の心理状態の観察,その結果の分析,②心理に関する支援を要する者に対する,その心理に関する相談及び助言,指導その他の援助,③心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言,指導その他の援助,④心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供。
このように,非常に広い分野をカバーする形で公認心理師が定義されている。心理に関する支援を要するものは,保健医療だけではなく,福祉,教育,また,企業一般など社会のいたるところに存在する。支援を必要とする人を前にして,その人のためになる実践の形はさまざまであろう。そして,どのような支援がよいかについては,実践的な訓練,先輩からの教えなどから学ぶことが多いが,そのような多様な実践の基盤をなすのが,科学的な心理学の思考法であり,知識である。心理学の先端的知識が,実践に直接的に役に立つとは限らないが,再現性のある科学的知識は,何らかの形で,実践家を支え,示唆を与えるはずである。本書は,科学的心理学の体系において,人間心理の深い理解に関わる部分を重点的に整理し解説することを目指している。
本書は,公認心理師になるための必要な科目としてリストアップされている心理学概論に対応している。心理学概論には,①心理学の成り立ち,②人の心の基本的な仕組み及び働きが含まれている。本書全体を習得することを通して,心理学がどのように発展し,現在ではどのような位置にあるかについて理解し,心理現象について,その因果的な説明ができるようになることを目指している。心理学の扱う領域は多岐にわたり,公認心理師カリキュラムにおいても,多数の科目が設定されている。本書は,その広範な学問領域の見取図を得られるように章立てを構成した。本書を足がかりとして,さらに学習を深めていってほしい。
公認心理師になるには試験に合格する必要がある。しかし,本書は,どのような試験が出るのかを予想し,それに対して対策をするという受け身的なねらいで書かれているわけではない。を章を担当する著者は,それぞれ担当する章に関連する専門分野において先端的な研究をしている方たちである。そのような著者が,公認心理師となり,社会に出て活躍するうえで,心理学概論においてどのような知識を身につけてほしいか,またどのような知識が試験において問われるべきかを示すという気概をもって執筆にあたっていただいた。それがどの程度実現されているのか,本書を読んで勉強してくださる読者からぜひご意見をいただきたい。本書が幸いに多数の読者を得て,版を重ねることによって将来さらに内容をよい方向にアップデートしていくことを念願している。

繁桝算男


編者略歴
繁桝算男(しげます・かずお)
1946 年生まれ。
東京大学名誉教授,慶應義塾大学訪問教授。
1974 年,アイオワ大学大学院修了(Ph. D.)。
主な著書:『後悔しない意思決定』(岩波書店,2007),『意思決定の認知統計学』(朝倉書店,1995),『ベイズ統計入門』(東京大学出版会,1985)ほか

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