子どもの心と学校臨床 第6号 特集:大震災・子どもたちへの中長期的支援
長谷川啓三・若島孔文編(1,400円+税)ISBN978-4-904536-37-7◆3月11日の大震災直後から,編者らは臨床心理の専門家として被災地の支援に入って,今日まで奮闘してきています。そんな中で,震災時においても存在する例外や良循環を拾い出しておく意味があるのでは,という特集のお誘いがありました。編者らがかつて,学校内のいじめ自死防止のために始めた「教育ソリューション・バンク」の震災時版を考えようという訳です。千年に一度の大災害ですが,その中においても「例外」つまり問題を部分的にでも解決している事例が存在するはずです。それがシステム一般のもつ性質ですか ら。「問題」は山積みされていますが,「解決」に焦点をあてることで,震災での日常も見えてくる。各人の日常は決して問題ばかりではありません。すでに高名な先生方に並んで,毎日のように被災地に通っている,若い研究者にもお願いをしました。
子どもの心と学校臨床 第5号 特集:学校アセスメントから予防・啓発へ
村山正治・鵜養啓子編(1,400円+税)ISBN978-4-904536-26-1◆3月11日の東日本大震災の支援でもコミュニティの大切さが叫ばれていますが,部外者にとればコミュニティというのは掌握しがたいものです。同一地域に住んでいても関係性はよくわからない。心根の部分は変わらずとも,人との距離感は地域によって差があり,経験の浅いSCや学校関係者にとってはコミュニティは怪物のように映るかもしれません。そこで,コミュニティの根幹をなす学校のアセスメントと予防・啓発という軸足の異なる2つのテーマをつなげてみたのが今回の特集です。この2つのテーマを 結ぶのは,まさにコミュニティという視点。多くの特集論文にこの視点の大切さがあげられ,コミュニティの見方,入り方も掲げられています。特集論文ではあ りませんが,増田先生の「観点」も地域支援の話題がとりあげられ,より深い内容になりました
子どもの心と学校臨床 第4号 特集:教師のうつ
村田豊久・小林隆児編(1,400円+税)ISBN978-4-904536-21-6◆教育問題に詳しい精神科医,児童精神科医として活躍している村田豊久先生(元九州大)と小林隆児先生(大正大)の編集による,教師のうつを主題として特集です。学校を取り巻く諸問題が教師のうつを増やしており,学校の諸問題を解決していくのが先なのか,先生たちのうつを癒していくのが先なのか,悩むところかもし れません。本特集では,うつを治すことに焦点を当てました。しかし,うつを治し職場復帰を図ってみたところで,学校現場が以前のままでしたら,症状が再燃 することも十分にありえます。傷ついた人々をただ前線に送り返すだけでは,学校臨床や精神科臨床はその使命をまっとうしたとはいえないかもしれません。こ の特集が社会を少しでも変える力になることを願ってやみません。
子どもの心と学校臨床 第3号 特集:小さなことからはじめてみよう! 学校コミュニティへの援助
村山正治・岡本淳子編(1,400円+税)ISBN978-4-904536-17-9◆スクールカウンセリング事業を牽引してきた村山正治先生と,岡本淳子先生による編集です。「コミュニティ支援」「地域支援」という言葉は,学校臨床に限らず,行政や政治の面などでも重要なテーマとなっています。ですが,具体的にどう支援するのかを一人の学校臨床関係者が考えても――特に経験の少ない方にとっては――何とも雲をつかむような気分にさせられるのではないでしょうか。本特集ではそんな気分を払拭しようと,具体的なコミュニティ支援の事例と,その周辺のノウハウや考え方を集めてみたものです。特集編者の一人岡本先生の冒頭論文にもあるよう,2009年度第14回学校臨床心理士全国研修会での発表されたものの中からセレクトされています。特集の 石田陽彦先生のような「大成功例」などにエンパワーされつつ(ぜひ,この論文だけでも立ち読みしてください),自分の得意なことや小さなことから,やって みよう,はじめてみようと一歩をふみだしていただければ幸いです。