ポリヴェーガル理論で実践する子ども支援──今日から保護者・教師・養護教諭・SCがとりくめること

ポリヴェーガル理論で実践する子ども支援
今日から保護者・教師・養護教諭・SCがとりくめること

(いとう発達・心理相談室/スクールカウンセラー)伊藤二三郎 著

1,800円(+税) A5判 並製 129頁 C3011 ISBN978-4-86616-154-9

 

 

 

 



 

 

 

ポリヴェーガル理論で,自分や子供の姿をチェックし,家庭や学校で健やかにすごそう!
教室やスクールカウンセリングで,ノウハウ満載の役立つ1冊です。

 

ポリヴェーガル理論とは,心と身体のつながりを意識した心身理論で,人間には3つの心身状況があり,激しい闘争モード,恐慌状態の逃避モード,穏やかなモードに分かれるというもの。
本書では,これをシンプルに「赤」「青」「緑」と表現し,子どもの状態や先生や保護者などのまわりの大人たちの関係をどう考えていくかをさまざまな事例を紹介しながらわかりやすく解説したものです。
大好評「ブックレット:子どもの心と学校」シリーズの第6巻。元教師で現役スクールカウンセラーの著者による,子どもと大人が心地よく生きるための手引きです。

 


主な目次

第1章 「安心・安全」とポリヴェーガル理論
第2章 学校現場での子どもの姿と具体的なアプローチ
第3章 一人ひとりの子どもたちをどうとらえ,どう支援するのか――ポリヴェーガルの視点から見た「神経発達症」
第4章 こころとからだへのアプローチ──自律神経に働くエクササイズ


著者略歴

伊藤二三郎(いとう・ふみお)

1957年生まれ 。公認心理師・臨床発達心理士・自閉症スペクトラム支援士(Std)。
現在、いとう発達・心理相談室代表・四日市市立小学校/中学校スクールカウンセラー・四日市市こども発達支援課巡回相談員。2017年度まで小学校教諭・特別支援学級担任。2018年度よりスクールカウンセラー。2007年より10年間四日市市就学支援委員会委員・四日市市地域特別支援教育コーディネーター。

 


はじめに

 

この本を手に取られた多くの方にとって,「ポリヴェーガル理論」は,はじめて聞く言葉だったり,聞いたことがあるけど意味はわからない言葉だったりして,難しそうに感じるかもしれません。
しかし,読み終わる頃には,身近な知人や同僚,家族に,この「新しい理論」の簡単な説明ができるようになっているはずです。
また,あなた自身の自律神経の状態を正しく把握して,それをコントロールできるようになり,今までよりもおだやかにすごせるようにもなっていることでしょう。そして,あなたのお子さんや,あなたが教室で支援をしているお子さんたちの自律神経の状態をも把握することができるようになって,対応や働きかけが以前よりもより適切にできるようになっているかもしれません。
今まで「どうしてこの子はこんなことばかりするのだろう」と悲しんだり,怒っていたりといったマイナスの感情が多かったのが,本書を読むことで,その感情をコントロールすることができるようになり,あなた自身がよりポジティブに,おだやかに,子どもたちに接することができるようになることを目指しています。
したがって,できるだけわかりやすく説明するために難しい説明を省略していることをはじめにお断りしておきます。

保護者,教師,養護教諭,SCの方々に自律神経の状態「赤・青・緑」の三色を使って「ポリヴェーガル理論」の紹介をすると,

「自分自身のこころやからだの状態をより冷静に見ることができるようになった」
「生徒にとって教室は何色だろうと考えながら対応していこうと思う」
「緑やピンクを大切に楽しいクラスを作ることが大切だと思った」
「自分も子どもも安心安全にすごすための新しい知見を得ることができた」
「気になるあの子は今何色なんだろう,と考えながら対応していきたいと思う」

などの感想が出てきます。
ポリヴェーガル理論というレンズを通して,子どもの行動をとらえ直してみることは,今後の子どもたちの支援に役立つことになりますし,子どもたちの行動を,自律神経の反応,身体の反応であるととらえることによって,これまでの支援や対応を見直し,より「おだやかで安心・安全」な支援にすることができることでしょう。

なお,本書における事例はほとんど,私が小学校教師として,巡回相談員として,カウンセラーとしての41年間で出会った子どもたちの実際のケースに基づいていますが,個人が特定されないよう本質を損なわない程度に改変した「創作」であることを,はじめにお断りしておきます。

伊藤二三郎

 

「遠見書房」の書籍は,こちらでも購入可能です。

最寄りの書店がご不便、あるいはネット書店で在庫がない場合、小社の直販サービスのサイト「遠見書房⭐︎書店」からご購入ください(store.jpというECサービスを利用しています)。商品は在庫のあるものはほとんど掲載しています。