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195-5条件反射ワークブック改訂

物質使用障害への条件反射制御法ワークブック

(医療法人社団ほっとステーション大通公園メンタルクリニック院長) 長谷川直実 著
(独立行政法人国立病院機構下総精神医療センター薬物依存治療部長兼臨床研究部長) 平井愼二 著

定価1,200円(+税) 100頁 B5判並製
ISBN978-4-86616-095-5 C0047

本書は2016年弊社から刊行した『条件反射制御法ワークブック―やめられない行動を断ち切るための治療プログラム【物質使用障害編】』の改訂版です。

大丈夫! 条件反射をコントロールして新しい人生へ!

覚醒剤や危険ドラッグ,アルコールなどをやめられなくなる物質使用障害は,物質摂取に向かう条件反射が成立しているため,意思の力だけでは抜けられなくなっています。そこで,欲求の起こらない新しい条件反射を身につけ,物質摂取へ向かう条件反射を徹底的に弱めることで嗜癖を断ち切る治療法が条件反射制御法です。
本書は,デイケアや病棟,外来,刑務所,少年院,保護観察所,回復支援施設などで,物質乱用のメカニズム,症状,問題,離脱のための取り組みなどを学びながら,同時に条件反射制御法のステージを進めていくためのテキストです。
改訂版では,ストレスへの耐性を高めるための「作文」への取り組みを強化して,全22回のプログラムとなりました。


目 次

第1回 やめられない行動・癖になっている行動について
第2回 なぜやめられなくなるのでしょうか
第3回 物質使用障害について
第4回 やめるための治療・取り組みにはどんなものがあるでしょうか
第5回 条件反射制御法(CRCT)とは
第6回 【条件反射制御法をやってみよう】制御刺激ステージ
第7回 よかったことの書き出し
第8回 うつの気分とのつきあい方
第9回 日常を大切に 眼前の一題の「着手」から(森田療法的アプローチ)
第10回 【作文】一番はまっていたころの1日 あなたにとっての刺激と反射の連鎖
第11回 【条件反射制御法をやってみよう】疑似ステージ
第12回 つらかったことの書き出し
第13回 リラックス法
第14回 人間関係の問題
第15回 怒りについて
第16回 【条件反射制御法をやってみよう】想像ステージ
第17回 つらかったことの書き出し その2
第18回 あなたのまわりにある支えとブレーキ
第19回 クライシス・プラン
第20回 放念:今日1日,今を生きるために(森田療法的アプローチ)
第21回 【条件反射制御法をやってみよう】維持ステージ
第22回 ふりかえり


著者略歴
長谷川直実(はせがわ なおみ)
医療法人社団ほっとステーション大通公園メンタルクリニック院長,条件反射制御法学会立ち上げに係る。
1989年,弘前大学医学部専門課程卒業(在学中に矯正医官修学生)。
同年,法務省八王子医療刑務所精神科病棟勤務,東京都立松沢病院研修医(研修期間終了後も医療刑務所と兼務)。1997年,八王子医療刑務所及び松沢病院を退職。民間病院勤務を経て,1999年からデイケア・クリニックほっとステーション,2003年から2019年3月まで月形刑務所精神科嘱託医。2005年より「北海道で更生と再犯防止を考える会」を主催。現在,北海道内の矯正施設にて,ほっとステーションスタッフとともに定期的にプログラムを実施。
主な著書:『精神科デイケア必携マニュアル』(監修,金剛出版,2011),『条件反射制御法入門―動物的脳をリセットし,嗜癖・問題行動を断つ!』(共著,星和書店,2015),『メンタルヘルスにおける地域生活支援の手引き―医療機関から手を伸ばしたつながり方』(編著,金剛出版,2019)など

