共同親権時代の離婚ガイド──「夫婦をやめて父母になる」新しい関係づくりのために
共同親権時代の離婚ガイド──「夫婦をやめて父母になる」新しい関係づくりのために
| 著者 | しばはし聡子 |
| 出版年月 | 2026年10月 |
| ISBN 図書コード | 978-4-86616-257-7 C0011 |
| 判型 | 四六判並製 |
| ページ数 | 160 |
| 定価 | 2,200円(+税) |
内容紹介
本書は,共同親権時代に離婚する親へ向けて,感情的にならずに相手とコミュニケーションをとる方法をガイドする本です。
これまで,離婚に向けた協議や共同養育,親子交流をサポートしてきた一般社団法人りむすび代表の著者が,高葛藤の夫婦が離婚後も父母としての関係を保ち,子どものために協力していけるよう,実践的なノウハウをお伝えします。
本書では,無理なく気持ちを整理し,次のステップへ進めるように,多数のワークを用意しました。ワークを通して,子どもも親も幸せになれる形を見つけ出してください。
主な目次
第0章 スタートライン:争いを生まない「離婚の切り出し方」
第1章 現状把握:あなたの「現在地」を直視する
第2章 希望する未来:子どもの視点を取り戻す
第3章 原因の深掘り:相手を責めるだけではない「心の整理」
第4章 相手の気持ちを知る:拒絶の裏にある「恐怖」を客観視する
第5章 自分ができること:実践! 争わないコミュニケーション
第6章 共同養育のケーススタディ:こんな時どうする? 実践Q&A
第7章 最終自己評価:「親同士」としての現在地と今後の行動目標
特別付録 共同養育を軌道に乗せる「共同養育計画作成チェックリスト」
まえがき
法律が変わっても、人の心は急には変わらない
二〇二六年、ついに共同親権が導入され、法律上でも「父母の尊重協力」が明確な指針となる時代を迎えました。しかし、現場で数多くのご両親のサポートをしていると、切実な戸惑いの声が聞こえてきます。「協力しろと言われても、あんな相手とどうやって?」「私ばかりが我慢するの?」―法律が決まったからといって、人の心まで急にアップデートされるわけではありませんよね。相手を憎む気持ち、許せないと思う気持ちは、よく理解できます。
ただ、ここで少し立ち止まって考えてみてほしいのです。「相手が協力してくれない!」と相手の非を責め立てるよりも、まずは「自分自身が協力できる人になる」こと。それが、結果としてあなた自身を救い、なにより子どもにとって最善の未来をつくることにつながります。離婚をしたとしても、子どもにとっては「たった一人の父親と母親」です。親としての縁を切ることができない以上、いつまでも争い続けることは、あなた自身の人生にとっても決して得策ではありません。
「夫婦の感情」が、親同士になることを邪魔している
では、なぜ「親同士」として協力することがこれほどまでに難しいのでしょうか。それは、「相手が悪い」「自分は悪くない」「自分は被害者だ」「自分の思いどおりにしたい」「自分のつらさをわかってほしい」……こうした、行き場のない「感情」が邪魔をしているからです。
かつては愛し合い、自分で結婚相手として選んだ人。だからこそ、期待があり、裏切られたときの絶望があり、近すぎる存在だったからこそ「憎き存在」に変わってしまうのです。それは特別なことではなく、誰もが抱く自然な心の動きです。しかし、その「夫婦としての未消化な感情」を抱えたままでは、いつまで経ってもビジネスライクな「親同士」にはなれません。相手をコントロールしようとする執着を手放し、夫婦の感情と親子の感情を切り分けることが、最初の大きな壁となります。
本書の目的:夫婦をやめて「父母」になる
本書は、単に読んで知識を得るだけでなく、実際にワークシートに書き込みながら進める「実践ドリル」の形式をとっています。
「知識を得る」と言っても、ここで手に入るのは法律の難しい解説や表面的なマニュアルではありません。本書で得られるのは、以下のような「離婚後も子どもにとって最善の環境をつくり、あなた自身が前を向くための実践的なノウハウ」です。
●二〇二六年導入の「共同親権」時代に求められる、トラブルを起こさない「親の作法」
●相手の拒絶や怒りの裏にある「恐怖」を解き明かし、感情的にならずに協議を進める心理ノウハウ
●「夫婦の感情」と「親としての連絡」を明確に切り分け、ストレスなくやり取りするためのコミュニケーション技術(LINE添削・言い換え事例)
「自分と向き合う」と聞くと、自分の至らなかった点を探すようで、つらく苦しい作業に思えるかもしれません。しかし、決して自分を責めるためのものではないので安心してください。
相手が自分の思いどおりにならないことにヤキモキし、エネルギーを消耗するよりも、「今日から自分にできること」に気づき始めるほうが、ずっと心が軽くなります。相手への恨みや執着を終わりにすることは、相手への敗北ではありません。あなた自身が新しい人生をハッピーに生きるための第一歩なのです。
ここで言う「ハッピー」とは、単に自分の主張が通ることや、離婚が成立することではありません。それは、「夫婦関係を終わらせ、子どもにとっての『父母』というビジネスパートナーに移行できた状態」を指します。
