クラスで使える!ストレスマネジメント授業プログラム『心のメッセージを変えて気持ちの温度計を上げよう

クラスで使える!ストレスマネジメント授業プログラム
『心のメッセージを変えて気持ちの温度計を上げよう』

★CD-ROMつき

竹田伸也著

定価2,600円(+税)、100頁、A5判、並製+CD-ROMつき
C3011 ISBN978-4-904536-86-5

(ストレスマネジメント授業『心のメッセージを変えて気持ちの温度計を上げよう』用ワークシート&ユガミンシートも同時発売)

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↑これがワークシート&ユガミンシート
ユガミンが学校に飛び出した!

セルフヘルプ本として大好評の『マイナス思考と上手につきあう認知療法トレーニング・ブック』が中学や小学校のクラスに向けたストレスマネジメント授業としてパワーアップ!

しっかり構造化された授業用プレゼンデータや資料の入った付録のCD-ROMと,簡単手引きでだれでもストマネ授業が出来ちゃうのです。(付録のデータ利用にはPowerPoint®2007以降が必要です)

同時発売の「ワークシート&ユガミンシート」は,書籍「ストレスマネジメント授業プログラム『心のメッセージを変えて気持ちの温度計を上げよう』」で使用す る2種のシートを1セット(100人用)にした商品です(注:本の付録CD-ROMにはこのシートのデータが入っており,使用できます)。「ワークシー ト&ユガミンシート」は,コピーが面倒な方,カラー印刷はちょっと高いという方向け。シート自体が心理教育にもなっています。サイズは,A4,定価 3,000円+税です[ISBN978-4-904536-87-2]

姉妹本→『クラスで使える! アサーション授業プログラム──「自分にも相手にもやさしくなれるコミュニケーション力を高めよう」』

本書の詳しい内容


おもな目次

第1部 『心のメッセージを変えて気持ちの温度計を上げよう』プログラム……って何?
ステップ1 プログラムの概要
ステップ2 プログラムのねらい
ステップ3 プログラムの効果

第2部 『心のメッセージを変えて気持ちの温度計を上げよう』プログラム説明書
説明書諸注意
スライド1枚目~28枚目


はじめに

このプログラムは,学級単位で学校現場の先生が小学生~中学生のストレスマネジメント授業を実践することを目的として作成されました。
このプログラムが生まれたのは,ひとりの養護教諭との出会いがきっかけです。その先生は,私が勤務する鳥取大学大学院に内地留学生として学んでいた先生で した。内地留学を終えたその先生から,「学校現場では,自分の思い込みに振り回されて,つらくなったり不適応をきたしたりする子どもがいる。認知療法を 使ったストレスマネジメント授業のようなものがあれば」という話を伺いました。それを聞いて,私はそうしたプログラムを作ってみようと思い立ちました。ただし,プログラムは専門家が実施するのではなく,あくまでも学校現場の先生が実践できるものにしようと考えました。専門家が実践しないとできないようなプ ログラムだと,たとえそれが有効であったとしても普及するには限界があるし,子どもたちの様子を一番近くで理解している先生が行うストレスマネジメント授 業にこそ,子どもにとって意味があると思ったからです。
専門家でなくても現場の先生が無理なく実践できるようにするには,誰が行っても同質の授業が展開できるような仕掛けが必要です。そこで,パワーポイントに そって授業が行えるようプログラムを作成しました。現場の先生方からは,「忙しい学校現場で教員が実践するとなると,できるだけ短い時間で完結するプログ ラムが望ましい」とのアドバイスを受けたので,45分1コマの授業を2コマで完結するプログラムを作成し,私が小学生を相手に実際に授業を行ってみまし た。
結果は,散々でした。子どもたちの表情がいまいちなのです。それに,あまりにも情報量が多いためプログラムをこなすのに精一杯で,私自身全然楽しくないの です。授業をしているこちらが楽しくないのなら,子どもたちも楽しくないに決まっています。追い打ちをかけるように,授業が終わったあと,見学していた先 生たちから「あんなにたくさんのことを伝えることはできない。それに,現場で広く普及したいのであれば,2コマの授業はやはり多い。1コマにしてほしい」 と指摘を受けました。当初,認知療法の基本的な枠組みをしっかりと取り入れたプログラムにしようと考えていた私は,1コマでそれをするなんて不可能だと思 いました。そんなとき,アップル社のスティーブ・ジョブズのエピソードを思い出しました。彼は,技術者たちの作ったノートパソコンを彼らの目の前でたたき 落とし,もっと小さくて機能的なものを作るよう命じ,技術者たちは無理だと思いながら実際コンパクトで機能的な端末を作ったのです。そのエピソードが追い 風となり,私は1コマでできるストレスマネジメント授業を作ってみようと思いました。
そうして,この『心のメッセージを変えて気持ちの温度計を上げよう』プログラムが完成したのです。私は,再び小学生を相手に授業をしてみたのですが,前回 のものとまったく違いました。子どもたちの反応が,ビックリするほどよいのです。何よりも,授業をしている私がとても楽しかったのを,今でもハッキリと覚 えています。見学していた先生たちの反応も上々で,「これならすぐにでも使えるし,何よりも子どもたちが楽しそう」と,嬉しい感想を返してくれました。完 成してからは,県内外の多くの小中学校の先生と子どもたちが,このプログラムの有効性を確認するために協力してくれました。それによると,このプログラム を作成したねらいであるストレスマネジメント効果が十分にあることが明らかとなりました。そうして今,先生方にこのプログラムをお届けすることができるに 至ったのです。
このプログラムを作成するにあたり,平成24年度日教弘本部奨励金の研究助成を受けました。また,このプログラムは,かつての教え子である沖縄大学の松尾 理沙さんと鳥取医療センターの太田真貴さんと一緒に作成し,イラストは兵庫教育大学大学院の大塚美菜子さんに描いてもらいました。そして,このプログラム がたくさんの先生方にご活用いただき,それによって一人でも多くの子どもたちのストレスマネジメントに資することを願い,遠見書房の山内俊介さんに製品作 業をお願いしました。たくさんの方々の協力を得て,いろんな人々の想いが形となって,このプログラムができあがりました。ご協力いただいた皆さまに,心からの感謝の気持ちを伝えたいと思います。ありがとうございました。
このプログラムが,手に取っていただいた先生によって楽しく実践され,それによって子どもたちの健やかな成長に役立つことを,心より願っています。

