ポリヴェーガル理論でわかる不登校のこころとからだ──今日からできる,子どもの安心・安全づくり(BL子どもの心と学校臨床12)

ポリヴェーガル理論でわかる不登校のこころとからだ──今日からできる,子どもの安心・安全づくり(BL子どもの心と学校臨床12)
著者伊藤二三郎
出版年月2026年9
ISBN
図書コード
978-4-86616-258-4
C3011
判型A5判並製
ページ数136
定価2,500円(+税)
内容紹介

本書は,ポリヴェーガル理論から不登校をとらえ直し,家庭や学校で今日からできる子どもをサポートする方法を紹介した本です。
やみくもに学校復帰を目指すのではなく,まずは子どものこころとからだを支えながら生活リズムを整え,自立スキルを身につけていくことを目指します。子どもの発達段階に応じて安心・安全な環境や関係をどのように作っていったらよいのか,具体的な方法をたくさん盛り込みました。
教職員,スクールカウンセラーなどの心理職はもとより,不登校の子をもつ親御さんや不登校支援に関わるすべての人にお読みいただきたい一冊です。

主な目次

第1章 ポリヴェーガル理論で不登校を見る
第2章 生活リズムと自立スキルを身につける
第3章 家庭の「安心・安全」の作り方
第4章 友だちや第三の場所でのかかわり
第5章 学校とのかかわり
第6章 不登校の「からだ」にアプローチする

はじめに

学校には行っているが,朝体調不良をよく訴える。登校を渋るようになった,子どもが不登校になった。どう対応したらよいか迷っている。当たり前のように行っていた学校を嫌がるようになり,勉強のこと,進学のこと,子どもの将来が心配でしかたがない。
こんなお悩みを抱えてこの本を手に取られた親ごさんがおられると思います。
また,自分の担任している児童・生徒が不登校になった。担任として,学校として何かできることはないだろうか? とお悩みの先生方や不登校の子どもたちの支援に携わっている方もおられるかもしれません。

近年,不登校児童・生徒は増え続けています。以前に比べれば,「不登校はわがままだからだ」「さぼって楽をしようとしているだけだ」「親が甘やかしているからだ」などの間違ったとらえ方は少なくなっており,不登校に対する理解も支援も以前よりは充実していることも確かです。
それなのに,不登校が年々増え続けているのも事実です。そして,

「どうして不登校になるのか?」
「もっと効果的な取り組みはないのか?」
「子も親も楽になる方法とは?」
「本当の解決とは何なのか?」

など,たくさんの「?」が解決されないままです。

本書では,ポリヴェーガル理論という新しい自律神経理論をもとにして不登校をとらえ直し,子どもの自立に向けた取り組みについて明らかにしていきます。
また,これまでに多くの不登校の相談・カウンセリングを通して,子どもたちや親ごさんたちから学んだことも紹介していきます。
この本では,

1.ポリヴェーガル理論からのアプローチ
「ポリヴェーガル理論」とは,「こころ」と「からだ」を「安心・安全」にするためには,自律神経の状態をどのようにとらえ,整えるとよいのかという最新の理論です。「緑」「赤」「青」の3色で心身の状態を表します。
2.子どもの発達と自立のレベルに応じた支援(安心・安全の基礎を築く,拡げる)
子どもたちの発達段階と自立レベルの大きなズレによって「こころ」と「からだ」が「不登校状態」になっている子が近年増えていることに注目し,自信と自己肯定感を高める取り組みについて述べます。
3.家族関係をポジティブな循環にすること(自立のための安全基地が家庭)
不登校を本人のせいにしたり犯人捜しをしたりするのではなく,家族のかかわり方に注目し,本人の「こころ」と「からだ」を支えるように家族関係をポジティブな循環にしていくことが解決の早道となります。
4.ひとりの個としての自立に向けて(好きなことを拡げ,世界を拡げていく)
より広い社会に向かって巣立つためには友だちとの交流や家族以外の大人との関係を築いて行くことが大切です。
5.学校や先生への提言
不登校は子どもの問題ではなく,学校環境と子どものミスマッチの問題です。
「能力主義」の弊害についても考えます。
6.からだへのアプローチ
「こころ」と「からだ」は切っても切り離せない関係です。
からだへのアプローチで「安心」を取り戻すことが大切です。

以上を本書の6つの柱として提案していきます。
すぐに取り組めることから,じっくりと取り組むことまで,できるだけたくさんのアドバイスを盛り込みましたので,まず簡単に取り組めそうなことからやってみてください。
取り組みといっても,なんとか子どもを学校に行かそう,子どもを変えようという姿勢ではうまくいきません。まずは,自分とお子さんの関係を変える,自分自身を変えることを優先してください。そして,同じ方向を向いて伴走してあげてください。そうすれば必ず変化は現れます。
そして,昨日とは少しだけ違った今日をお子さんと一緒に喜びあってください。そうすれば,「解決のためのはじめの一歩」を踏み出したといえます。

なお,本書におけるすべての事例は,私が教師として,巡回相談員として,カウンセラーとしての46年間で出会った子どもたちと家族の実際のケースにもとづいていますが,個人が特定されないようにしながら,本質を損なわない程度に改変した「創作」であることを,はじめにお断りしておきます。

伊藤二三郎


著者紹介
伊藤二三郎(いとう・ふみお)
1957年生まれ。公認心理師。
いとう発達・心理相談室代表,四日市市立小学校/中学校スクールカウンセラー,四日市市こども発達支援課巡回相談員。2017年度まで小学校教諭・特別支援学級担任。2018年度よりスクールカウンセラー。2007年より10年間四日市市就学支援委員会委員・四日市市地域特別支援教育コーディネーター。
主な著書:『ポリヴェーガル理論で実践する子ども支援―今日から保護者・教師・養護教諭・SCがとりくめること』(遠見書房,2022)


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