二〇二六年から始まった共同親権時代において、無理に仲良し夫婦に戻る必要はありません。互いの存在を認め合い、「子どもに関する必要な連絡や協議(共同養育)が、感情を交えずにスムーズにできる関係性」を築くこと。それこそが、あなた自身を怒りや不安から解放し、穏やかな日常を取り戻す「ハッピーな未来」です。
あなたが楽になり笑顔になれば、子どもも「忠誠葛藤(両親の板挟みによる苦しみ)」から解放され、ハッピーになります。そんな「全体最適」を手にしていただくことが、この本の最大の目的です。
ご挨拶と、私が「りむすび」を立ち上げた理由
あらためまして、一般社団法人りむすび代表のしばはし聡子です。私は現在、離婚や別居に伴う親子交流支援や、争わない離婚に向けた協議サポート、そして共同養育に関するカウンセリングなど、数多くのご家庭に伴走しています。
本書で「親の作法」などと語っている私ですが、実は、私自身もかつては「親子交流に後ろ向きな同居親」の一人でした。 当時は相手に対する嫌悪感や被害者意識でいっぱいで、「まず相手と関わりたくない」「あんな相手に子どもを会わせるなんてとんでもない」と固く心を閉ざしていました。相手を責め、自分の感情ばかりを優先し、まさに本書で「やってはいけない」と書いていることを、自ら体現していたような状態だったのです。
しかし、あるときハッと気づきました。「私が会わせたくない」という私自身の夫婦の感情と、「子どもがどうしたいか」という親子の感情を、ごちゃ混ぜにしていたことに。そして、自分が葛藤を手放し、相手を「もう一人の親」として受け入れたとき、不思議と相手の態度も柔らかくなり、なにより子どもの笑顔が増えたのです。
「相手のせいにするのをやめ、自分自身が変われば、こんなにも楽になるんだ」。 この私自身の痛みを伴う気づきと実体験が、現在の「りむすび」の活動の原点です。「Re(再び、新たに)」と「結び(関係を築く)」。夫婦の縁が切れても、親としての縁を結び直すサポートがしたいという思いで、この団体を立ち上げました。
だからこそ、今あなたが抱えている「相手が許せない」「協力なんて絶対に無理だ」というお気持ちは、痛いほどよくわかります。決してあなたを責めるつもりはありません。過去の私と同じように苦しんでいるあなたに、「こたえは自分の中にある」ということをお伝えし、少しでも肩の荷を下ろしてほしくて、この本を書きました。 どうぞ、安心してこの先のページをめくってください。一緒に、あなたとお子さんのための新しい未来への一歩を踏み出しましょう。
本書の使い方
本書に収録されているワークは、すべて巻末の専用サイトにアクセスすれば、ダウンロードや印刷できるようになっています。ぜひ、静かな環境で考え、自分の素直な気持ちを書き出してみてください。きれいに書く必要はありません。夫婦としての未消化な感情も、そのまま吐き出してください。
ワークを進める中で、時に立ち止まり葛藤することもあるでしょう。でも、大丈夫です。
「こたえは自分の中にある」。私は日々の活動を通じて、そのことを確信しています。
現在、お相手と冷静な協議ができている低葛藤なご家庭であっても、子どもの成長や双方の生活環境の変化に伴い、将来的に意見の対立が生じる可能性は十分にあります。本書のワークによる思考の整理や、巻末の「共同養育計画作成チェックリスト」は、今後の不要なトラブルを未然に防ぎ、現在の安定した関係を維持するための「リスク管理」としてもご活用いただけます。
本書における「同居親」「別居親」という呼称について
本書では、協議や別居の渦中にある方が状況を客観視しやすいよう、便宜上「同居親(主に子どもと一緒に暮らしている親)」、「別居親(子どもと離れて暮らしている親)」という言葉を使用しています。しかし、共同養育の形はご家庭によってさまざまです。親の家を行き来して半々の時間を過ごすなど、明確に同居・別居と分けられないケースの場合は、ご自身の状況に当てはめ、それぞれの立場を柔軟に置き換えながら本書のワークをご活用ください。
著者略歴
しばはし聡子(しばはし・さとこ)
一般社団法人りむすび代表,共同養育コンサルタント
1974年生まれ。慶応義塾大学法学部法律学科卒業。
一児の母で子連れ離婚経験者。離婚当時,夫と関わりたくないがゆえに子どもと父親を会わせることに後ろ向きに。その間子どもの気持ちが不安定になった後悔を機に,離婚後両親で子育てをする「共同養育」を普及するため,脱サラし2017年一般社団法人りむすびを設立。前職では電力業界にて広報や秘書を務める。
現在,共同養育実践に向けたカウンセリング,親子交流支援,離婚協議ADR,普及に向けた講演活動や執筆活動を行う。また,別居や離婚を経験した父母が集うオンラインサロン「りむすびコミュニティ」を運営。現在,全国から100名にのぼる会員が集い共同養育に向けた相互理解をはかる。メディア出演実績多数。
主な著書:『離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て―知っておきたい共同養育のコツ』(笑がお書房,2020)『離婚・別居後の共同養育実践マニュアル―別れたふたりで子育てをするためのケーススタディ30』(遠見書房,2024)
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