ディスコースとしての心理療法―可能性を開く治療的会話
児島達美著&和田憲明・田崎みどり・永尾嘉康・伊藤勢津子・森 俊夫(3,000円+税)ISBN978-4-86616-021-4◆ホワイトとエプストンの発表した「問題の外在化」、これとまったく同じ時期に同じ家族療法の文脈から、「問題の外在化」というキーワードを創出した心理臨床家が、本書の著者児島達美である。以来、心理療法のポストモダン化は進展したものの、世界経済の動向や社会の保守化傾向などのなかで、心理療法のあり方は問われ続けている。本書は、そんな世界にある心理療法の本質的な意味を―著者独特の軽妙な深淵さのなかで―改めて問う力作である。また、盟友であった故和田憲明氏との3ケースにおよぶ紙上スーパーヴィジョン、故森俊夫氏とのトークセッションも掲載。効果のある心理療法にするための具体策が盛り込まれた1冊。
ナラティブ・メディスン入門
小森康永著(2,500円+税)ISBN978-4-904536-90-2◆病に苦しむ人達にとって,それがどんな体験かを自分自身が知ること,その苦境を人に知ってもらうことが切実な問題となる。ナラティブ・メディスンは,医療従事者が患者の病いの物語を聴き取り,理解し,誠実に寄り添うための能力を育てることを提唱する。
本書は,シャロンの『ナラティブ・メディスン』をひもとき,精密読解,パラレルチャート,アウトサイダー・ウィットネスなどの方法論を具体例を交えて分か りやすく解説するとともに,WCウィリアムズやRコールズ,HMチョチノフらの実践から文学的手段の活用法を探った。また,日本における著者らのナラティ ブ・メディスンの刺激的な試みも紹介している。
より人間的,倫理的,効果的なケアを実現するためのナラティブ・メディスン入門書。
ナラティヴ・ベイスト・メディスン入門
市山康暢著(2,400円+税)ISBN978-4-904536-65-0◆ナラティヴがわかる入門書の決定版
医療という行為のなかで,ナラティヴやNBMを意識することは,果たして意味のあることなのか。意味があるとしたら,そのナラティヴの背景となっている考えはどういったものだろうか。日々の臨床膨大なと文献展望から生まれた,ナラティヴとNBMのガイドブック。
ナラティヴ・ベイスト・メディスンを皮切りに,ナラティヴ論やナラティヴ・セラピー,社会構成主義など広範で難解な事柄を,だれでもわかりやすく,なおかつ,医療実践に即して書かれたのが,本書「ナラティヴ・ベイスト・メディスン(NBM)入門」です。
協働するナラティヴ
ハーレーン・アンダーソン/ハロルド・グーリシャン/野村直樹著野村直樹 訳(1,800円+税)ISBN978-4-904536-56-8◆ナラティヴ・セラピーの始まりは,この論文からだった!
1988年,世界の心理療法業界をリードする雑誌「ファミリー・プロセス」誌に1つの論文が掲載された。
「言語システムとしてのヒューマンシステム──臨床理論発展に向けてのいくつかの理念」。
著者は,ハーレーン・アンダーソンと,天才的臨床家ハロルド・グーリシャン。無知の姿勢,ナラティヴ,コラボレイティヴ……新しいアイデアに溢れたこの論文は,現在の心理療法に絶大なる影響を与えることになる。
この論文の全訳と,共同研究者であったアンダーソンと野村とのやりとりを踏まえ,1冊の本も残さなかったグーリシャンの,アイデアの核心を探る。
ナラティヴ,あるいはコラボレイティヴな臨床実践をめざすセラピストのために
(開業セラピスト,臨床心理士)高橋規子×(駒澤大学教授)八巻秀著(3,400円+税)ISBN978-4-904536-27-8◆本書は,ナラティヴ・セラピスト 高橋規子のセラピー(初回面接)のVTRを見ながら,高橋規子と八巻秀が,その細かい介入技法から,セラピー中の思考・感情,ナラティヴ・アプローチの方 法論,背景にある思想,セラピーそのものの本質などについて,さまざまに語り合ったものである。
ナラティヴ・アプローチに詰まっている知恵は,多くのセラピー技法に普遍的な考え方であり,実践である。本書は,ナラティヴ・セラピストだけでなく,他のすべてのセラピストたちにとって,重要な一冊となるだろう。