子どもと親のためのフレンドシップ・プログラム――人間関係が苦手な子の友だちづくりのヒント30

子どもと親のためのフレンドシップ・プログラム
――人間関係が苦手な子の友だちづくりのヒント30

フレッド・フランクル著
辻井正次監訳、足立匡基・村山恭朗・浜田恵・明翫光宜・髙柳伸哉・増山晃大訳

2,800円(+税) 四六判 並製 352頁 C0011 ISBN978-4-86616-158-7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子どもの友だち関係のよくある悩みごとをステップバイステップで解決!
困った状況ごとに具体的な問題解決のヒントが見つかる
親子のための科学的な根拠のある「友だちのつくり方」実践ガイド

本書は,カリフォルニア大学ロサンゼルス校で長年にわたり友だち関係づくりプログラムの研究・開発・実践を行ってきたフランクル博士が書かれた親向けの本です。子どもが友だち関係で現実によくつきあたる悩みを解決するためのヒントを,いろいろな状況ごとに具体的に紹介しています。
友だちをつくり,友情を育むことは,子どもの社会性の発達にとって大切なことです。しかし人間関係が苦手な子は,友だちができなかったり,友情の問題に悩まされたりしています。本書では,そうした困りごとを解決するプランを段階的に用意し,親と子どもが一緒に取り組めるように工夫しています。
親と子,子ども同士,親と親のあいだのコミュニケーションを豊かにするヒントが満載の「友だちのつくり方」実践ガイド。学校の教師をはじめ,子どもの発達支援に関わる方たちにもぜひ読んでいただきたい本です。


目次

第1部 親がどのように助けることができるか
1 友だちのための時間作り
2 友だち関係を育むことを難しくする興味・関心
3 友だちを惹きつける興味・関心を育てる
4 友だちのために地域の学校を活用しよう
5 学外の団体の活動を友だち探しのために利用する
6 あなたのネットワーク作りのスキルを向上させる
第2部 友だちを作る
7 他の子どもの遊びに参加すること
8 良いスポーツマンになる
9 仲良くなれる友だちを探す・仲良しグループに加わる
10 友だちを作るための電話の使い方
11 友だちとつながるために携帯のメールやLINEメッセージを使う
12 遊びを楽しむ
13 良いホストになる
14 友だち関係を育む休日や長期休暇の過ごし方
第3部 友だちを維持する
15 良い友だち選びを促す
16 良くない友だち選びをやめさせること
17 あなたの子どもの心配なことをきく
18 友だちを盗られること
19 親友を失うこと
20 離婚と引越し
第4部 からかい、いじめ、卑怯な行いへの対処
21 からかいが楽しくないようにする
22 ウワサを止める
23 喧嘩っ早い子どもから離れること
24 いじめっ子たちに対処する
第5部 トラブルから抜け出すためのサポート
25 あなたの子どもとのトラブルに巻き込まれた大人と協働する
26 子どもの喧嘩を止める
27 多動に関わる問題を克服しよう
28 あなたの子どものいじめを止めよう
29 クラスメイトから気づかれないこと
30 友だちを作るスキルの確立と良くない評判の克服


著者紹介
フレッド・フランクル(Fred Frankel)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)精神医学・生物行動科学科教授。博士(心理学)。長く社会性の発達支援,特に友だち関係作りのプログラム開発等の世界的な研究・実践を行ってきた。UCLAのペアレント・トレーニングとチルドレンズ・フレンドシップ・プログラムのディレクターを務めている。

監訳者紹介
辻井正次(つじいまさつぐ)
中京大学現代社会学部教授。NPO法人アスペ・エルデの会CEO。浜松医科大学子どものこころの発達研究センター客員教授。
《主な著訳書》:『発達障害のある子の育ちの支援―家族と子どもを支える』(単著,2016年, 中央法規),『発達障害のある子どもたちの家庭と学校』(単著,2015年,遠見書房),『発達障害児者支援とアセスメントのガイドライン』(監修・共著,2014年,金子書房),『発達障害のある子どもができることを伸ばす! 学童編』(2011年),『発達障害のある子どもができることを伸ばす! 幼児編』(2011年),『発達障害のある子どもができることを伸ばす! 思春期編』(共著,2013年, いずれも日東書院本社),『友だち作りの科学―社会性に課題のある思春期・青年期のためのSSTガイドブック』(監訳,2017年,金剛出版),『発達障害支援に生かす適応行動アセスメント』(監訳,2021年, 金子書房)など。


おわりに(監訳者より)

本書は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)において、長く社会性の発達支援、特に友だち関係作りのプログラム開発等の世界的な研究・実践を行ってきたフレッド・フランクル博士が書かれた、保護者向けの本である。フレンドシップ・プログラム(Children’s Friendship Program)という、フランクル博士が共同研究者たちと開発したプログラムのエッセンスを示したものである。フランクル博士自身が序文で書いているように、この本の全てを読んで実践しようというよりは、保護者が自分の子どもの友だち作りや友だち関係において困ったことや悩ましいことが生じた場合に、該当する箇所を読んでいただくことで、実際の関わりのヒントを得られるようになっている。北米の子どもの暮らしを想定して書かれた本であるため、現在の日本の実情に合わせるように、監訳者の方で記載の工夫をしている。
自閉スペクトラム症(ASD)などの社会性や対人関係が苦手な子どもたちにとって、友だち作りは非常に大きな課題を持つことが知られている。本書で紹介したフランクル博士たちUCLAの研究チームの児童期におけるフレンドシップ・プログラムと、エリザベス・ローガソン博士を中心に開発され世界的にエビデンスが証明されている思春期以降におけるPEERS(The Program for the Education and Enrichment of Relational Skills)は、必要とする子どもたちや大人たちの日常にそって構成されている。これらのプログラムは、友だち関係は運や縁でしかどうしようもないものということではなく、科学的な根拠をもって具体的にどうすればいいのかを分析し、社会性の発達支援の取り組みを進めやすいように開発されたものである。思春期以降のPEERSにおいて、フランクル博士の共同研究者でもあるローガソン博士が『友だち作りの科学』にまとめた内容の小学校年代版が本書にあたる。友だち関係において、現実に生じる課題を、フランクル博士たちの臨床チームがプログラムで有効だったやり方でステップを示しているので、読者はまずは子どもに必要なステップから試していただければと願っている。幼児期から成人期までのライフステージを通した発達支援において友だち関係作りは本当に重要な課題である。
わが国においては、東海地区ではNPO法人アスペ・エルデの会の放課後等デイサービス事業所や支部の学習会などでは、フレンドシップ・プログラムを土台にしたプログラム構成での社会性支援(「あそプロ」)が実施されている。今後、障害児福祉サービスにおいても、本書を参考にしたさまざまな支援が広がることを願っている。
翻訳に際しては、学校生活に関して状況が全く異なるもの(北米ではスクールバスで通学する)や、インターネットなどのコミュニケーションアプリ(北米で用いられるインスタントメッセージは、わが国の実情に合わせてLINEという表記に統一した)に関しては監訳者が修正を加えた。本書の刊行においては、地味な内容の本にもかかわらず出版の英断をした遠見書房の山内俊介氏と粘り強く編集作業を進めてくれた同社の駒形大介氏に謝意を表する。

中京大学 辻井正次


 

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