2015年2月
竹田伸也


おわりに

最後に,私がある小学校で行った授業で,子どもたちが作ってくれたキャラクターを紹介しましょう。これを創作してくれたのは,6年生です。
最初は,「プラスレンジャー」落ち込んだときにやってきて,前向きなメッセージを届けてくれる頼もしいヒーローです。

次に,「キニーマン」嫌なことがあると,「元気にいこう」とか「前向きにいこう」のような明るいメッセージを,いつでも飛んできて届けてくれます。

3つ目は,「マエムッキー」後ろ向きな考えでクヨクヨしているときに,気持ちが軽くなるようなメッセージを届けてくれます。

4つ目は「マエムキー」3つ目と名前が似ていますが,キャラクターはまったく違います。転んでもまた元気に前に向かっていこうよって元気なメッセージを届けてくれます。

5つ目は,「まーいっかマン」悔やんでしまうことがあっても,「まーいっか」と悔やんだことから距離をとるのを助けてくれます。
最後は,「ダイジョブー」気になることがあっても,「大丈夫だよ」と優しく励ましてくれます。

いかがですか? みているだけで,ココロが和んだり,嫌なことがフニャァッと小さくなっていったりするように思いませんか。このプログラムを行った多くの クラスから,子どもたちに心地よいメッセージを届けてくれるたくさんのキャラクターが生まれています。ストレスを感じる出来事はさまざまですが,どんなと きでも安心できるメッセージを届けてくれるキャラクターがいる。それも,自分たちで生みだしたかわいいキャラクターが。こうしたキャラクターがココロの中 にいて,嫌なことがあるとそのキャラクターを通してポジティブな考えを作りだす。そんなことを繰り返しているうちに,子どもたちの考え方の幅は広がり,物事を柔軟に捉える態度が育まれていくように思います。

このプログラムを使った先生方から,嬉しい便りをいただくことがあります。ある先生は,ワークシートのバージョンを増やし,子どもたちに起こりやすいさま ざま出来事を用いて,考え方の幅を広げる態度を育む授業を展開しています。ある先生は,中学3年生を対象とした授業で,グループでキャラクターを作るとこ ろを,生徒が個別にキャラクターを作ってみることを試してみました。このように,このプログラムを実践した先生方の多くは,プログラムが終わったあと,子どもたちのストレスマネジメント力をさらに拡げるために,プログラムを独自に発展させています。そうした意味で,このプログラムは1回の授業で完結という わけではなく,先生方の新たな発想で拡がっていく,「子どもたちの柔軟な考え方を育む物語」のプロローグなのかもしれません。
まずは,このプログラムを使って授業を行ってください。そして,そこから生まれてくるいろんなアイデアに揺り動かされて,ストレスマネジメント授業の自由な発展を楽しんでみてください。


著者略歴

竹田伸也(たけだ・しんや)
鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学専攻講師。博士(医学),臨床心理士,専門行動療法士。香川県丸亀市生まれ。鳥取大学大学院医学系研究科医学専攻博 士課程修了。鳥取生協病院臨床心理士,広島国際大学心理科学部講師を経て現職。日本老年精神医学会評議員,日本認知症予防学会評議員を務める。
主な著書に,『認知行動療法による対人援助スキルアップ・マニュアル』(遠見書房,2010),『誰でもできる脳いきいき教室のすすめ方──地域で楽しめ る認知症予防活動』(萌文社,2010),『マイナス思考と上手につきあう認知療法トレーニング・ブック──心の柔軟体操でつらい気持ちと折り合う力をつ ける』(遠見書房,2012),『「マイナス思考と上手につきあう認知療法トレーニング・ブック」セラピスト・マニュアル』(遠見書房,2012),『対 人援助職に効くストレスマネジメント──ちょっとしたコツでココロを軽くする10のヒント』(中央法規,2014)など。

共同開発者
松尾 理沙 沖縄大学人文学部こども文化学科
太田 真貴 国立病院機構鳥取医療センター

イラスト
大塚美菜子 兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科

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