平井愼二(ひらい しんじ)
独立行政法人国立病院機構下総精神医療センター薬物依存治療部長兼臨床研究部長,条件反射制御法学会会長。
1985年,徳島大学医学部卒業。昭和大学病院での研修を経て,1989年に下総精神医療センターに就職し,薬物乱用者に専門的に対応した。1995年からは2年間,ロンドン大学セントジョージ病院嗜癖行動学科へ出張。1999年に薬物乱用対策における取締処分側と援助側の∞連携を構想。この∞連携において援助側職員の態勢は,患者による規制薬物乱用を取締職員に通報しないこと,並びに,患者が同意すれば後に取締職員と面接させることで特徴づけられる。この処遇は一部で実現化し,効果を上げている。2006年に条件反射制御法を開発。2012年に条件反射制御法研究会(学会の前身)を発足させた。
ヒトの行動原理に基づいて,現在の精神科領域の技法を整理し,司法体系のあり方を適正なものにすることを活動の焦点にしている。
主な著書:『条件反射制御法―物質使用障害に治癒をもたらす必須の技法』(遠見書房,2015),『条件反射制御法入門―動物的脳をリセットし,嗜癖・問題行動を断つ!』(共著,星和書店,2015),訳書に『ステイ・クリーン―たばこ,酒,薬物とあなたの生き方』(共著,パステル書房,1998)など


はじめに このテキストの使い方

(1)進め方
このテキストは,デイケアや,外来,刑務所,少年院,保護観察所,回復支援施設などで条件反射制御法(CRCT; conditioned reflex control technique)に取り組みながら物質乱用からの離脱を図るためのテキストです。
グループでも個別でも使うことができます。
テキストで物質乱用のメカニズム,症状,問題,離脱のための取り組みなどを学びながら,同時に条件反射制御法のステージも進めることができるように,全体を22回に分けて構成されています。
指導にあたる方は,条件反射制御法のステージの切り替わり以外の回でも,その回のテーマに入る前に条件反射制御法の作業の進捗状況およびキーワード・アクションの確認をお願いします。
テキストの進行に条件反射制御法の作業の進捗が遅れている場合は,作業が次のステージに進むのに十分な状況になるまで,テキストの進行を待ってください。その間,個別治療では,テキストの内容以外の通常の診療やカウンセリングを続けます。グループでプログラムとして取り組んでいる場合は,テーマを設定したミーティングをおこなうなど,その治療環境に合わせた工夫をしてください。
(2)プログラム中の再乱用について
条件反射制御法の第1ステージ(制御刺激ステージ)中に参加者の中にスリップ(再乱用)した人が出た場合,その人はキーワード・アクションの累計が200回を超えていても,最後の乱用から1カ月程度,間隔をあけてから次のステージに進むことが望まれます。
グループでこのテキストを使ってプログラムを進めている場合,再乱用があった参加者は,第2ステージの疑似作業に進む第11回では疑似作業はせずに,説明だけを聴きます。途中,疑似作業に進める時期が来たら,個別に指導し,疑似作業を開始します。
社会内処遇において,第2ステージ以降で再乱用があった場合は,疑似,想像作業は一度ストップして,キーワード・アクションのみを続け,1カ月程度の間隔をあけてから,条件反射制御法のステージを進めます。条件反射制御法以外のプログラムには参加し,第22回が終了しても維持ステージまで達していないときは個別で対応します。
しかし,グループによっては,その人を待ってプログラムを終了したいという雰囲気になっている場合もあるでしょう。その場合,治療環境が許すなら,グループミーティングや条件反射制御法維持ステージのフォローアップを続けながらその人が維持ステージに達するのを待って,1クール修了とすることもよいと思います。
刑務所や病棟などの閉鎖された環境ではなく,デイケアや地域の施設などでこのプログラムに取り組む場合,再乱用したことをそのまま作業票に記入し,また,話せるように働きかけてください。このプログラムを開始してすぐに欲求がなくなるわけではないですし,地域で生活していて刺激を受けて欲求や反応を起こすのは当然のことです。物質使用障害とはそのような障害なのですから。
違法薬物の乱用者の場合,条件反射制御法を∞連携(取締官や保護観察官の面談と簡易薬物検出検査を用いた取り組み)の中で実施するのがよいでしょう。

このテキストが,物質乱用からの離脱を目指す人たちと支援する人たちの役に立つことを祈念いたします。

改訂版に向けて
条件反射制御法ワークブックの初版が刊行され,デイケアや刑務所内のプログラムで使っていただけました。また,嗜癖問題について学ぶためにワークブックを購入する方々もおります。いったん止まっていてもストレスが加わると癖になった行動は再燃しやすくなります。維持ステージに入ってからの再燃を防ぐために,嗜癖行動の代わりに生活を豊かにしてくれるものを見つけることができるように,そして自分自身のストレングスに気づくことができるように,CRCTプログラムをバージョンアップしました。
このワークブックがひとりでも多くの人の回復の助けになることを希望します。