読んで学ぶ・ワークで身につける カウンセラー・対人援助職のための面接法入門──会話を「心理相談」にするナラティヴとソリューションの知恵

読んで学ぶ・ワークで身につける カウンセラー・対人援助職のための面接法入門
──会話を「心理相談」にするナラティヴとソリューションの知恵

(臨床心理士・公認心理師)龍島秀広

定価1,700円(+税),110頁,四六判並製
ISBN978-4-86616-196-9 C3011
2024年7月刊行

 

「心理相談がうまく進まない」「面接が続かない」「クライエントの声を十分に聴けたのか心配になる」「なかなかうまくならない」「理論やテキストに忠実であろうと頑張っているが,やればやるほどチグハグな感じがする」……そんな初心者カウンセラー・対人援助職の皆さん,初心者大歓迎の心理相談面接のコツをぎゅっと凝縮した一冊を刊行します。
ナラティヴ・セラピーとソリューション・フォーカスト・アプローチ(解決志向ブリーフセラピー)の知恵を中心にどんなアプローチの方でも使えるように,「知らない姿勢」「共感的理解」「コンプリメント」「Topic Select Talk(TST)」の4つにコンパクトにまとめています。簡単なワークで身につけることができ,それだけで初学者の臨床スキルが格段に伸びることでしょう。


目 次

第1章 スタートの前に
1-1 この本の対象
1-2 この本の特徴
1-3 この本の使い方

第2章 この本で身につけてもらいたいこと
2-1 4つの姿勢・技法
2-2 ノン・バーバルなコミュニケーション

第3章 コンプリメントのワーク
3-1 「大根」のコンプリメント
3-2 「ちょっと困った人」のコンプリメント
3-3 「万引き」をほめる
3-4 コンプリメントのワークについての補足

第4章 「TST」と「知らない姿勢」のワーク
4-1 TSTと「知らない姿勢」のワークの仕方
4-2 TSTのやり方のヒント
4-3 TSTと「知らない姿勢」のワークの留意点
4-4 TSTの効果など

第5章 ワークのまとめ
5-1 練習の続け方
5-2 練習しているときに起きること
5-3 実際に使ってみる
5-4 研修会参加者・学生からの質問
5-5 TSTとコンプリメントを使った面接の事例

第6章 役割で指導・助言しなければならない場合など
6-1 指導・助言すること
6-2 「取り調べ」について

第7章 コミュニケーションに関する理論
7-1 「カウンセラーの中核条件」(ロジャーズ)
7-2 ロジャーズとバイステック
7-3 SFAとナラティヴ・セラピー
7-4 「コミュニケーションの公理(試案)」
7-5 「心理学的支配」と「学習性無力感」
7-6 「DVのサイクル」について
7-7 心理療法の効果要因について

 

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著者略歴
龍島秀広(りゅうしま・ひでひろ)
1954年北海道生まれ,北海道育ち。「解決のための面接研究会」設立メンバー,臨床心理士,公認心理師。北海道大学文学部哲学科Ⅱ実験心理学専攻課程卒。元少年鑑別所・刑務所技官(心理職),コンピュータソフト会社,北海道警察少年課(心理専門官),北海道警察科学捜査研究所(犯罪者プロファイリング担当),北海道教育大学教職大学院准教授,北海道スクールカウンセラー研究協議会代表,現在,非常勤講師(北星学園大学,北翔大学)。
主な著作
『(読んでわかる やって身につく)解決志向リハーサルブック─面接と対人援助の技術・基礎から上級まで』(遠見書房,共著),『みんな元気になる対人援助のための面接法─解決志向アプローチへの招待』(金剛出版,共編),論考「暴力と支配の心理学」『こころの科学』172号(日本評論社),論考「非行における臨床心理的地域援助──関係機関の連携方策について」『臨床心理学』第2巻第2号(金剛出版)


まえがき

30数年前,非行臨床で保護者の相談を受けはじめた頃,クライエントが言った言葉をそのままそっくり繰り返すとか,「あなたはそう思うんですね」とか,カウンセリングの面接で使われる定番の技法には,とても違和感があった。かといって,当時は,それを使わない面接をしようとも考えてはいなかった。カウンセリングとはそういうものなのだろうと思っていた。
ところが,本書を書くにあたって自分の学んできたこと,教えてきたことを振り返り整理してみて,今の自分は,当時,違和感を感じた技法をほとんど使っていないことに改めて気づいた。そして,違和感を感じる技法を使わなくとも,クライエントと信頼関係をつくるというカウンセリングにとって大切なことができるということがはっきりわかった。
ただ,表面的には定型的なカウンセリングの技法を使ってはいないが,面接の内容としては「共感的理解」その他のカウンセリングにとって必要とされている要素をしっかり含んでいることも確認できた。
そのような面接方法になったのは,本書で書いたように,ソリューション・フォーカスト・アプローチとナラティヴ・セラピーを体験的に身につけようと学び,実践してきたためだろうと思う。もっとも,本書はこの2つの心理療法を身につけることを目的に書いたものではない。カウンセリングの基盤となるクライエントとの信頼関係をつくる技法を身につける方法とそのためのワークを書いたものである。その技法が,この2つの心理療法にとても身につけやすい形で洗練されて含まれていたということである。
その結果,この本に書かれているのは,心理療法の流派や対人支援の職種に関係なく,対象となる人と「会話」するなかで信頼関係を形成する姿勢・技法とその方法を身につけるためのワークとなった。
心理的面接の入門を本書のようなワークで示した本は,これまでなかったと思う。私もはじめからこのような本を書こうと計画してはいなかった。ただ,研修会や学校で指導してきた面接の練習方法をまとめて書いてみようと思い書き進めるとこのような本になったのである。
この本がカウンセラーのみならず多方面の対人支援職を含めて,心理的な面接の初心者やどうも面接があまり上手くいかないと感じている方々のお役に立てることを願っている。


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